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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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なんかごめんなさい



「申し訳ありませんでした!!」

今日アリアさんと一緒に護衛に来てくれていたもう一人の騎士様が、土下座するのかと思うような勢いで頭を下げて謝ってきた。


私はもちろん、ユウキや未亜ちゃんも訳がわからなくて。


「えっと…謝っていただいてる理由がわからなくて…、何かありましたっけ?」

騎士様は頭を下げたまま動かない。

どうしたらいいのこれ…。


「彼女の姉がギルドマスターなんです」

それって冒険者ギルドのってことかな?

「ちなみに副ギルドマスターは幼馴染だそうです」


「なるほど…?え? それがどうしてこんなことに?」

ユウキと未亜ちゃんはとりあえず黙って成り行きを見守る感じですか?そうですか…。


「アスカ様は国賓です。そのアスカ様にギルド所属の者が不祥事をおこし…」

「待ってください。そもそもアレは私にも責任はありましたし。それに国賓って。そんな大層なものでは…」

どちらかと言ったら迷惑かけてお世話になりっぱなしなんだし…。


「アスカ様がどう思われていても国賓なのは間違いないのです。アスカ様がそういうのを好まれないのはわかっておりますが、形式上は…」

そっか…なら余計に不注意だった私の責任じゃない。


なんとか騎士様に頭を上げてもらって話を続ける。

ソファーには座ってくれなかったよ…。アリアさんもだけどね。


「姉の不始末、本当に申し訳ありません。姉に変わり私がどんな処分でも受けます」

処分?どういう事?

「なので、姉の事はどうか…」


「ちょっと待ってください。処分って…あれって問題起こしてた冒険者が捕まって解決したのでは?」

騎士様はちょっと会話ができなさそうなのでアリアさんに尋ねる。


「はい、そうなのですが…国賓への不祥事、責任者は二人とも不在。ギルド員は止めることもしなかった。我が国では国賓への無礼は国王陛下への無礼に等しい不敬に当たりますので…」

不在だったのは仕方ないし、ギルド員も女性の受付しかいなかったのに!?


「でも、王妃様からの事後報告ではそんなこと一言も。厳重注意と指導、教育の徹底をするとは聞きましたが…」

「え?」

「え?」


「アスカ様、それは王妃様から…?」

「はい。捕まった人の顛末までは聞きませんでしたが…」

どういう事だろう? アリアさんも思案顔だ。


「今回、事が事だったので元冒険者で賢者様の王妃様が全権を担って捜査されたのです」

あぁ、元々冒険者をしてたなら詳しいもんね。で、国賓(笑)の私への不祥事となると、王妃様が動いたほうが早かったのかな。

お仕事増やして本当にごめんなさい…。


「件の冒険者による過去を含めた犯罪の証拠の洗い出し、関係者すべての処分等が済み…

あとはギルドへの処分がどうなるのか、という所でなんの通達もない状態のようでして…」

じゃあもしかしてギルドマスターたちはずっと戦々恐々とどんな処分が下るか待ってるの!?


「王妃様からなんの指示もなかったのですか?」

「どうなのだ?」

アリアさんは未だ固まったままの騎士様に尋ねる。


「姉から聞いた話では、二度とこのような事がないようにギルド員の教育をマニュアル化して徹底するようにする事。 常に責任者が常駐、それが出来ないような緊急事は騎士隊へ届けるようにと…」

多分それだと思うのだけど…。


「それが王妃様からギルドへの処分というか通達の気がするのですが…」

「うん、僕も話を聞く限りそうだと思う」

ユウキもそう思うよね。


「なっ…そんな…」

騎士様が驚きすぎて顔色悪くなってるけど、大丈夫かな。


「アリアさん、王妃様に直接聞かなかったのですか?」

「そのような事できるわけありません」

そうなんだ…。


「えっと、じゃあ後で聞いてみますね。私も当事者ですし…」

「そうして頂けると助かります」

うーん、でも早いほうがみんな安心できるよね?


「アリアさん、お城の王妃様へお手紙を届けて頂く事はできますか?」

「はい、早馬ですぐにでも」

「わかりました、ちょっと待ってくださいね」


急いで王妃様に今のやり取りを手紙へと書いて届けてもらうことに。


後から私が王妃様にお手紙書くとか不敬にならないか心配になったけど、それは大丈夫らしい。





一時間も待たないで王妃様からの返事が届けられた。


”アスカちゃん、ごめんなさいね。そんな事になってたなんて知らなかったわ。

厳重注意と教育の徹底をするように指示を出して終わったはずだったのだけど…。

皆を不安にさせてしまって、アスカちゃんをまた巻き込んじゃったわねぇ。

最終処分決定を正式な書状にして同封してあるから、それをギルドマスターへ渡してくれるかしら?

それなら公式な物だし、皆安心するはずだから、よろしくね〜。“


王妃様軽いなぁ…。


「アスカ様、王妃様からはなんと?」

「最終処分を正式な書状にして同封してくださったみたいです。それをギルドマスターへ届けてほしいと。なのでギルドへ向かいたいのですが…」

「わかりました。すぐに準備させます」

え?準備?このまま届けるだけじゃないの?


「お姉ちゃん、大丈夫そうなの?」

「うん、やっぱり思った通りだったよ」

「てことは、教育とかマニュアル化のが最終処分だったってこと?」

「そういう事だね」


「うわぁぁーん。お姉ちゃん…よかったよぉぉ」

え?なに?


騎士様が泣き崩れてらっしゃる…。そしてキャラも崩れてらっしゃる。

「お姉ちゃんが心配だったんだね…」

未亜ちゃんがもらい泣きしてる。

心配をよくかけてる姉としてはいたたまれない。



なにやら抱えたアリアさんが戻ってきた。

「アスカ様、王妃様からの書状をこの箱へ。少々大きいですが、これしか用意できず申し訳ありません」

うん、でかっ! 豪華なお菓子が入ってそうな箱だよ。 なのに中には、お手紙一通…。

アリアさんはいつもの鎧に着替えてるし…。どこに持ってたんだろ、ストレージ持ちかな?


「ほら、お前も泣いてないで着替えてこい」

「はいぃぃ…」

泣きながら色々崩れた騎士様も着替えに向かった。


これはアレかな?正式な書類を届けるならそれなりの体裁が必要って事かも。

「アリアさん、私はこのままで大丈夫ですか?」

「大丈夫です! 大変お美しいです」

「あ、ありがとうございます…」

そういう意味じゃなかったのだけど、大丈夫ならいっか。 


「ユウキと未亜ちゃんはどうする?」

「もちろん行くよ。僕はギルドに行きたかったし」

「私もお姉ちゃんと一緒に行くよ」

ということらしい。



鎧に着替えにいった騎士様を待ってギルドへと向かった。







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