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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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帰国、そして…



夕波王国での役目を終えて、一足先に帰る許可も貰った。


私が帰ると知った魔族の人たちが悲しそうにしてたけど、ハルナさんは私の叔母だから、此方での仕事を頑張ってほしいとお願いしたら張り切ってた。

ドルチェさん達も魔道具の生産を勧めてくれているから、きっと良いものが出来上がる。


アキナさんはピナさんを護衛に、もう一日は此方で話し合いとかがあるらしい。

一緒に帰るかと確認したお祖母ちゃんとお祖父ちゃんは、リゾートが気に入ったからと、暫くハルナさんのところに滞在するって。



「じゃあ私達は帰ろうか」

まずはみんなをドラゴライナ王国へ連れて帰った。


私はお土産や、雫の小瓶を渡すためにあちこちへと転移して、ドラゴライナ王国へと帰ってきたのは夜になってからだった。

「ママお疲れ!」

「ティーと、リズもついて来てくれてありがとね」

「お母様と離れたくないのです…」

リズが甘えたさんになってるから、二人を抱き上げてみんなの待ついつもの部屋へ。



今は責任者代理になってる母さんにも報告した後、私達は地球に帰るつもりだったのだけど…。

「アスカー助けて!!」 

「母さん!? どうしたの…」

部屋へ駆け込んでくるなり、すがりついて助けを求められるとかよっぽどだよね。 (トラブルかな)

かな…ティーは知らない? (街のほうが騒がしいから今見に行ってる!)

ありがとね。 (あい!)


アキナさんに責任者として国の事を任されてた母さんは、奥様達の協力もあり、特にトラブルもなく纏めていたらしい。

それが、ついさっき警報が鳴ったと。

「ワイバーンとハルピュイアの同時襲撃が起こってるの! 耐性のない兵士がハルピュイアの声で混乱になってて、ワイバーンへの対処が上手くいかないの!」

それ一大事じゃない! (混乱した兵士で同士討ちが…)

ケガ人は!? (結構な数)

