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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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船旅 準備編



船旅に両親は同行できないから、私達だけになる。

母さんは行きたそうだったけど、父さんは仕事があるからって諦めてた。

「あちらで長くかかっても、こっちへは明日には戻るから」

「わかったよ…みんな気をつけてね?」

「うん。地下の魔道具に魔力も補充して起動してあるけど、父さんは渡したアクセサリーも外さないようにね。召喚されたいなら別だけど…」

「わかったわかった。 アスカはちょっと口煩いぞ?」

イラッ…。 (ママ落ち着いて)

まったく。心配してるのに。 (ママのパパはいつもあんなだよ?)

ティーからの評価が酷い事になってるな。 (だって、ねぇ?)




船旅に備えて、ある程度の仕度もした。

念の為に水や食料も追加で持ったし、潮風にさらされる前に武器の手入れもしておく。

ティーが真似してたのはちょっと可愛いかった。 (ママの武器は手入れがいらないの…)

直接切ったりしたら流石に必要だけど、ティーは遠距離から斬撃を飛ばして済ませてるからだよ。 (なるほど?)

刀身が汚れてないって事。 (だって宝物だから汚したくない!)

嬉しい事言ってくれるね。 (ピカピカー)


リズにも武器を持たそうか悩んだのだけど、少し不安だし…。本人も魔法を使いたいっていうから基礎だけはしっかりと教えてある。

私自身、おさらいになったからいい事だね。

あとはリズ本人が魔法の実践を積むしかない。 (戦い?)

ううん。それだけじゃなくて。

魔力ドームだったり、防壁だったり、身を守るものや便利な魔法もあるでしょ? (うん!)


「お母様、リズはお母様みたいに強くなるのです!」

「そっか…でも無理はしない事。まだまだ甘えていいんだからね」

「はいなのです!」

本人が今そうしたいというのなら、それを尊重してあげよう。

道を外れないようにだけ気をつけてあげて…。


「そうよ?リズには私達もいるのだから。やりたい事を色々やってみるといいわ」

「だねー。もちろん悪いことをしたら叱るからねー?」

「はいなのです! リア母様、ティア母様」

「私にも甘えていいからね。リズちゃんは守るよ!」

「未亜母様かっこいいのです!」

みんなもいるから大丈夫だよね。頼らせてもらおう。


「リズちゃんとティーちゃんにはこれ作ったの…」

シエルが渡してくれたのはハーフパンツスタイルの白いセーラー。

可愛い帽子もついてる。 (おー! 可愛い!)

「ありがとうシエル。せっかくだから着せてあげて、あちらへ行こうか」

「わかったの…」

二人に着せてあげてたら丁度家のチャイムがなり、母さんが応対に出てくれたみたい。

奈々と麻帆だね。 (ちゃんと時間通り!)

麻帆がついてるから、多分急かす奈々を抑えたんだと思うよ。

朝から疲れてそうだな…。


「お邪魔しまーす! アスカー!」

「落ち着きなさい、はぁ…もう! 普段は寝起き悪いくせにこんな時だけ…」

やっぱり…。 (元気な奈々とぐったりした麻帆到着!)


顔を合わすなり抱きついてきたものだから、ドラゴン姉妹に取り押さえられた奈々はジタバタしてる。

「一晩我慢したんだからいいじゃん!」

「私はもっと我慢したんだけどー?」

「アスカは忙しい時もあるのだから、もう少し我慢を覚えなさいよ!」

「もっと言ってやって。ほっとくと延々と抱きついてるわよ奈々は」

「いいじゃんーアスカヘルプー」

「奈々、リアも言ったけど、私は戦う時もあるから常にくっつかれてたら流石に困るよ。それに、船っていうのは、船長の指示が絶対になるの。緊急事態とかもあり得るからね」

「…でも!」

「守りたいから言ってるの」

「わかった…」

ようやく落ち着いた奈々は開放された。


「朝から疲れたわ…」

「ごめんなさいね奈々が」

「気をつけて見ておかないとだねー」

暴走する奈々のおかげか、ドラゴン姉妹と麻帆は意外に早く打ち解けたなぁ…。


「お母様達に迷惑かけるのはダメなのです!」

「うっ…私もお母様だよ?」

「えー…」

リズにジト目を向けられた奈々は焦って取繕おうと必死。

当然そんなのが通じるはずもなく…。どんどんリズの視線が冷たくなっていく。

子供ってこういう時辛辣だよなぁ。 (おかげで大人しくなった)

