異世界カフェへようこそ
「いらっしゃいませ〜! 3名様ですか?」
「はい。 席、空いてますか?」
「大丈夫ですよ〜。お席へご案内しますね」
元気な女の子に案内されて窓際の席へ。
店内もかなりお洒落で、男だった時には入るのを躊躇したのでは?と思うほど。
なんていうのかな、南国風?
飾られてる植物とかがそれっぽく感じさせる。
未亜ちゃんは隣、ユウキは向かいの席へ腰掛ける。所謂ボックス席。
「こちらメニューです。今のお勧めはこちらになります」
イチゴのタルト?みたいなのが今のおすすめらしい。
カラーでかなりリアルな絵が描かれてるからメニューがわかりやすい。
「未亜ちゃん、これお土産にしようか?王妃様たちにも買っていこう」
「うんっ! 私もこれ食べたい」
ユウキはまたメニューとにらめっこしてる。
時間かかりそうなので女の子には後で呼ぶからと伝えた。
「ユウキ、外でもメニュー見てたけどいいのあった?」
「いや…こっちにもハンバーグないのかなぁって見てたんだけどね、それっぽいのはなかった」
「そうなんだ?」
「うん、あったら食べてみたかったんだけど…」
「でも、ユウキくん。ミンチみたいなのはあるみたいだよ?ほら…」
そう言って未亜ちゃんが指差したのはミートソースパスタのようなのだった。
だいぶ麺が太いけど…。そういうパスタは地球にもあった気がするし…。
「ほんとだ。なら作れないことはないんだね」
余程ハンバーグが食べたいのかな?
「じゃあ後で食材買いに行ってみる?多分作れるでしょうし」
「いいの!? アスカ姉ちゃん!」
お、おう…えらい食いつくね。
「調理用の魔道具も持ってるから、材料だけ買えば作れると思うよ」
「やった!」
普段しっかりしてるユウキもこういうトコは子供っぽくて可愛らしい。
「ん〜。私はこれにする。それとあのオススメにあったタルトみたいなの」
未亜ちゃんはグラタン?みたいなのにするらしい。
私はミンチの確認したいしこのパスタ?かな。
「ユウキは?」
「うーん…じゃあこのサンドイッチみたいなのにする。あと僕もタルト食べたい」
「わかったよ〜」
ちょうど近くにさっき案内してくれた女の子が居たから呼んで注文をする。
料理の名前がよくわからないからメニューを指差しで注文になっちゃったけど…。
読めるのは読めるんだけど…料理名とかって難しいから。
「あと、このおすすめってお持ち帰りできますか?」
「大丈夫ですよ。幾つお包みしますか?」
「これをホールで4つお願いします。それとは別にふた切れを食後に…」
あれ?女の子固まってる?
「あの、大丈夫ですか?」
「はっ! はい。すみませんちょっと確認してきます」
厨房へ走ってく女の子を見送り、ちょっと心配になる。
「ホールで4つは多すぎたかな?」
不安そうにする未亜ちゃん。
「でもアリアさんたちと、王妃様たちへも渡したいからそれくらいいるからねぇ」
まぁ…もし駄目なら他に探そうってことで落ち着いた。
パタパタと店員の女の子がかけてくる。
「お待たせしました。大丈夫です! お帰りまでに間に合うように準備しておきます」
よかった。でも無理させてしまったかな?
「ありがとう。無理言ってしまってごめんなさいね」
「いえ! お父さん喜んでました。今張り切って作ってますよ」
そう言って女の子はにっこり。
娘さんだったのね。で、お父さんが厨房にいると。
「あ、今お飲み物もってきますね〜」
そう言うとまたパタパタと走り去っていった。
しばらくして…
「お待たせしました〜。こちらがミーチパータです」
ミンチのパスタかな?