急がなきゃ…。



「それなら私達の出番かしら」

「僕たちは姉ちゃんの魔道具で状態異常も無効化されてるからね」

「…私も手伝う」

リアにユウキとスピネルも手を貸してくれるなら有り難い。


うちの子達もみんな手を貸してくれるというから、先ずはチョコ達を庭に召喚、チョコ、クッキーには先行してもらった。

「この中で治療できるのはお姉ちゃんだけだから、戦いは私達に任せて」

「…レウィちゃんもボタンもいるから大丈夫なの」

「じゃあティーとリズ、プリンは治療するママの護衛!」

「なのです!」

「わかったよ、ありがとね」

襲われた方角は西側、一回目の狩猟大会で行った方角だから記憶にも新しい。


「母さんは責任者なんだから、本営にいてね」

「わかったよ…夕夜も行ってるから手を貸してあげて」

父さんが…。


うちの子達を連れて、西の門の外へ転移。

キャンディには混乱している兵士の気絶、ラムネにはクッキー達の援護を頼む。

「気絶させたら集めておくわ〜」

「お願いするよ。魔力ドームで安全地帯を作るからそこへお願い。 飛べるリアはクッキーたちの援護をお願い。先ずはハルピュイアを落として」

「わかったわ!」




現場は混乱した兵士との同士討ちがあちこちで起こり、かと言って仲間に本気で攻撃できない正気の兵士が防戦一方で、ケガ人も凄い数。

上空にはワイバーンとハルピュイアが数えられないほど飛び交ってて、チョコ達と激しい空中戦が…。


味方が知り合いだけなら威圧で全部落とせるけど…ここでそれをしたらうちの子達以外全てに被害が出ちゃう…。地道にやるしかない。

民間人の避難は警報により済んでるようで、探索で見る限り武装してる人しか見当たらない。


「キャンディ! お願い、急いで!」

「任されたわ〜」


拡声魔法を使い、混乱者を気絶させ、ケガ人の治療を始めるからと通達。

霧化したキャンディが混乱した兵士を一気に制圧してくれて、手の空いた兵士にも気絶者を魔力ドームへ移動させてもらう。



私はティー達に背中を任せ、ケガ人を治療して移動させる…。そんな事を何度も繰り返しながら、ようやく戦える人だけが残った。

「アスカ! 助かったぜ…」

「父さんもお疲れ様。ケガはない?」

「もらった魔道具があるからな!」

渡しておいてよかった…。


ハルピュイアもワイバーンも、うちの子達が魔剣の斬撃で次々に撃ち落としていくけど、なんせ数が数だ。

探索で見ても、数百単位で飛んでるし、森の奥からまだまだ飛んでくる。

しかも、地上にも大量の魔獣が群れをなして向かってきてる。


拡声魔法で周りにも伝え、魔法防壁で西側の防御を固めた。

これで地上側の足止めはできるけど…。


「姉ちゃん、これどう思う?」

「大量発生とか、異常繁殖…。 そうだ、ユウキは二回目の狩猟大会で西側を受け持ってたよね?なにか見なかった?」

「ダンジョンは見つけたけど、中に敵は居なかったよ」

「最深部まで?」

「流石にそこまでは…。ギルドへ報告はしたし、調査隊も行くって聞いたけど」

そこから溢れた?


根本を絶たずにここだけ乗り切ればいいのならそれでいいけど…。 (増え続けてるの!)

だよね…。


どうする…どうする…!?

「お姉ちゃん、キリがないよ!」

わかってる! ちょっと考えさせて…。



「アスカちゃん! 遅くなってごめん、お待たせ! 凌いでくれてありがとね」

「アキナさん!」

到着したアキナさんは的確に指示を出していく。


「救護部隊はケガ人の移送を急げ! 兵士はもっと広範囲まで民間人の避難誘導を優先しろ!」

さすが女王陛下…。


「親衛隊はここで殲滅戦だ! アスカちゃん達も力を貸してもらえる?」

「勿論です! 地上は魔法防壁で防いでますから」

「じゃあ空に集中できるね!」

アキナさんはドラゴン部隊に指示をだすと、クッキー達との連携を命じた。

私もうちの子達に連携してもらえるようにお願いしておく。


「さて…どこまで把握できてる?」

「地上も空も同じ方向から大量に向かってきています」

「数は?」

「どちらも数百単位で、未だ増え続けてます」

「…そっか」

アキナさんが凄くつらそうな顔をしてる。

国の一大事だからかとも思ったけど、なんか違う気がして…。 (森の遺跡ダンジョン近くに、奥様達がケガして隠れてる!)

え!? (遺跡からもまだ溢れてきてるの!)

わかったよ。


「アキナさん、現地にいる奥様達はまだ無事です! 私に行かせてください!」

「…ダメだよ。危険すぎる」

「でも!!」

「アスカちゃんは継承権一位の王女なんだよ! それでなくてもお姉ちゃんの大切な娘なの!」

「私はアキナさんのように、大局を見て指示を出す力はありません。でも戦う力はあります。こんな時に動けなくなる肩書なら必要ありません!」

「…アスカちゃん…」

心配してくれるアキナさんの気持ちは嬉しいけど、私が行かなきゃ。 (ママ…)


「わかった。 行ってくれる? でも絶対に無理はしないでね!」

「わかりました。お約束します」


「お姉ちゃん…」

「アスカ、行くのね?」

「お姉様…」

「ごめんね、絶対に戻る。それは約束するから」

「ママ、やっちゃえ! ここは任せて!」

「リズも頑張るのです!」

「ありがとう」

移動はどうしようか…チョコなら強いし頼れるけど、今ここで連れ出したら…ここでの均衡が崩れてしまう。


「主様、乗って!」

「レウィ! いいの?」

「わう! 任せてください!」

「ありがとうレウィ…」

大きくなってくれたレウィに乗せてもらう。


「アスカちゃん、気をつけてね」

「はいっ! 行ってきます!」

私はレウィに乗り、西門から飛び出した。








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