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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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女王の優先順位



アキナSide



シラハと今後の話し合いもあり、もう一日夕波に滞在するつもりだった。

うちの大事な王女に対してやらかしたシラハに躾もしてやらないと。そう思ってたら突然部屋にティーちゃんが。

「ドラゴライナ王国に魔獣の大群! ママが応戦してるの!」

私は大急ぎで仕度を済ませ、ピナを連れて自分の守るべき王国へ転移した。


執務室ではお姉ちゃんが必死に対応をしてくれてた。

「アキナ! 大変だよ!」

「ありがとうお姉ちゃん、私が現場に行く! お姉ちゃんにはこのままここを任せるよ」

「えぇ!?」

本来なら私がここに残るべきなのは理解してる。


それでも…。

原因は遺跡ダンジョンだろう。という事は調査に向かわせたあの子達は…!!

っ! 落ち着け。私は国を預かってる。

何千という国民を。 数人の嫁と、どちらを選ばなきゃいけないかなんて明白だ。

いつも嫁達に言われてる。 何かあったら優先順位を間違えないようにと。

頭ではわかってる。だけど…!


お姉ちゃんと、ティーちゃんから現状の報告を受ける。

ティーちゃんのおかげでリアルタイムで情報が集まるのは助かりすぎる!


ある程度把握した私は現場へ転移した。

ティーちゃんの報告どおり、アスカちゃんのおかげで混乱は収まり、死者もない。この乱戦の中でだ。

その上で現場では既に攻勢に移ってた。


こっちの方角にあるダンジョンって言うと、管理できてないのはユウキ君たちが新しく見つけたやつだね…そうなるとやっぱりあの子達は…。

くそっ…この量は今までにない規模だ。これだから遺跡を放置したくないんだよ!


今までも何度かこういう事はあった。

少なくない犠牲を払い、遺跡へたどり着いて制圧し、今は管理してる物もある。

街から遠すぎるのは完全に潰しもした。


だけど、ここまでの規模は未だかつて無い。

多分、森の奥深くで魔力が濃いせいだろう。

魔力が濃いと必ず魔獣は強力になり大きくなる。

それは遺跡の生み出す魔獣にも影響するし、下手したら変異種なんかも産まれる。


私の街はドラゴンやその血を引くものが多いから、当然魔力も高い者が多い。

本能に忠実な魔獣は、そんな魔力の高い相手を捕食しようとここへ向かってくる。

だからこそ壁も高くしてるけど…。

流石にハルピュイアとワイバーンが同時なんて予想もしてない。

今後を考えて、対策を練らなきゃ…。




兵に指示を出して、アスカちゃんから現状報告を受ける。

まだ増え続けてると。地上はアスカちゃんの魔法で押しとどめてくれてるのなら空に集中できる。


私も戦おうと思った矢先、アスカちゃんから、遺跡にいる嫁たちが無事だと情報が。

ティーちゃんの分体か…。ホントに助かる。

あの子達生きてるんだ…。 飛び出していきたい気持ちをなんとか抑えてたらアスカちゃんが行くって。


止めたのだけど、自分は現場での指揮に向いてないからと。

ここまでしてくれてたら充分過ぎるのに。本当にこの子は自己評価が低い。

その上でこんな時に動けなくなるのなら王女って肩書きはいらないって…。

そこまで言ってくれるアスカちゃんを止められる?

いや、私なら命令して止めることはできる。

でもそれをしたらアスカちゃんは私を嫌うかな…。

それに、今この状況を打開できるのは間違いなくこの子だ。


もしかしたらあの子達も…。

そんな淡い期待も込めてお願いした。

直ぐにレウィちゃんに乗って駆け出していった後ろ姿を見送る。


…あの子、走りながら凄まじい数の魔獣を蹴散らしてってるんだけど?なにあれ…どうなってるの。

はぁもう。なんかホッとしちゃった。

アスカちゃんなら大丈夫、そう思えたから。きっとあの子達も連れて帰ってきてくれる。そんな気がする…。



それなら私はここを守る! そう思ったのに…


アスカちゃんと恋人になったからか、力の跳ね上がった子たちが圧倒してて手を出すスキさえ無いのは…。


私はアスカちゃんの用意してくれてる安全地帯で情報をまとめて現場指揮を執るのが仕事かな。


「陛下、民間人の避難は広範囲にて完了。負傷者も王女様のおかげでピンピンしてまして…全員戦線に復帰したいと」

「許可する。 だがハルピュイアに耐性の無いものは後方待機だと言っておけ!」

「はっ!」

二の舞は避けなくては。





「ママが、外の四人保護したよ!」

アスカちゃんが飛び出していって数時間、ティーちゃんからその報告を受けた時は本当に力が抜けるかと思った。

ありがとう…。


「ダンジョンに取り残された人も助けるために入ったよー」

「それは止めて! ダンジョンの中は外と比較にならないから!!」

「制圧してってるけど…とめるの?」

……私はまだあの子を過小評価してたの?

溢れたダンジョンなんて強敵で埋め尽くされてる筈なのに…。

弱い個体は捕食されてるから残るのなんて本当の強者。それを制圧!?


…ふぅ〜。落ち着かないと。



一時間も経たずに中にいた四人も発見、全員生きてるってティーちゃんから報告を受けた時にはもう耐えられなかった。

膝から崩れた私を心配してくれるティーちゃん。

「へいきー?」

「大丈夫。ホッとしたら力抜けちゃって」

「ママならこれくらいよゆーよゆー!」

本当にそうなんだから困る…。 

本気で女王をあの子に譲りたい。

だけど、あの子の言う自由に動けない肩書きは、きっと重荷なんだろう。


まだまだ私が頑張るしかないか。

アスカちゃんを手放す気はないけど!

そんな事をしたらセルフィーや、ユウナミまで黙ってないだろうからね。

王女のまま、自由にしててもらうのがきっとあの子に一番いいんじゃないかと思う。

私は後ろ盾として守ることくらいしか出来ないけど…。








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