「私かな?」
「ぽいね」
「こちらがサンドパンです」
「あ、僕のだね」
「こちらがチーズパータです」
「私のだー」
「後は食後にベリータータをお持ちしますね〜ではごゆっくり〜!」
「なんか…わかりやすい名前だったね?」
そう言うユウキに私も未亜ちゃんも頷く。
「ある程度は翻訳スキルも影響してそうだけどね?」
「あぁ、なるほど」
「翻訳スキル?なにそれ?」
未亜ちゃんには説明してなかったか…。
「簡単に言えば違う世界の言葉とかが読み書きできるスキル、かな?」
ユウキがざっくり説明する。
「未亜ちゃんもこっちに来たときにそのスキルを手に入れてるよ」
「そうなの!?」
「ほら、王妃様に鑑定してもらったでしょ? だから間違いないよ」
「そうだったんだ…。便利だね」
まぁこのスキルは日本へ戻ったら更に驚くと思うけど…。今は黙っとこう。
「冷めちゃうし食べようか」
「だね」
「うん」
うん、やっぱりミートソースパスタに近いな。てことはトマトや玉ねぎみたいなのもあるんだろう。
二人も美味しそうに食べてるし、アリアさんに感謝だね。
「お姉ちゃん、これ美味しいよ! はい、あ~ん」
え?いやちょっと…
「ほら、お姉ちゃん」
「う、うん…あむっ あ、美味しい…」
「でしょ?」
グラタンというよりはチーズのかかったペンネ?ホワイトソースはないのかな?
でも濃厚でこんがり焼けたチーズがすごく美味しい。
「未亜ちゃん、こっちも食べてみる?」
「いいの?じゃあ… あ〜ん…」
やっぱりそうなるよね、ユウキはヤレヤレって感じでサンドイッチ食べてるし…。
「あ、あ〜ん…」
「んむっ…わ、これも美味しい! ほとんどミートソースパスタだね」
「うん。だからこのミーチって言うのがミンチで間違いないと思う。だからこれを探そう」
「そしたらアスカ姉ちゃんのハンバーグ食べれる?」
「だね。だってこれ間違いなくミンチだし…ほら、ユウキもあ〜ん…」
これはちょっとした、いたずら心だけどね。
「ちょ…! 姉ちゃん」
「ほら、ユウキくんこっちもあ〜ん…」
「未亜姉ちゃんまで!?」
結局ユウキは観念して二人からのあ〜んを受け取り…
「うまっ! アスカ姉ちゃん、チーズハンバーグにして。絶対美味しいよ」
恥ずかしさより美味しさが勝ったみたい。
チーズハンバーグかぁ、それもいいね。
「わかったよ〜。チーズも買えるといいけど」
ミンチとチーズ、卵に玉ねぎにパン粉。調味料もあれば買いたいな。
塩やコショウに近いものあるでしょ。
アリアさんにお願いして食材の売ってるとこへ連れて行ってもらわなきゃね。
食後のベリータータもかなり美味しかったらしく未亜ちゃんもユウキも大満足だったようだ。
お土産にして正解だったね。二人のお墨付きだし。
私は食べきれる気がしなくて頼まなかった。
この身体になってから本当に少食になって、まだ食べれる量が把握できないんだよね…。
会計の時に持ち帰りのベリータータ4ホールも受け取り、さっとストレージへ。
「ありがとうございました〜! またお待ちしてま〜す」
元気な女の子に見送られ外で待つアリアさんたちの元へ。
「お待たせしました。すごく美味しかったです。素敵なお店に案内して頂いてありがとうございました」
「いえ、お口にあったのなら良かったです」
お礼を伝えるとアリアさんは嬉しそうにそう答えた。
「えっと、お話でしたよね?何処かいい場所ありますか?」
「はい、巡回騎士の詰め所に休憩スペースがあるのでそちらへ」
「わかりました。ユウキと未亜ちゃんはどうしようかな」
二人に聞かせて大丈夫な話ならいいけど…。
「僕は一緒にいくよ」
「できれば私も…」
大丈夫かな…?
「アリアさん、二人が一緒でも大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません。お二人もアスカ様のことがご心配でしょうから、御一緒に」
「わかりました」
ちょうど食後の運動って感じに十分ほど歩き、詰め所へ。
話は通してあるらしくアリアさんに敬礼する騎士たちのそばを抜け裏にある休憩スペースに入る。
想像してたより落ち着ける感じだ。ソファーや、テーブルもあるし。例えるならホテルのロビー?
もっとなんていうか、武具がいっぱいあって暑苦しい感じを想像してた。
「すみません、このような場所で…人目を気にせずに話せる場所となると限られてまして…」
「大丈夫です。すごくキレイなのでビックリしました」
「それなら良いのですが…」
ユウキと未亜ちゃんも同じような感じらしく、驚いたりキョロキョロしてる。
「では、こちらへ」
アリアさんに促され最奥のソファーに腰掛ける。
その瞬間、後ろから付いてきてたもう一人の騎士様が…
「申し訳ありませんでした!!」
「え?」




