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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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契約



海竜の母親と従魔獣契約をするため、魔法陣を描く。


「お嬢様、これはどのような意味があるものなのですか?」

「分かりやすく言うなら、お互いの希望を書いた契約書みたいなもの、かな」

「なるほど…それにお互いが同意すればいいのですね」

「そう。今回で言うなら、私からは船の航海の安全を保証してもらう。海竜からは、自身と子供達へ私が手出しをしない、卵を産むのを見守って、もしもの時は手を貸す」

「え、アスカ様、それだけですか?」

「ええ。なるべく縛られずに、海で自由にしていてほしいですから」

子供も沢山いるし、また新しい子が生まれるのに無理をさせたくはない。



大きな魔法陣に私と海竜が入り、契約を結ぶ。

使役というよりは、お互いの希望を守る為の契約っていう意味合いのが強い。


眩しく光った魔法陣が消えた後には、一回り程大きくなった海竜が。

さっきまで辛そうにしていたのが嘘のように落ち着いてる。

「大きくなりましたよ!?」

「お嬢様と契約したのなら当然でしょう。貴女も強くなったのでは?」

「た、確かに…」

アリアさんたちは契約というか、称号の影響だけどね…。



念の為、海竜を魔力ドームで包み、魔力を安定させておく。

意志の疎通が取れるラムネとキャンディが近くで見守ってくれてたのだけど、あっと言う間に五つほどの卵が産まれた。

私が特に手を貸す必要もなかったな。 (すっげーでっけー!)

私の身長くらいありそうよね。 (巨大なオムライスができそう)

やめなさいって…。 (じょーだんなの)


「海竜の卵…初めて見ました」

「当然だと思います。海竜はもし現れたら国を上げて対処する程の脅威なんですから」

「コチラには出没した事さえありませんから」

大きな大陸にあるアクシリアス王国と、島国の夕波王国の違いなのかもなぁ。


魔力のうねりも落ち着いたし、嵐も収まったかな? (うん! 星空になってる)

そっか、良かった…。

「ますたぁ、名前だけつけてあげて〜」

「いいの?縛られてしまわない?」

「本人が望んでるからいいのよ〜」 

ふむ…。 (どうするの?)

ちょっと考えさせて…。 (かっこいいのがいい!)

お母さんなのに? (あ、そっか…)


 

私は悩んだ末に、ラムネより青みが強いから、ソーダライトって名前を選んだ。

きれいな青い鉱石の名前で、鉱石と同じように強い意志を持つようにって願いを込めて。

よく似た色の青い魔石で魔道具を作って、前足につけてあげた。

当然縛り付けるようなものではなく、つけた名前を刻んだのと、魔力の安定を促すだけのもの。

卵を産んだあとは、まだしばらく不安定らしいから…。


「そういえば…父親の海竜はいませんね?」

「私もそれは思ったけど、聞いていいものなのかな?と…」 

複雑な話だったらちょっと…ね?


「いるわよ〜?ますたぁたちを案内した子がそうよ〜」

あの子、子供の一人じゃなかったのか…。オスってメスに対してそんなちっちゃいのね。 (ママのお祖父ちゃんもそうだし)

いや、まぁ…そうなんだけど。お祖父ちゃんに関しては特殊というか、ね? (えー?)



海竜は無事に卵が産まれて、此方は航路が安全になるのならこれ以上ない成果だろう。

私達は海竜達と別れて、船に帰還。

ラムネはしばらく動けない母親海竜に付き添っててあげたいというから、そのまま。

気が済んだら自分で換えるだろうから、自由にさせてあげたい。

キャンディもそのまま私に付いてくると言うから一緒に船に戻ってきた。



経緯を船長と王妃様に報告したら言葉を失ってた。

「普通はこういう反応になりますよ?お嬢様」

「やっぱりアスカ様はすごいです」

「ママだしー」

「ますたぁならアレくらい片手間よね〜」


「待ってくれ…じゃあ何か? これからの船旅は海竜が保証してくれるというのか?」

「はい。勿論海竜へ手を出すようなことをすればあちらも対応するとは思いますが」

「するわけがない! 出会ったら逃げるしか選択肢はないからな…。未だ信じられんが…」

「船の横を並んで泳いでる海竜を見たら信じるしかないわね…。これは…陛下に報告しなきゃだわ」

子供達の海竜がついてきてくれてるからなぁ。 (可愛く見えてきた)

とはいえ、数メートルはあるんだけどね?


「私も一度報告してまいります。夕波王国へもこのまま近づくのであれば、そちらへの報告も必要になりますから」

「そうだね、アキナさんによろしく伝えて」

「了解致しました」

王妃様は通信魔道具で話してくると部屋に戻り、ピナさんは一度ドラゴライナ王国へと転移していった。

なんか手間増やしちゃったのだろうか…。 (悪くはなってないし?)



私も部屋に戻り寝る準備。

みんなはスヤスヤと寝ててホッとする。

今回も無事に済んだな…。

そう思いながら布団に潜り込む。 

甘えてくるティーを撫ぜながら、この後はトラブルがないといいなぁと考えながら目を閉じる。

…多分無理だな。 (フラグ?)

自分で立てたよね私。 (うん!)

やれやれ…。







 


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