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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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修羅場のアスカ



アルディエル母様は以前からゆったりとした、引きずるほど長いスカートのドレスをいつも着ていた。

だから、言われるまでわからなくて…。


「ほら、触ってみろアスカ」

「…はい」

母様に言われてお腹に触れると、確かに大きくなってた。


私の預けた力の器を直ぐに使ったとは聞いていたけど、大きくなるのが早くないかな?

「妾とアスカに似た、可愛く強い娘が生まれるぞ!」

「女の子は確定なんですか?」

「普通は強い方に引っ張られるのだが、妾もアスカも女だろう?」

「なるほど…」

ドラゴンも似たような事言ってたなぁ。私が魔王を引き継ぐ時は男の姿だったから次代の魔王は男になったの?

でも私、本当は女だったのに…。 (そんな呑気に考え事をしてる場合じゃないの!)

うん? ひぃっ…


母様と、のほほんと話してて気が付かなかったけど、背後から凄まじい圧が! (迂闊すぎる)

言い返す言葉もない。



「お姉ちゃん、相手はお母様なんだよね?どういう事…?」

「私達の知らない所で何してるのよ!!」

「…これはうちも庇えないの…」

シエルまであんな冷たい目を!?


「スピネル、レウィ、避難するよ!!」

助けてよユウキ!

事情は知ってるでしょう! (ティーとリズが守るの!)

こんな事態を子供に守られてたらダメよね!?

「リズの妹なのです?」

「そうなるな。ほら触れてみるといい」

「…わぁ」

この状況でも動じないリズは大物だよ…。 (ママの子だし)

正確には一代はさんでるから、孫にあたるけどね。 (JKでお祖母ちゃん?)

…子供で。さすがにお祖母ちゃんとか言われたら泣ける。




「なんだ、アスカは話してなかったのか?」

「はい…。私自身あまり実感もないものですから」

「それはそうだろう。アスカはあくまでも妾の願いを聞き届けてくれただけだからな」

とはいえ、無責任な事は出来ないのだけどね…。

実際に私の力も受け継いだ子が産まれるのだから。



「羨ましいか? お前たちの様な小娘にはまだ早いぞ。妾の様にアスカに釣り合うくらいの力を手にいれてからにしろ。話はそれからだ」

「そんなの無理よ!?アスカがどれ程の魔力を持ってるかわかって言ってるのかしら…」

「ルナリアといったか?お前もドラゴンなら不可能ではないだろう?」

「それはそうかもしれないけど…」

母様もみんなをけしかけないで!


「人間の私は…」

「未亜、お前もエルフの血を引いているのに可能性を諦めるのか?エルフのシエルもまだまだ強くなるぞ」

「母様、こちらの強さで図られては困ります。すでに自分たちの世界では飛び抜けてますからこの子達」

「そうなのか?世界が違うとこうも差があるのか」

母様基準にしてしまったら師匠でさえ弱くなるよ!



みんなには母様にも協力してもらい、事情の説明。

私の力を器にいれて、託しただけだとわかったら、みんな納得したようで怒りもおさまったらしい。

どこが基準なのかわかんないよ! (そこはまぁ…アレなの)

なに!? (ここでは言えないのー)

何でうちの子は私より色々と知識が豊富なのか…。これがわからない。 (まぁまぁ…)



実際にその器も母様がみんなに見せてくれた。


「これを借りれば私もアスカの子を…」

「それは止めたほうがいいな。アスカの力にはいくらドラゴンのルナリアとて耐えられん」

「だから同じ強さになれと!?」

「そういう事だな」

いや、それって私が器に込める力を加減すれば良いだけでは…?そもそもドラゴンの血を引いてる私と正式な契約をすれば同等になるでしょうし。 (それ、今言ったらどうなるかわかんない?)

…っっ! 絶対に言わない! だから母様は敢えて…?ありがとうございます母様。


「でも姉ちゃんがさ…むぐぉっ…」

余計なことを言いそうになったユウキの口に、咄嗟に投げたのは一口サイズのお菓子ケーキ。 (ミエナカッタ…)

「ユウキ…?話しながら食べるのダメ…」

「……」

睨みつけて威圧もしたから、理解してくれたと思う。 (真っ青になってるの)

ケーキ詰まらせたんじゃない? (…そうかも。見えない速さで投げられたし…と、いうことにしとくの)


「妹にまた会いに来てもいいのです?」

「アスカに連れてきてもらうといい」

「ありがとうなのです!」

流石母様…。あっという間にリズに懐かれてる。

膝に乗せてもらい、撫ぜられてるからよっぽどだ。

師匠になんて近付きもしなかったのに…。 (さすがの包容力!)

だねぇ…。やっぱり憧れるよ。 (師匠は?)

師匠は戦闘や、それに関する心構えって部分で憧れてるし、目標だよ。

ジャンルというか、方向性が違うのよ。 (解散するやつだ!)

それはバンドとかの話かな? (それそれ)



弟夫婦も器を巡って何やら揉めてる。

「スピネルも借りようとしない!」

「これでもダメ…?」

「今はまだ待って。約束は守るから」

「…わかった」

相変わらずスピネルはスキあらばだなぁ。 (しょんもりしてる)

やっぱり長く独りぼっちで寂しかったのも影響してるのか…。 (そう聞いちゃうと…)

子は鎹っていうくらい、親同士をつなぐ存在だから、ユウキを繋ぎ止めるためって考えてるのかも…。


「ユウキ、ちょっといい?」

「な、なんだよ姉ちゃん…」

「……………」

「……………なるほど、確かに」

「でしょ?二人で見に行ってもいいし、私が用意してもいいよ?」

「二人で探してくるよ。姉ちゃんには誓いの時のを頼みたいから」

「そういう事なら…」

ユウキの事だから、シャーラとも探しに行くだろうな。 (内緒話ー?)

落ち込んでるスピネルへサプライズになるようにと思ってね。 (なるほど!)

うちもみんなに渡してるし。 (うんうん!)


称号もそうだけど、やっぱり形のあるものって違うから。

うまくスピネルに伝わるといいけど…。 (最近は人の世界の常識にも慣れてきてるからへーき)

だよね。学習能力すっごい高いし。 (さすが精霊)

スピネルがユウキの為にって頑張ってるのもあると思うよ。 (かもー!)













次回から三話、クリスマス番外編になります。

時系列等が本編とズレますがご了承ください。

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