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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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お迎え



新しい船の進水式とお披露目も終わり、港へ帰還。


近々テスト航海の為に遠出する予定らしい。

「良かったらアスカちゃん達も乗りに来ない?」

「私達がですか!?」

「ええ。アスカちゃんが一番の功労者なのよ?ちょっとした船旅になるから、みんなとどう?」

どうしようかな…。確かに遠出するのに同行すれば、今回ではわからなかった改善点とか見つかるかもしれないけど。 (行きたい!)

だよね…。


うちの子達に相談したらみんな当然行きたいと。

「みんなも乗りたいそうなので、よろしくお願いします」

「ええ! 私も乗る予定だから一緒に船旅を楽しみましょう」

王妃様が!? (うそーん)


「アリア達近衛兵や、ミルフィー達王宮魔術師も何人か同行するのよ」

「そんな大規模なんですか?」

「初めての航路だから、念には念を入れた結果ね」

「陛下がよく許可されましたね…」

「私か、シルフィーか選ぶしかないから仕方ないわ」

「王妃様が出かけてしまうとアルフィー様が寂しがられませんか?」

「陛下もシルフィーもいるし、今はジルスとノワルレイナさんもいてくれるから大丈夫よ」

国の決定に私が口を挟めはしないけど、心配になるなぁ…。


「アスカちゃんがいてくれるなら大丈夫よ!」

「…全力で護衛します」

何もなければそれが一番いい。海魔獣とかが出ても船に影響はでないから。

でも…念の為ドラツーは飛ばして追尾させるか。 (やったー!)

自動追尾でもいいよ? (やー! ティーが飛ばすの!)

じゃあお願いするね。 (あい!)



遠出になるから、当然準備に時間もかかる。

その間、私達は出来る事もないから、自由にしてていいと言われた。


なので、ドラゴライナ王国のお祭りに顔を出したり、景品の補充をしたり…。

お土産もアチコチに配って回ったし、船の完成もアキナさんに伝えた。


例の詐欺事件のアクセサリーを作っている職人さんから、完成した分を受け取って魔道具にしたり。

うちの子達がステッキのサバゲーで無双してるのを見守ったりと数日過ごした。



奈々が限界にならないよう、定期的に自宅へ戻ってスマホの確認も欠かさないようにも気をつけた。

そのおかげで海外から帰国のタイミングを知ることも出来たから、サプライズにと麻帆と一緒に空港へ迎えに行ってみた。

「びっくりするでしょうね、奈々」

「サプライズだしなぁ」

ひと足早く、親御さんとの帰省から帰ってきてた麻帆は、奈々の最近の変化が心配らしい。


「アスカちゃんからの返信がちょっと遅いだけで、私に連絡くるのよ?大丈夫かな?とかいって…」

「ごめんね…」

「アスカちゃんは悪くないわよ。片思いを拗らせてたからだろうとは言ったけど、流石にちょっとね…」

私も恋愛経験とかないし、わからないから何とも言えないけど…。



空港のロビーで待っていると、まるで有名人を迎えるために待ってるファンみたいな気分。

窓からは飛行機の離発着が見える。時間的にそろそろかな。 (飛行機いっぱい!)

あのどれかに乗ってたと思うよ。 

遅れてなければもう到着してるはずだし…。 (ティーはドラツーのがいいのー)

専属パイロットだもんね。 (うんっ!)



定期的に団体の出入りがあるのは乗り降りしてる人達からだろう。

今も大きな荷物を持った人達がロビーに戻ってきた。


その人混みの中に奈々を見つけた。そう思った時には、荷物を放り出し、走り出した奈々が向かってきた。 (知ってた!)

「アスカーーー!」

荷物ほっぽり出してるからご家族の方が慌ててるよ!?



走って来た勢いのまま、飛びつかれるように抱きつかれたな…。これ、私じゃなかったら空港で押し倒されるっていう事案だったよ? (今も結構目立ってるの)

ここまでするとは思わないもの…。


「うぅ…アスカぁ…」

「おかえり奈々」

なにも泣かなくてもいいと思うんだけど…。

「ただいま…。もう私どこにも行かない!」

これは重症だな…。

麻帆も苦笑い。



しばらくして、奈々の荷物を回収したご家族も合流。

「奈々、荷物放り出して! 全くもう!」

お母様が怒ってるよ?


「姉ちゃんがすっごい美人に抱きついてる…」

弟さんかな?お寿司屋では後ろ姿をチラッと見たくらいだったか。

お父様はニコニコとしてるからお辞儀だけしておいた。


「娘がごめんなさいね」

「いえ、サプライズにと思ったのですが…」

「効きすぎたわね。 奈々?私もいるのよ?」

「麻帆おひさー」

「軽っ!」

対応の差に麻帆が引いてる。


「娘から旅行中に色々聞きましたけど…、こんな娘ですがよろしくお願いね」

何を言ったんだ奈々は。お母様からよろしくと言われてしまったよ!?




抱きついて離れない奈々を何とか引き離し、場所を空港のカフェに移して話をした。

どうやら、私と付き合ってるって旅行の間中、惚気けていたらしく、”メールに返事がない!”って大騒ぎしたり、返信が来たらテンション上がったりと随分振り回されたらしい。

なんかすみません…。 (ママのせいではない!)

無関係でもないけどね?


「姉ちゃんがおかしくなった」

弟さんが呆れてるんだけど…。

「うっせ! お子ちゃまなお前にはわかんないんだよ!」

「はぁ!?空港で抱きついてる姉ちゃんに言われたくない!」

姉弟喧嘩を始めそうだから奈々を止めたけど、言われても仕方ない気はする。


奈々のお母様は私と奈々の事に特に抵抗も無いそうで…。

「お母さんは百合漫画で儲けてるから当たり前だよ!」

なんかそんな話を聞いた気がするな、そういえば…。

お父様も特に咎めるとかもなく、ニコニコとしてて何も言わないんだけど大丈夫か? 


「うちの家族の事はいいよ! 会いたかったよアスカー。長かった…」

「一週間くらいよね?」

「もう耐えられない身体になった!」

そんな自慢気に言われても…。 (これは重症)

色々と心配になるなこれは。



荷物もあるし、自宅に帰るというご家族の言うことも聞かないで私にしがみついてるから、已む無く私と麻帆も奈々の自宅へついていく事になった。

「いよいよね、これは…」

「学校でもこの調子だとちょっと困るなぁ」

「それはそうよ…。今も腕を組んで離さないんだから」

うちの子たちは、私がハッキリと受け入れると決めた後はむしろ落ち着いたから、差がすごいのよね。 (今日もお留守番してるくらいだし)

こっちにはついて帰ってきてるけどね。 前なら本当に離れたがらなかったし。

奈々とは一度しっかり話し合わないとなぁ…。






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