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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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いつもの地下で



「お嬢様、船旅に私も同行させてください」

帰国した奈々を迎えに行った翌日、朝からこちらへ来てくれたピナさんがそんなことを言い出した。

王妃様は、私の知り合いなら誰を連れてきてもいいって言ってくれてたけど、ピナさんは私の一存で決められないな…。

「アキナさんから許可は…」

「陛下の許可は頂いてます」

「それなら問題ないよ」

「ありがとうございます」

「でも、理由を聞いてもいい?」

「お嬢様の関わられた最新鋭の船、そんなもの見てみたいじゃないですか!」

そんな理由!? (あっちでは最強最速だし…)

いや、それはどうだろう…?

他の船を見たわけではないしなぁ。夕波王国ならすごい船とかありそうじゃない? (どうだろー)



「期待してるピナさんには申し訳ないけど、私は魔道具の知識とか、造船に使う素材の強化くらいしかしてないよ?」

「…お嬢様は相変わらず無自覚ですね」

今、サラッとディスられた? (気のせい気のせい)


そんな会話をしていたらティアが転移してくるって通知がきたから許可。


「アスカー! 明日には準備が整うから、いつでも来てーって」

「ありがとう。わかったよ」

ナイスタイミングだな…。


せっかく来てくれたティアには、ティーがカメプロで撮影してた水族館の様子を見ててもらう。

ピナさんも興味を示したから一緒に見てて、うちの子達が解説してるのはちょっと面白い。


私も見ていたいけど、早めに奈々と麻帆に連絡しておかないと。

メールをしたらすぐに返事が。

近いうちと言ってあったから、二人とも問題なく予定は開けてくれてた。

明日の朝イチにうちへ来てくれるそう。 (また早朝に来る?)

九時って言っておいたから。 (それなら大丈夫かな)

たぶんね…。


「アスカー、私も見たかったよこれー」

「すごいですねこれは…陛下も喜びそうです」

水族館か〜。ティアは忙しかったというか、こっちへ来れなかったものね。

距離もあるし、おいそれと連れて行ってあげられないからな、申し訳ない…。

「ごめんね…映像で我慢させちゃって」

「謝られちゃうと私が申し訳ないよー。仕方ないし」

プレゼントした、お土産のジンベイザメぬいぐるみを抱きかかえながら、カメプロの映像を眺めてるティアは拗ねてたりするわけではなさそう。


「ピナさんにはタイミングが悪くて渡しそびれてたから…受け取ってね」

ドラゴライナ王国にいる間も、ピナさんは忙しくしていたから会えなかったんだよね。

「ありがとうございます。 可愛らしいですねこれ…」

渡したのはお菓子の詰合せと、水槽のように魚が泳いで見えるハーバリウムみたいなのがついた、アクアリウムペン。

こちらのボールペンとかを知ってから、便利だからと当たり前に使いこなしてるから大丈夫なはず。

ピナさんには新しいマジックバッグ用のワッペンも渡したから、こちらの世界の物はその中へ仕舞ってもらうようにお願いしてる。

マジックバッグも容量が増えたそうで喜んでたし。

増えた一番の要因はアキナさんの奥様になったから、なんだけどね。 (ワッペンはママの手作りだよ?)

まぁね…。鞄もメイド服に合うような小さなショルダーバッグを選んでるのはプロだよなぁ。


ピナさんは水族館の映像をアキナさんに見せたいって言うから、ティーの許可をもらい、コピーして渡した。 (ドラゴライナ王国に水族館できそう)

流石にそれは…。あの規模の水槽を維持するのにはすごいコストかかるし、水圧に耐える水槽を作れるか?って問題が。 (ママの魔法防壁や魔力ドームなら…)

それなら確かにできるけど…。 頼まれたら考える、とかでいいんじゃないかな。


あ、魔力ドームで思い出したよ! (うー?)

ほら、刀を作るって約束したやつ。 (あぁ!)

もう一度動画とかを見て、勉強し直して…魔力ドーム内で再現するか。


地下へ移動して、スマホで動画を探す。

「ティー達ついてきて大丈夫だったのー?」

「いいよ。魔力ドーム内でやっちゃうから危険もないし」

「お嬢様は何をなさるのですか?」

「刀作るって!」

「それは是非見ていたいですね!」

ピナさんが一番興奮してるな…。


ついて来たのはティーとピナさん。

他の子たちは水族館の映像、特にジンベイザメの部分をずーっとリピート再生してる。 (部屋の壁に大きく映せるから本物みたいだし)

サイズは小さくなってるけどね。 (地下ならイチブンのイチでうつせる?)

そうね、リアがドラゴン化する時に拡張したままだから。 (教えてくる!)

はいはいー。 それなら映しやすいように白い壁にして、クッションとか置いておくか。


みんなが地下に降りてきたから、見やすいようにカメプロを設置して再生。 (おぉー!)

これは…! 本物には叶わないまでも臨場感は凄いな。 (リアルだなぁ…)

ティアもこれには大喜び。ありがとねティー。 (ふふー♪)



私はそんなみんなを横目に見ながら刀を作る。

「お嬢様、その玉鋼は…」

「夕波王国の刀屋で貰ったんだよ。これで作ってみてほしいって」

魔力ドーム内へ入れた玉鋼を動画を参考にしながら鍛錬していく。

私が造ると、やっぱりなんちゃって刀にしかならないけど、工程はできるだけ再現して、同じように作刀。


焼入れもしたから波紋もしっかり入ったし、研いだ姿は見てくれだけは一端の刀になった。

「こんな短時間で…」

「魔法って便利だよね。ピナさん、見てくれる?」

「はいっ!」

ゆるく反りもついてるし、見た目だけは本物に近いはず…。


「美しい肌ですね…波紋が直刃(すぐは)なのには理由が?」

「複雑なのは無理だからね」

焼刃土を置いて焼入れ〜って工程があるのだけど、素人の私ではプロみたいな複雑なのは無理。


「見せてくださり、ありがとうございます。バランスもいいですし、何より美しいです」

「そう?良かった…」

ピナさんの勧めで、あちらの文字で銘を刻み、白鞘も作って納めた。


一度抜いて振ってみる。

うん、私好みのバランスだな。

「ティーも持ってみたい!」

「いいよー」

一度鞘に収めた刀をティーに渡す。


明らかにティーでは扱いにくい長さなのに、器用に振り抜くのは流石だよ。

「ちょっと重いのー」

「ティー専用のに比べたら長さもあるし、全部が金属だからね」

「ティーのは魔石も使ってるから?」

「そうそう。魔石のが軽いし」

ピナさんも持ってみたそうだから渡してあげたら、綺麗な型を見せてくれた。


「どこかの流派?」

「いえ、一般的な型です」

「へぇ〜キレイだね」

こっちにも色々な流派がまだ残ってるし、継承してる人達もいるから…本当に奥が深い。


後はこれを時間がある時に見せに行かなきゃな。 (喜びそう!)

本職には到底叶わないけどね…。








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