ギルド騒動決着?
「タニアお姉ちゃん…よかったよぉぉ」
騎士様はギルドマスターに抱きつき、また泣き出してしまった。よほど不安だったのだろう。
「落ち着けルー、客人の前だ」
そう言いつつも妹である騎士様を抱きしめてる顔は嬉しそうで。
「お気になさらず。 元はと言えば私にも責任がありますし…。 ご迷惑おかけしました」
「いえ、こちらこそ…。アスカさんとお呼びしても?」
「はい。あと普通に話してください。私達は一般人なので…」
「一般人ではないと思うが…わかった。そうさせてもらう」
少し考えた後ギルドマスターはそう答えてくれた。
「改めて、今回の事は本当にすまなかった。不快な思いをさせただろうに…この様に気を回してくれて感謝する」
「いえ、私は本当になにも…ってこのやり取り何回目でしょうね」
「ははっ、そうだな。セルフィ、いや王妃様からの正式な書状も届いたことだしな」
「はい、この話はここで終わりにしましょう」
「ああ、感謝する」
やっと部屋の空気も和らいだし、泣いてた騎士様も落ち着いたようだね。
「あの、ギルドマスターさんは王妃様とお知り合いなんですか?」
気になってたことを聞いてみる。王妃様の書状?お手紙?も知り合いに宛たようなものだったし。
さっき、ちらっとマスターさんも名前呼んでたしね。
「ああ、王妃様が魔王討伐パーティの元賢者なのは?」
「知ってます。魔道具を頂いたりしましたし」
「私もそのパーティにいたのだ。前衛としてな」
「なるほど…」
前衛と聞いてユウキが反応する。
「前衛と言うと剣士ですか? あ、突然すみません、姉がご迷惑をおかけしました。弟のユウキです」
「いやお姉さんには助けられたさ。 うむ、剣士と言えばそうなるか?エモノは一通り使えるぞ」
なんかユウキが保護者みたいになってるのが気になるけど…非があるから言い返せない。
「すごいですね、僕も前衛特化なのでつい気になってしまって」
「そうなのか?いやしかし…君も私より強くないか?」
「いえ…まだまだです。近くにとんでもないのがいますから」
「あははっ! 間違いないな」
ユウキとギルドマスターはなんか盛り上がってるなぁ。
「私は妹の未亜です。姉がお世話になりました」
「うむ、丁寧にいたみいる。 君は…魔力特化か?」
「え?わかりません。魔法とか何も使えないので…」
未亜ちゃんはまだ魔力に目覚めたばかりだし、これからだよ!
「そうなのか…かなりの魔力量だと思うが…。まぁお姉さんが教えてくれるだろうさ」
「はい!」
だねぇ、せめて身を守れるようにしてあげないとだからね。
「ギ、ギルマス…これって」
あ、固まってた副ギルドマスター帰ってきたな。
「うむ、これで決着だ。職員への通達頼むぞ、それとマニュアルの草案を王妃様へ届ける手配もな」
「わかりました。では失礼します。 ルーちゃんよかったね」
騎士様とハグをすると副ギルドマスターは部屋を出ていった。
そう言えばギルドマスターもルーって騎士様のこと呼んでたな。
「騎士様、ルーさんってお名前だったんですね」
「なんだルー、お前名乗りもしてなかったのか?」
「え、だって…一介の騎士が国賓の、しかも身内がご迷惑をかけた相手に名乗るのもおこがましくて…」
「なにを言っている。名乗らないほうが無礼だぞ…まったく。お前は昔から頭が固いというか…思い込みが激しいな」
「ふぇぇ…」
「すまないな、こいつは妹のルニアだ。悪いやつではないのでな、許してやってくれ」
「はい。 あ、そうだ、未亜ちゃん」
「なぁに?お姉ちゃん」
「(ほら、お土産今渡そうかなって。未亜ちゃんから渡してあげて)」
「うん! わかったよ」
ストレージからお昼に買ったタルトみたいなのをワンホール未亜ちゃんへ手渡す。
それを持ってルニアさんの元へ
「ルニアさん、今日は護衛に来てくれてありがとうございました。コレお姉さんと食べてください」
「え?え? でも私は仕事で…それに隊長に無理言って付いてきただけで…」
「ルー、折角のご厚意だ。素直に受け取っておけ」
うん、そうしてください。
「あ、ありがとうございます…」
「はいっ!」
未亜ちゃんはタルトを渡し、嬉しそうに隣に戻ってきた。
「ありがとうね、未亜ちゃん」
「うんっ」
「すまないな、手土産まで」
「いえいえ」
そんな話をしていたら階下が騒がしいような?
何かあったのかな?
バタバタと音がして誰かが2階に上がってきたみたい。
部屋にきたのはギルド職員さん。
「来客中に失礼します、ギルマス。緊急事態です!」
「わかった、すぐに行く」
なんだろう?ギルドだと、たまにある事だったりするけど…気になるな。
「すまない、行かなければ。もう少しゆっくり話したかったが…また後日にでも顔を出してくれ」
「わかりました、私達のことはお気になさらず行ってください」
「うむ、ではまたいずれ」
そう言うとギルドマスターさんは部屋を出ていった。
入れ違いにアリアさんが部屋に入ってきた。
「アスカ様、何かあったようです。万が一がありますので、部屋から出ないようお願いします」
「わかりました」
興味本位で首を突っ込むようなものじゃないからね。
ギルドにはギルドのルールがあるし、私達はここに所属してるわけでもないから…。
勝手なことする訳には行かない。なのでおとなしくしておく。
「お姉ちゃん…大丈夫なのかな?何があったんだろ…」
「気になるよね」
未亜ちゃんもユウキも…気持ちはわかるけど。
「言いたいことはわかるけど、私達がなにかしたらややこしくなるから。ね?」
「うん…」
「そうだけどさ」
私はすでにやらかして、その後始末がやっと終わったとこだからね。
「アスカ様の仰るとおりです。申し訳ありません。ですが…」
あれ?アリアさん?
「部屋で待っていてくださるのなら、何があったかだけ確認してきますが」
「いいんですか!?」
ユウキがくいついたね。
「おとなしく待ってますから」
未亜ちゃんまで…。
はぁ〜。
「すみません、アリアさん。そういう事なのでお願いできますか?」
「わかりました。ではくれぐれも部屋からは出られませんように。ルニア、任せたぞ」
「はい!」
アリアさんは事態の確認の為に部屋を出て行った。




