宿での一時
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
宿での夕食は、団体用の広い部屋へ案内してもらった。
みんなで食べられるし有り難いね。
所謂懐石料理とでも言うのかな、ものすごく豪華…。
「これはすごいよー! いい宿に泊まれたね!」
「だなぁ。ユウキのお手柄だな!」
両親も嬉しそうでなにより。
レウィの分もしっかりとお皿に料理を出してもらえてる。
泊まりだからと、両親はお酒を飲んでるし、スピネルまでもらって飲んでる。
あの子は未成年とかそういう概念すら無いだろうけど、大丈夫かな? (色気がヤバい!)
ユウキにすっごい甘え方してるもんね…。
タジタジになってるユウキとか珍しい。
「私も少しもらったけど、辛いだけだったわ…」
リア、いつの間に…。年齢的に大丈夫なんだろうけど、見た目年齢でアウトだから!
まぁ、美味しくなかったようで、今はジュース飲んでるからいいけど。
宿の人に見られなくてよかったよ。 (未亜とシエルは止めたの)
ありがとね。飲まそうとしたの誰よ! (ママのパパ)
全く! うちの子に何してくれてるの!?
「父さん、未成年にお酒をすすめるのやめてくれる…?」
「ひっ……いや、は?俺そんな事したか!?」
「したのー! ティーが止めた!」
「すまん…賑やかで楽しくてな。酔ってたみたいだ」
酔いたいからって両親は私の魔道具外してるしなぁ。
「程々にしてね。次は許さないよ」
「わ、わかってる! 酔いも醒めちまったからな…」
威圧したからね。 楽しいのはわかるから加減はしたけど。
いいお肉のすき焼きは美味しかったなぁ…。 (ミノウシ入れたい…)
確かに…。でも、食べるものたくさんあるから、そっちをちゃんと頂こうね。 (あい!)
幸い、刺し身も赤身とかばかりで苦手なものがなくて助かった…。
ただ、あまりにも量が多くて、食べきれない。
かと言って残すのももったいないし…
そう思ってたら、食べ切れなかった分をみんなは当たり前にマジックバッグに仕舞う。
食品ロスもなくなるね…。私も倣うか。
良い事だよね? (食べ物大事!)
だね!
夕食後、酔った両親を部屋へ連れて行き、私達は食後の腹ごなしに宿の売店を見てまわり、少しお買い物。
「ママこれ可愛い!」
「うん?」
ティーが持ってきたのはミニチュアの刀。
そういえば…夕波王国の刀屋で素材をもらって、作る約束したなぁ…。
帰ったら作らないとな。
ティーは気に入ったのか購入してた。
本物持ってるのに…。 (ちっちゃいの可愛いから)
それはそうね。刃にはなって無いとはいえ、気をつけてね。 (あい!)
ティーなら大丈夫だろうけど。
お次は大浴場へ。
部屋にもあったけど、やっぱり大きいのは入っておかないと!
お風呂大好きなリアは大興奮。
「こんなサイズ初めてだわ! すごい…!」
ドラツーのもある程度広いとはいえ、規模が違うからなぁ。
露天風呂をみつけたリアに引っ張られて外へ。
「星空はドラツーから見たほうがキレイね…」
「飛んでるから空が近いんだよ」
後はあちらのが空気が澄んでるってのも大きな要因だろうか。
リズの髪を洗ってあげたりしてたら、ティーがじーっと見てる。
やってあげるからおいで。 (わーい!)
リズがいるようになってから、してあげる頻度も減っちゃったからね…。 (ティーはお姉ちゃんなので)
それでも甘えていいんだよ。 (にゅふふー)
ティーが嬉しそうにしてくれてるから私も嬉しくなる。
大きく変わったのはリア達があまり甘えなくなった事かも。
前なら、私も! って言い出してたと思うけど、今はそれもなくなった。 (リズの前でそれは…)
やっぱりそれが理由かー。
寝る時もリズとティーを押しのけてまで横に来ようとはしないし。
少し寂しくもあるけど、みんなの意思を尊重しよう。
甘えてきたら、その時は受け止めてあげればいい。
「お風呂上がりはコーヒー牛乳よね!」
「リアちゃん、それ銭湯だよ」
「違うの!? でも売ってたわよ?」
どこで得た知識なのそれ…。
銭湯でも温泉でも別にいいと思うよって言ったら、全員購入してた。
私もせっかくだから買ったけど…甘ぁぁ………。 (甘いの、んまー!)
これは甘すぎよ…。
仕方なく成分分離で糖分だけ減らして飲んだ。
「なんかまたアスカが意味のわかんないことしたわ」
「お姉様、何したの…?」
「甘すぎたから調整を…」
みんな揃ってため息つくの止めて!?
「お母様は流石なのです!」
「ありがとうリズ」
手放しに褒めてくれるのはリズだけよ…。 (全肯定リズ)
「リズ、アスカがおかしな事をした時は褒めたらだめよ!」
「凄いのは凄いんだけどね、お姉ちゃんってサラッととんでもない事するし」
「そうなの…。止めないとまたすっごい事するかもなの…」
酷い言われ方! ちょっと飲みやすくしただけなのに! (それくらいならいいけどねー)
うっ…。
まぁでも…リズが私のする事を全部正しいと思わないためにもいいか。
私だって間違いは犯すし、失敗もするんだから。
みんなの存在はリズの教育にもプラスになってて有り難いね。 (そう思えるママはえらい!)
そこで褒められるのね…。ありがとう。
部屋に戻ると、敷き詰めるように布団が敷かれてて、部屋中がまるで一つのベッドの様になってた。
ティーとリズは転げまわって、リアに叱られてる。
「みんなで使うんだかくちゃくちゃにしたらダメよ! 全くもう!」
「ごめんなさいなのです…」
「ごめんなさいなのー。つい…」
謝ってるからリアもそれ以上怒る気もないようで…。
「明日は水族館に行くからね! 早めに休むよ」
「「はーい!」」
私も初めて行くから楽しみだな…。