まさかリズが弱点になるとは思いもしなかったけどね。



「朝から姉ちゃん達はやかましいな」

「賑やかでいい…」

「おはよユウキ、スピネル。仕度はできた?」

「もちろん」

「わう! 主様いつでも行けます」

「レウィもおはよ! 骨ガムは持った?」

「わう!」

鞄にしっかり入れてるね。 (そろそろ新しいのに変えないと)

そっちも持ってるから大丈夫でしょう。


水族館の映像の魔石をアキナさんに届けるために、一度戻っていたピナさんの合流を待って、アクシリアス王国へ転移。



ーーーーーー

ーーーー

ーー



「お待ちしておりました、アスカ様、皆様。 王妃様がお待ちですからご案内します」

「ありがとうユリネさん」

いつもの部屋で待っていてくれたユリネさんに案内されて、魔術師の訓練場へ。


港へはドラツーで飛んで行く予定だし、船旅の間は上空を飛ばしておく旨も王妃様には伝えてあるから手配してくれてあるのだろう。 (ティーが飛ばすのー)

お願いね。 (らじゃー!)



訓練場には王妃様と、アリアさんを始めとした見知った近衛兵の人達。

見送りに来てる陛下や王子、それにシルフィー様にアルフィー様。

…なんか揉めてない? (王女様二人が諦めてないの)

それって船旅の事? (そうそう)


「何度も言うけど、通信を受け取るためにシルフィーは待機です! アルフィーは危険もあるかもしれないから連れていけないって言ったでしょう」

「私はアスカ様の婚約者です! ついていくなら私では?」

「おねーさまのおふねならきけんなんてないのです」

二人の剣幕に、陛下も口を挟めなくてオロオロしてて…。


「今は近づかないほうがよろしいかもしれませんね」

「お姉ちゃん、いつの間に婚約者になったの…?」

「え…?」

いや、正式にそんな話したっけ? (王女だから恋人イコール婚約者?)

な、なるほど…。


「未亜、そこはあれよ。私達も婚約者を名乗ればいいのよ」

「なるほど!」

「私もいいの!?」

「…仕方ないわね。私達は対等だものね」

「やったー!」

ちょっと待って…。私の意見は? (挟める余地があると思ってるママは甘い)

うっ…。大切にすると言ったものね…。 え、ちょっと!? (どうしたの?)

称号が変わった…。 (あははっ!)


「魔王の嫁から婚約者に変わったんだけど…ランク下がってるわよ!?」

「でも段階としてはこっちのが合ってるよねー」  

リア達のも変わったのか…。


当然、シルフィー様も変わったようで、私達が到着してるのに気づかれてしまった…。

まぁ挨拶しなきゃだったからいいのだけど。

「アスカ様!」

「おねーさまー!」

駆け寄ってきた二人を慌てて抱き止める。


「アスカちゃんいらっしゃい。早速だけどドラツーをお願い」

「は、はい!」

「アリア達は手荷物だけ積み込んで」

「はっ!」

抗議するシルフィー様達を無視するように、指示を出す王妃様。

私も慌ててドラツーを出す。



「相変わらず意味わかんないよねこれ…カッコいいけど」

「ええ…でも見慣れると安心感は凄いわよね」

「なによ?奈々と麻帆は私のドラゴン姿に文句でもあるのかしら?」

「え?これリアちゃんなの?」

「それは知らなかったわ」

「アスカが私をモデルにして作ってくれたのよ!」

「最初は私のお腹に穴がーって騒いでたのー」

「ティー、それは言わなくていいわよ!」

「ふひひー」

初めはリアと一緒にのんびり旅をするために作ったもんなぁ…。

あれから本当に色々あったけど、基本の姿は変えてない。

アキナさんに似せるためにしばらく変えたくらいで、私の中ではドラツーといえばこの姿。


「アスカちゃん達は先に乗ってて」 

「わかりました」

王妃様に言われて私達は先に乗り込む。

港へはすぐに着くけど、一応船内も意識下で確認して、部屋割等もしておく。


「ティー姉、こくぴっとをまた見たいのです!」

「いいよーいこー」

かけていくティーとリズを見送りながら、みんなにはリビングでのんびりしててもらう。


「姉ちゃん、船じゃなくてこっちにいてもいいの?」

「別にいいけど、船旅なのに?」

「それがさ…」

ユウキが言うには、前回船を見て回った時に、船の居住区画の狭くて暗いエリアをスピネルが嫌がったらしい。

「思い出しちゃうみたいでさ。寝泊まりはこっちのがいいかもと思って」

「なるほどね。そういう事ならわかったよ」

希望したらこちらへ転移させるか。


うちの子達に確認してみたほうがいいかな…?










 

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