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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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届かぬ想い



唐突に始まった模擬戦も終わり、ノアの紹介を仕切り直そうと部屋に戻ってきた。

でも、私が話す必要もないくらい、ノアがみんなに馴染んでる。

コミュ力お化けかあの子は…。


それなら私はティーにお説教を… (やー!)

と思ったのだけど…。 (緊急回避!)


思い返してみれば、確かにノアは当時の私にとって特別だった。

常に傍にいてくれたし、身の回りの事も全てやってくれていた。

…だからといって一線を超えたわけではない。魔力体だったし…。

まぁそれも今となっては関係なかったのだけど。

アルディエル母様達の話では魔力体さえ維持できるのなら子をなせるって話だし。

まぁ、それも今更か。


今思うと、ノアは一番恋人に近い存在ではあったのかもしれない。

当時の私はそういう事に無自覚だったし。 (言うて今もそんなに?)

そうね!? 時に正論はどんな拳より痛いな…。


みんなと話してるノアを見てると、本当に嬉しくて。

あのノアがまた傍にいてくれる。こんなに嬉しいことはないよね。 (結構ラブラブだったよ?)

なのかなぁ…。魔王の時に唯一弱音を吐いたり、甘えられる相手でもあったからね…。

でもね?色々とぶっちゃけ過ぎじゃないかな!? (よーしゃべっとる)


「ですから私の事は身体の隅々まで魔王様はご存知ですよ!」

「ノア、それは言い方に語弊があるよ!?」

「事実じゃないですか!」

「どういう事よ…?アスカ?」

「リ、リア…落ち着いて聞いて?」

「聞こうじゃないー。言い訳をね」

ティアまで…。


「変装するためにね?どうしても知る必要があったの! 当然やましい事なんてしてないから!」

「じっくりねっとり観察されましたけどね!」

本当に言い方気をつけて? (実際興味津々で見てたし…)

うっ…。女の人を初めて間近でじっくり見たんだもの。でも別にいやらしい目ではみてないよ! (それは知ってるの!)

生物学的にね?気になったというか…。 (そういう言い訳するとやましかったみたいに聞こえてくるの)

うぐっ…。 (そうだったの!?)

うーん…よくわかんない。でも、ノアだから頼めたし、ノアにしか頼まなかったとは思うね。 (それもう嫁みたいなもの?)

ノアも快く引き受けてくれたから…そういう事なのかな? (うむうむ)



ティーと話してる間にも、ノアが当時の私とのアレやコレやを話し続けてるものだから…。

「お姉ちゃん、魔王の時にメイドさんに手を出してたんだー?へぇー」

「出してない出してない!」

「でも一緒のベッドで夜を明かしましたよ?」

「そ、それは!」 (あーあの時かー)

ノアのお祖父さんが亡くなった事を伝えて、お墓参りに連れて行ってあげた日だね…。

泣いてるノアを一人にしておけなくて。 (仕事も放っぽってずっとそばにいたの)

うん…。ノアが魔王城に慣れて落ち着くまで、と事実を話せないまま時間だけが過ぎてしまって。

それまで誤魔化し続けてた罪悪感と、私自身ノアの傍にいたかったから。 (後日、溜りに溜まった凄まじい書類とにらめっこしてたの)

よく覚えてるねぇ…。 (ふふん)



「い、一緒のベッド…?お姉ちゃんそれってつまり!?」

「リアさん、これは黒ですねー!」

「ええ、ねえ様。真っ黒ですわね」

「アウトなの…」

なんでよー…。シエルまで手でバツ作ってるんだけど!


「お母様モテモテなのです! さすがなのです!」

「リズ、あれは悪い見本よ? アスカってば彼方此方で引っ掛けてくるんだから」

「でもリア母様、今回のはすごく前のお話なのです。なのにどうしてお母様達は怒るのです?」

「うっ…それは…」

「言われたらそうだよねー」

「確かにお姉ちゃんの過去の事を今責めても…」

「お姉様の過去…」

リズー…。 (ママ、娘に救われる)

本当にね。



「でもますたぁ、どうするのよ〜?私から見てもあの時からノアはますたぁの大切な人だった筈よ〜?」

「それは…うん。大好きだったし頼りにしてた…」

「えへ…えへへ〜…大好きだなんてそんな〜。知ってましたけど! でも、私のが魔王様を大好きでしたよ!」

「お姉様、どうするの…?」

どうする、か…。


「アスカがハッキリさせるのなら私達は受け入れるわよ?」

「だよねー曖昧なのが一番いやかなー」

確かにリアとティアの言う事も最もだよね…。


「言われてるわよ?アスカちゃん。 私も曖昧なのはみんなにも失礼だと思うわ」

「まぁ、今更一人二人増えても〜って感じだけどね!」

失礼か…それも麻帆の言うとおりだな。 (奈々のも合ってる)

うぅ…。


「…わかった。少しノアと二人にしてもらえるかな?」

「魔王様…?いえ、マスター?」

「大切な話だからね」

「わかりました」

みんなもわかってくれて、部屋に残されたのは私とノアだけ。



「ねぇ、ノア。 当時、ノアにとって私はどんな存在だった?」

「魔王様は魔王様です! ってそういう事を聞いておられるわけではありませんね」

「うん」

「何より大切で、お守りしたい方…それこそ私の全てを捧げたくてお仕えしていました」

「それはメイドとして?」

「…いいえ。一人の女としてです。今はお姿が変わられましたが、想いは変わりません」

「そっか…。私もね、ずっとノアのこと好きだったよ。メイドとかじゃなく一人の人として」

「勿体ないお言葉です…」

「ノア、今更かもだけど…私の恋人になってもらえる?」

「喜んで! と言いたいところですが、辞退させていただきます…」

「えっ…?」


断られた…?ノアに…?

嘘…でしょ?


「私はまだ未熟です。召喚獣として生まれて日も浅く、学ぶべき事が沢山あります。今のマスターをお支えする為にも、先ずは何よりも知識! それを蔑ろにしたままお受けする訳には…って魔王様? マスターー!」


そんな…。

あのノアに…振られた…? (あーこれ聞いてないやママ)

「マスター! 魔王様!! 最後まで聞いてください!」

「ご、ごめんノア…。私の勘違いだったんだね…忘れて」

「ちょ、魔王様!? ですから私の話を!」 

これが振られるって事なんだ…。


待って。 じゃあ今迄みんなにも曖昧な態度をとってきて、きっとこんな辛い思いをさせてたんだよね?

「ご、ごめん…なさい…」


頭が真っ白だ。ノアに振られた事もだけど、みんなにこんな思いをさせていたのかもしれないって思ったら…。 

「…少し一人にして」

「魔王様!!」


私は耐えられず、どこでもいいからと何も考えずに転移した。 (間に合った!)










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