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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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魔石と遺跡



奥様達の治療も無事に終わり、ティーにアキナさんへ報告もしてもらった。

しばらく安静にさせておきたいからまだ動かしたくない。


となると、後はこのダンジョンか…。


「レウィ、ここで守りを固めてて」

「わう…」

「ねぇ、レウィ? 私が四人を助けられたのはレウィの機動力のお陰なんだよ。ありがとね」

「わう! お役に立てましたか?」

「当たり前じゃない! レウィは家族だからね。ちゃんとそばいてね?」

「わう!! 了解です主様」

途中で魔力が減って足手まといになったかもって落ち込んでるっぽいレウィを撫ぜておく。


「キャンディもこのままここを確保しておいてね」

「わかったわ〜。ますたぁはダンジョンを調べるのかしら〜?」

「うん。根本を探るなり、潰すなりしないとね」

「それなら〜」

キャンディが見つけたと言う最奥の部屋。

そこに見たことの無いものがあったそう。

ダンジョンのコアか、それがマスターか…。

行けばわかるか。


「ティーはママと行くの!」

「ますたぁのこと任せたわよ〜」

「うんっ!」

じゃ行こうかティー! (あい!)



這うようにして小部屋を出て、キャンディに教えてもらったルートを辿る。

また狭くて、とても道とは言えないようなルート。


「くっ…せまっいっ…」

「ママおっきいから…」

「こんなときは邪魔でしかないよ!」

「えー、ママとハグするとふわふわで包まれて気持ちいのにー」

そう言ってもらえるのなら、狭い通路につっかえるコレにも価値があるかと思えてくるから不思議だ。


結局、通れなくて壁を削ってやった。

「そこだけ削るの!?」

「下手に広げてなにか出てきたら不味いからね」

「大乳道」

「やかましいよ!?鍾乳洞みたいに言わないで」

「ふひひ。小じゃないし」

鍾乳洞の鍾はそういう”しょう“じゃないんだけど。



通路で無駄に時間をとられて、たどり着いたのはさほど広くない部屋。

小さな扉があり、開けると中には巨大な赤い魔石。

包む様に展開されていたはずの結界は八割方崩れてる。

魔石は鑑定してみると、魔獣の発生の原因は間違いなくこれ。


定期的に召喚されるようになってるのだけど、喚びだす魔獣が普通の魔獣だから…。 (まずいの?)

繁殖しちゃうのよ。 しかも長年放置されてたから実際に内部で繁殖もしてたんじゃないかな? (子供産むのは計画的に!)

魔獣に言っても…。


そして状態保存のかかってない魔石は、老朽化したせいで術式が乱れてて召喚サイクルが爆速になってる。 (どれくらい?)

それこそ秒間何百体。 (うえー…)

今、停止させたからもう平気よ。 (おー! 消えた!)

え? (王国にいた魔獣がほとんど消えた。残ったのはちょびっと)

これを止めたからか。消えなかったのは繁殖した違う世代のかもだね。


ユウキが見つけたときには敵がいなかったと言ってたけど…こんなに溢れてたのに?

❲それなら多分ここにある魔石よ〜?❳

キャンディにそう言われて例の小部屋に戻った。


「この人が手に握ってたわ〜」

傷に苦しんでいた奥様が、治療して眠ったことで力が抜けて落としたらしい。

拳大の赤い魔石を鑑定。


「ママそれ何ー?」

「ここに設置してあったんだと思うけど、低階層との扉を管理するものだね」

アキナさんから聞いた遺跡の使いみち、それを思い出せば理由は見えてくる。 (そう?)

浅い階層は弱い魔獣。強い魔獣を喚びだす深い階層は対処できる人が訓練する時だけ通過してたんだと思う。 (じゃあその魔石を外しちゃったから…)

うん、扉が開きっぱなしになって、深い階層の強い魔獣が溢れ出した。 (じゃあ犯人はこの人?)

直接の原因はそうかもしれないけど、アキナさんに調査を任されてた奥様は遺跡に詳しいはず。

という事は、この魔石をここの管理をしてる魔石と勘違いして止めようと取り外した可能性があるね。 (不可抗力の事故?)

そういう事。アキナさんには正確に報告するけど、他言無用だよ。 (あい!)


大ケガまでしながら必死に止めようとしてくれた、そんな人達に責任を感じてほしくはない…。

しかも本当のコアはあんな分かりにくい場所にあるし。 (大乳道の先なー)

それはもういいから!



気を失っていた四人も目を覚まし、私を見てびっくりされた。 (こんな所に王女がいたら…)

そうだけど…。


みんなと四人を連れて外へ転移、外で待っていてくれた奥様とも合流。

無事に再会できて抱き合って喜んでる姿は私達の守れた光景なんだと思うと嬉しくなる。



全員で転移して、ドラゴライナ王国へ帰還したのは夜も開けて明るくなってからだった。

アキナさんと奥様の再会も見守り、報告は休んでからでいいって言われたから、みんなで転移してお屋敷へ戻った。

疲れてるし、全員にクリーンだけかけてベッドに潜り込む。

甘えてくるみんなに揉みくちゃにされながらもぐっすり眠れた。

本当、慣れたな私。



お昼過ぎに起きた私は、庭で休んでたチョコ達を、お礼がてら撫ぜてあげたりとスキンシップ。

「ますたぁ…私も〜」

「一緒に寝てたのに?」

「それはそれよ〜」

抱きついてくるから受け止める。

「キャンディもありがとね。本当に助かったよ。 ふにゃぁ!?」

「可愛い声あげるわね〜」

ちょっと!? まぁいいか…顔うずめてるだけだし。

撫ぜてあげたらうっとりしてる。

「ますたぁってこんなに包容力あったかしら〜」

「どうだろうね?」

「子持ちは違うってことかしら〜」

あぁ…アルディエル母様の所で聞いたっけ。

子を持つ親の慈愛。私にもそれがあるというのなら、間違いなくティー、最近はリズもいるからだろう。


キャンディといちゃいちゃしてたら、起きてきたリア達に怒られた…。

それを止めてくれたのはピナさん。


「お嬢様、睦み合っているところ申し訳ありませんが陛下がお待ちです」

「わかったよ。 ごめんね、大切な報告があるからみんなは待ってて」

「なんでよ?アスカは私達に隠し事をするのかしら?」

「…その言われ方はやだな…。国の機密に関する事だろうから私の判断で口外できないの」

「リアちゃん、そういう内容なら仕方ないよ」

「…わかったわよ! 話せる内容なら聞かせてくれる?」

「もちろん」

心配かけてばかりだからね…。ごめんよ。



私はピナさんと二人でアキナさんのお屋敷へ向かった。









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