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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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船旅での楽しみ



「お姉様、この鱗をどうやって使うの…?」

「粉末にして、柔らかい魔石と練り合わせて、魔力糸にして布にするよ」

「それ、お姉様にしか出来ないの…」

「同じ様に別の糸も作るから、シエルはその糸でアクシリアス王国の紋章を刺繍してもらえる?見本は紙に書いておくから」

「それなら大丈夫なの…!」

取り敢えず一枚布を作り、白銀の糸も制作してシエルに渡す。


「ねぇ、リアちゃん。お姉ちゃん達が何してるかわかる?」

「私達のマジックバッグのワッペンもああやって作ってくれたのよ」

「へぇー! こんなふうに作られてたんだー! だけど繊細過ぎない?」

「私もお嬢様から頂きましたが…こんなに手間のかかるものだったのですね…ありがとうございます」

「気にしなくていいよ。便利で、みんなが使ってくれるならそれが一番いいからね」

「お母様の魔道具は世界一ですから!」

「ありがとねリズ」

夕波王国のは確認してからになるから布だけ。

アクシリアス王国のはある程度の枚数を作成しなきゃな。

取り敢えずまずは一枚試作しておくか。


やってみたいって言う子もいたから、小さな刺繍をできるようなセットを作り、渡してあげた。

「私、これ好きかも。集中できて楽しいわ」

「麻帆上手くない?なんで…」

「奈々は裁縫もダメだものね」

「何?奈々って女子力低いのかしら?」

「そういうリアちゃんも似たようなものじゃん!」

「私のがマシよ!」

「いやーいい勝負だよー」

「ねえ様、うるさいわよ!」

揉めながらも楽しんでくれてるみたいだね。


「お姉ちゃん見て見て!」

「未亜、上手だね。これならシエルのお手伝いしてもらっても大丈夫かもだね」

「ほんと!? シエルちゃん手伝わせて」

「未亜姉様、お願いするの…」


最終的に手伝ってもらえそうなのは未亜と麻帆、ピナさんもすぐに上手くなって手伝ってくれてる。

ティアも上手いのだけど、飽きると雑になるから任せられない…。 (魔道具のときと同じ)

あぁ。そうだったね。器用なのに飽きっぽいんだよな、あの子。


「ママーユウキが探してるの!」

「用事?」

「いないからーって」

「レウィが残ってくれてるのに…。ちょっと行ってくるから、シエル、ここは任せるね」

「わかったの…」

「私はお風呂行ってくるわ」

「あ、私も行く!」

「仕方ないわね、奈々行くわよ」

「おー!」

自由だな…。



船に戻ると、待ち構えてたユウキに捕まった。

「居なくなるなら何か言ってってよ…。また何か事件かと思ったし」

「レウィに言付けといたんだけど、あの子は?」

「アスカお姉ちゃん達の部屋で寝てた…」

あー…。それは仕方ないな。


「用事だったならファミリン使ってくれればいいのに」

「…それがあった!」

忘れてたのか。ドラツーから戻る時は普通に使ってたのに…。そんな焦るような事態?


「一つ問題が起きたんだよ。このままだと食事が残念なものになる」

「なんで!?」

ちゃんと料理番の人がいるし、色々持ち込んでるはずよね?


「船からいつも釣りをしてたらしいんだけど、全く釣れなくなったって」

「それって…」

「海竜が守ってくれてるからだろうね」

だよなぁ…。


「食料足らない感じ?」

「そこまではいかないけど、新鮮な海の幸は食べられなくなるね」

それは寂しいな…。

乗組員の人達も当てにしてたからガッカリしてるって言われちゃうと…。


何かしら対策をしなくてはいけないけど、コレばっかりは…。

ラムネ? うん、うん…じゃあお願いしてもいい? ありがとね。


「ユウキ、釣りをする人を船の艫に集めて」

「何するのさ?先に説明してよ」

「ラムネが海竜の子達と、魚を追い込んでくれるから」

「はぁ〜そういう事ね。わかったよ」

「ユウキ、アスカお姉ちゃんは何を言ってるの…?」

「見たらわかるよ。ついてきてスピネル」

「わかった…」

私は王妃様たちに報告だけしておこう。

後は試作した旗を見てもらおうかな。



探したら、王妃様はまだ海図とにらめっこしてた。

「王妃様、船の後方で漁をするので、ご報告しておきます」

「…どういう事?」

ユウキとのやり取りを含め、説明。


「助かるぜ。船っていう限られた中にいるとな、楽しみも限られる。その一つが食事なんだ」

「今回はいいけど、今後はどうするの?ラムネちゃんはアスカちゃんがいないと動いてくれないわよね?」

「ラムネが教えてくれてますから、定期的に追い込んでくれるそうです」

「今後のサポートまで完璧なのね…助かるわ」

「それと、試作した旗を見ていただけますか?手直しが必要なら言ってください」

「もう出来たの!? ってアスカちゃんだものね。 ………いいわ。素敵よこれ」

「良かったです」

「船長、この旗を船に掲げて」

「あいよ。 高級感が凄いな! こんな短時間でこれをつくったのか!」

「アスカちゃんだからよ」

「うちの子達も手伝ってくれてますから」

裁縫に関しては私よりシエルのが間違いないし。


船長は旗を舵輪のすぐ側に設置させた。

高さは数メートル位のものだけど、はためいてて紋章がよく見える。

ただ、角から発生する風で前に旗が流れるから視覚的違和感が…。


王妃様も船長もどうやって釣るのか見たいっていうから、一緒に船の艫へ移動。

そこでは既に戦場のようになってた。

「釣った魚はすぐに絞めてマジックバッグへ入れておけよ!」

「これ高級魚ですよ!」

「めったにお目にかかれねぇマジキじゃねぇか!」

マジキってなんだ…。マグロ?カジキ? (足して割った感じだったら笑えるの)

確かに。美味しければいいけどね。 (それが一番!)


「アスカちゃん、これ…」

「大漁ですね」

「今夜は豪華になりそうだな! ワハハ!」

船長は嬉しそう。


「姉ちゃんやり過ぎ…」

「私のせい?」

「他に誰がいるのさ」

うっ…。 ラムネは悪くないよ。ありがと。


「ますたぁ〜、生臭いわ」

「コレだけ釣れてるとね…。ドラツーに戻ろうか?」

「ええ。私もお風呂入るわ〜」

私も入ろうかな。そろそろ夕方だし。 (ティーも!)

はーい。


「アスカちゃん、後で私もお願いしていい?」

「はい。いつでも言ってください」

「ありがとう。流石に疲れたからゆっくりしたいわ…」

昨夜から色々あったもんね…。











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