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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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救助へ



門を出たら魔法防壁に阻まれて、大型の魔獣が大量に。

小型のがいないのは蹴散らされてきたか、逃げたのか…或いは捕食されたか。


「レウィ、魔法防壁で前方は覆うから真正面から突っ込んで!」

「はい!!」

レウィの前方に△型に魔法防壁を展開。左右には水平に魔法防壁を刃物の様にして数メートル伸ばしておく。

このまま走れば、レウィの速度である程度は切り裂いていける。


駆け出したレウィはすぐにトップスピードになると風のように森へ向かって駆けていく。

魔法防壁に当たった魔獣は倒していけるけど、倒し切るには数が多すぎる。

先ずは救助が優先だ。



平原を駆け抜け、森へ。

左右に出していた魔法防壁は解除する。木まで倒してしまうし…。


森の中は、木々の間を埋め尽くすような数の魔獣。

この辺りは適度に間伐されてるから余計にか。


ティー、方角わかる? (向かって一時方向!)

ありがとう。そっちは大丈夫? (みんながんばってるけど数が多いの!)

無理しないでね。魔力が減ったら魔力ドームへ避難しなさい! (はい!)


称号のおかげでみんなのステータスが跳ね上がってるのがせめてもの救いか。


「レウィ、少し右に向かって」

「わう!」

レウィの背中から出来るだけ魔法を使って倒してはいるけど、大規模な魔法が使える訳ではないからたかがしれてる。




レウィに乗ってどれくらい森を走ったか。

定期的にティーが方向の修正をしてくれて助かった。 (ふふーん!)

単純に向かってくる魔獣の来る方向へ行けばいいかと思うかもしれないけど、森が深い上に、魔獣が大きな樹を避けてるから正確な方向が私では把握できない。

魔獣も多いから探索も広げすぎるとキツいし…。


人工物らしきものと、魔獣とは違う反応を見つけたのは、西門を出て数時間後だった。

「ありがとう、レウィ。ここからはできるだけ安全を確保したいから手を貸してもらえる?」

「おまかせを!」

私もレウィから降りて聖剣を出す。

レウィはプレゼントした爪の出る手甲で魔獣を切り裂いていく。

「ティーも!」

「ありがとね、分体だから武器ないよね?」

「うん。本体が持ってるから」

「じゃあこれ使いなさい」

「あい!」

ティーに聖剣を渡し、自分は魔剣を装備。


「私も手を貸すわよ〜」

「やっぱりついてきてたね…危ないのに」

「ますたぁの傍にいられるなら大丈夫よ〜」

「ありがとう…」


ここまで来ると魔獣がそこまで広がってないのが救い。

遺跡の出口まで殲滅しながら進み、出口は魔法防壁で塞ぐ。

これでとりあえず打ち止めにはできる。


「みんなは周りの警戒を! 離れすぎないようにね」

遺跡の地上部分の建造物は石造りとはいえ、老朽化している所に魔獣が溢れたせいでかなり崩れてる。

調査していた奥様達がベースキャンプにしていたであろうテントとかも踏み荒らされてるな。


崩れた遺跡の窪みのような場所に隠れていたのは数人。

アキナさんのお屋敷でも顔を合わせたし、私の誕生日にも来てくれてた人達。

「大丈夫ですか?助けに来ました」

「…本当に…?助けが…」

「…陛下…申し訳ありません…」

意識も朦朧としているから、確認も取らずに魔力ドームで覆い、鑑定して治療していく。

かなりの大怪我で、失血もひどい…。


四人全員の治療をして、比較的傷の浅かった一人がすぐに目を覚ました。

「っ!! 王女様!?」

「助けに来ました。もう大丈夫です」

「中に入った四人は!?」

「え…?中って…まさか!」

「ダンジョンです!」

そんな…!


「ますたぁ、行くのよね?」

「…うん。行くよ!」

「ティーも!」

「わう、主様と何処までも!」

「わかった…。  皆さんは安静にしていてください! このドームから出ないように」

「しかし! 王女様は…」

「私はアキナさんの姪ですよ?蒼白の巫女の娘でもあります」

「でも…きっともう…」

「希望を捨てなければ可能性はあるんです! 急ぎますから、失礼しますね」

「王女様! なりません!」 

引き止めようとしてくれるけど、ここは譲れない。


私達は魔法防壁で塞いだ入り口を抜けられるけど…。

既に入り口は魔獣でギチギチ。

遺跡で炎を使う訳にもいかないから…。氷を撃ち込むか?

「ますたぁ、ここは私に任せて〜」

キャンディはそう言うと、霧化してダンジョンへ。


あっという間に入り口付近が制圧された。

「よし、行くよ!」

救助は時間との勝負だ。


先行したキャンディがどんどんマップを埋めながら、敵も殲滅してくれてる。

「ティー達することないのー」

「わう…」

ほんとキャンディはダンジョンでは無敵だわ。


ただ、殲滅してくれてる筈なのに何処からともなく次々と湧いてくる。

まるでダンジョンマスターでもいて、侵入者である私達を排除しようとしているかのように…。


キャンディは先行してマップを埋めてくれてるから、私達も増える魔獣を倒しながら最短距離で下層へ向かう。


地下二階、三階…下るほどに敵は強いのが湧いてくるけど、倒せないものではない。 (よゆーよゆー)

油断はしたらだめよ。 (あい!)


地下十階、そこへたどり着いた時にキャンディから、”見つけた!“ と。

無事!? ❲際どいわね〜…辛うじて息をしてる程度よ。この小部屋よく見つけたわね〜❳

直近の危険は? ❲助けようと抱えて部屋を出たら終わりよ〜❳

すぐに行く!


どうやらこの下の階層で行き止まりらしく、その最奥近くの小部屋に避難してると。

「急ぐよ!」

ティー、レウィと前方だけを蹴散らしながら進む。


下層への階段を降りたらまた迷路。 急いでるのに!! (ママ焦ったらだめなのー)

そうだね…。

深呼吸を一つ。 マップで居場所を確認して最短ルートを計算し突き進む。



地上の森深くで見かけたキマイラやらがうじゃうじゃと。

「邪魔するな!!」

「ママ、レウィがそろそろ魔力ヤバい!」

「わ…わう…大丈夫! 主様は行って!」

「ダメだよ! ティー援護!」

「あい!!」

私はレウィを抱えあげて走る。

並走するティーが前方の敵をなぎ倒してくれるから止まらずに進み続け、ようやくキャンディが制圧してくれてる範囲へ入り、ホッとする。


❲ここからは私のテリトリーだから安心していいわ〜❳

ありがとね。

レウィを下ろしてティーについててもらう。


這ってしか入れないような小部屋には、大怪我をしてぐったりした奥様が四人。

直ぐ様魔力ドームで覆い、時間停止。よかった…辛うじてだけど生きてる…。

そこで私もやっと胸をなでおろす。









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