表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

587/772

船旅と本は相性がいい



その日の夕食は海鮮フルコースだった。

例のマジキっていう魚は、白身なのに赤身のような味わいのお刺身で美味しかった。

船員の人達の士気向上にも一役買ったようで、ラムネ達には感謝しかない。


食後に、船の女性陣を纏めてドラツーへご案内。

王妃様から順番にお風呂に入ってもらった。


男の人達は面倒くさがるからクリーンだけかけてあげたら喜ばれて…。

それで思いついたのが、クリーンを魔道具にして船室への扉に設置。

中へ入る時は自動でキレイになるから中が汚れない。

ドラツーの入り口についてるのと同じ。

掃除等の雑用をしている人にすごく感謝された。



「ありがとう、アスカちゃん。 みんなも入ってきなさい。さっぱりするわよ」

お風呂から出た王妃様と入れ替わりに、ミルフィーさん達が大喜びでお風呂へ向かった。


「このままこちらに泊まりたいくらいだわ」

「私は構いませんが…」

「責任者だからそうもいかないのよ。まだ船旅は続くし…」

お疲れな王妃様に甘いものを出して、少しだけでも休んでもらう。


「船旅は順調だし、大きなトラブルもないわ。計算していたより遥かに早いペースで進んでいるし」

「そうなんですか?」

「ええ。距離に対して通常の船の速度で計算していたからなんだけど」

「早いですものね、あの船」

「他人事みたいに。アスカちゃんのおかげなのよ?」

船旅が長くなると、乗組員の負担もあるし、速いに越したことがないからいいのだろうけど…。



しばらくドラツーでのんびりした王妃様達を船に送り届けて、私達も船室へ戻った。


ドラツーでも船でも暇があれば本を開いてる麻帆。

「ずっと本読んでるけど、疲れてない?」

「ええ。ほら、ドラゴライナ王国からお借りした本だから早く読んでしまいたいのよ」

「返す期限あるの?」

「そうではないけど、借り物だから…」

私は読めば記憶してしまうけど、普通はそうはいかないものね。 (コピーしたら?)

確かにそれも一つの手段ではあるのだけど、許可もなくする訳にはいかないから。 (ちょさくけん?)

そうだね。そういった権利とかもあるだろうし、物によっては機密とかもあるだろうから。

世界によっては本そのものがものすごく貴重ってパターンもあったしなぁ。 (ユウキは読んだ漫画雑誌はリサイクルしてる)

現代だったとしても紙は大切にしないとね。 (はーい!)


私も麻帆が読み終わった本を借りて読んでみた。

当時の日常生活が綴られていたり、単純に日記だったり…。

一つはダンジョンを作った時の記録もあった。 (新しいの作れる?)

作ろうと思えば可能だね。コアの作り方もある程度は記してあるし。 (ある程度?)

多分、悪用されかねないからじゃないかな。口伝というか、次代を継ぐ人にだけ詳細を教えたんじゃないかと思うよ。


ただ、魔道具の知識がある人なら、大凡の予想を立てて作れるくらいには書かれてる。 (じゃあママは作れる?)

うん。だって、書き換えたりしたくらいよ? (そうだった!)


「アスカちゃん、それ理解できた?」

「まぁ、コアは魔道具みたいなものだから、私には得意分野かな」

「なるほどね。 じゃあ、これ…わかる?」

麻帆が見せてきたのは、なにかの術式の書かれたページ。


……あー…。これはダメだな。 (よめない?)

いや、読めたからこそ危ないのがわかる。これは機密に指定しないと不味いレベルだよ。 (そんなに?)

魔獣の合成とかをして、新たな種を作ろうとしてたみたい。 (あぶなっ!)

うん。 実際に危ないと判断して封印した研究みたいだし。 (何でそんなことしたんだろ)

ダンジョン内で、強さのバランスを取りたかった様だね。ほら、私達が戦闘力に合わせて階層へ配置されたのと同じ。 (あー!)


「麻帆、ごめん。これは教えられない。禁忌の一種だから」

「そうなの!? じゃあ預けておくわ。そんな物に手を出したくはないもの」

「ありがとう。理解が早くて助かるよ。  ピナさん。申し訳ないけど、この本と私からの手紙をアキナさんに届けてもらえる?」

「了解致しました」

夜だし、奥様でもあるピナさんにお願いした方がいいでしょう。


本に書かれている術式の内容を大まかに伝えて、危ないものだって事も書いておく。

後はアキナさんがどうするか、判断はお任せになるけど…。 (手を出すとは思えないの)

だろうね。

船旅が終わったら海竜の報告にも行かなきゃだから、多分その時にこの本についても確認があると思う。



「アスカちゃん、他のは大丈夫かしら…」

「そうだね、おおっぴらにするんじゃなければ問題はないよ」

「え、アスカってばもう全部読んだの?」

「まぁね、ページを絵のように記憶してしまうから全部頭に入ってるし」

「マジのチートじゃん! うらやま…」

「そう言われちゃうと申し訳なくなるけどね…」

「あっ、いやごめん! そんなつもりじゃないよ。羨ましいなーって思っただけだし」

「アスカちゃんはそれだけ苦労をしてるんだから」

「でもさ、私達はそういうの、あまり話してもらってないよね」

リア達に比べたらまだ話してないことも多いものね。

単純に時間が無かったってものもあるけど…。


「私達が聞いてる、知ってる範囲なら話してあげるわよ?いいわよね?アスカ」

「うん。構わないよ。今までの事もリア達から見た客観的な私を話してあげて」

私の主観よりいいと思うし。



みんなで話し始めたのはいいんだ。

ただ、自分の話をしているのを聞いてるってのは非常にいたたまれない!

恥ずかしくて布団にもぐるしか出来ないのがなんとも…。 (諦めてもろて)

そうね…。隠し事をするつもりもないし。 (ティーも話してこよーっと)

加減してね!? (にひひ。りょーかーい!)

はぁ…。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