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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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海をお散歩



ハルナさんとの約束も果たせたし、あと数日はこちらでのんびりできる。

貸し切りの間はいてもいいらしいし。


契約成立した翌日の午前中は、魔族の職人達と魔道具の制作。

一番腕のいい幼い見た目の子は、ドルチェと名乗ってくれた。


ドルチェは本当に腕もいいし、飲み込みも早い。

鱗の加工もしっかりこなしてみせた。

多少アドバイスしながら、魔道具は比較的簡単なシャワーやドライヤーから作ってもらった。


その様子を見ながら、私は物への鑑定魔道具を制作。

自身の対物鑑定スキルを解析して制作したそれは、ドルチェでも再現は不可能って言われた。

「こんな複雑なもの僕では扱えません…」

「鑑定はやっぱりスキルに頼るほうが早いね」

「はい。それだけで食べていけるくらいですから」

だよなぁ…。

まぁこれは、未亜が食品の鑑定をできるようにと制作しただけだから量産もしない。

隠蔽してある物までは破れないようにして、未亜が情報量に混乱しないように配慮。

スキルで言うなら対物鑑定のレベル一桁って所か。




午後からは待っててくれたうちの子達と海底散歩に出かける。 (待ってました!)

「ティーから聞いたんだよー。怖くなさそうだしすっごい楽しそう!」

ティアみたいなおとなしい子達も楽しめるはずだから。



一応水着に着替えて海辺へ。

午前中にサーフィンしてたユウキ達も一緒。

チョコとクッキーは上空から海魔獣の警戒。

ラムネは海中を並走するように同行してくれるし、キャンディは私達と一緒。

プリンも今日は小さくなってティーと一緒だし、うどんとボタンも濡れないなら平気みたいで主の傍にいる。


「魔力ドームで覆うからおとなしくしてね」

「お姉ちゃん、もしサメとかに合ったら…」

「近づく前に対処できるし、仮に不意打ちされても、この魔力ドームが魔法防壁も兼ねてるから破られないよ。ラムネもいてくれるしね」

未亜の疑問に答えたからか、みんなも安心したようで、いざ海底散歩へ。



みんなを包んでる直径数メートルのドームを移動させて、海中へ。

中で歩けば前に進む。

「お母様! 昨日も見た小魚達なのです!」

「昨日、リズ達はこれを見てたのね」

「姉ちゃん、深くなったら暗くならないの?」

「対策してあるよもちろん」

魔力ドームに暗視をかけてあるから問題なくみえるはず。 

とはいえ、そこまで深く行くつもりもない。 (えー!)

ティーはカメプロつけてるのね。 (何かあるかもだから!)

海底を移動していれば、探索で深いところまで見えるから、何かあったらすぐにわかるよ。 (はーい!)


海底なんて普段は見られないし、私もちょっと楽しい。

少し深くなるとそこそこ大きな魚とかが泳いでて、みんなも興奮気味。

それでもやっぱりカラフルな魚が多いんだなぁ…。 (美味しそうではないの)

そういう見方をしちゃうとそうかもね? (きれいでかわいい)

うん、私もそれには同意。


 

ある程度魚達を見て楽しんだら引き返すつもりだったのだけど、みんなからの評判が良くて、もっと深くまで行きたいって言うリクエストに答えて更に移動。




探索も海底で使えば、海上からだと見逃しかねないものも見つけられる。

それは沈んでる船しかり、そこを棲家にしてる人魚なんかも…。 (半魚人!)

いや、この人達は人魚でしょ…。 (違いがわかんない…)

魚っぽい見た目なのに二足歩行とかが半魚人じゃなかったかなぁ。 (それはなんか怖いの)



「お母様、囲まれたのです!」

「大丈夫。敵意はないし、ラムネも落ち着いてるから」

ラムネが仲介してくれるそうだから、少し怯えてるリズを撫ぜながら出方を待つ。

私もこんな風に水中へ入ったのは初めてだから、実際に出会ったのはこれが初。 (マジで!?)

うん。伝説とかお話で聞いたくらいかな。


「アスカ、何か話してるみたいよ?」

「待ってね…魔力ドームの遮音を切るから」

遮音効果を切った瞬間、金切り声のような話し声で耳がおかしくなるかと思った。

慌てて少し遮音効果をかけて、音を小さくする。


「うるっさいなー! 怒ってるの?」

「そんな感じはしないけど…」

しばらく金切り声を聞いていたら、翻訳スキルが働いて聞き取れるようになった。


「人間だわ…」

「荒らしに来たのかと心配したけど、海竜様の主? そんなバカな…」

「海竜様のお言葉を疑うの!?」

「そうは言わないけど…人間が海竜様を〜なんて信じられなくて」

「でも、今見てるんだし…」

ラムネのおかげだね。


「ありがとうラムネ」

私達の事を説明してくれたんだね。


こちらからも話しかけて交流をはかる。

「驚かせてすみません。直ぐに帰りますから」

「待って! 言葉わかるの!?」

「ええ、まぁ…」

人魚さん達がみんな驚いてるな…。 (女の人しかいない…)

ほんとだね。


「今までに繁殖用に攫った人で話せた人なんて居ないのに!」

「みんな耳をふさいでたよね」

今サラッととんでもない事言わなかった? (種馬ー)

やめなさいって…。


「あんなキーキー言われたら耳を塞ぎたくもなるわよ…」

「だよねー」

「リアちゃん、ティアさん! 失礼だから!」

未亜は焦ってるけど、私の声しか相手には聞こえてないから大丈夫。


「ユウキ…ジロジロ見るのダメ!」

「み、見てないし!」

ユウキはスピネルに目を塞がれてる。

セクシーな姿だから無理もないか。


「わう?魚?」

「人魚だから食べたら駄目なの…」

フェンリルなら確かに食べそうだけども。さすがに知的生命体を食べるのはやめてほしいな。


うちの子達が話してる間に、あちらも話がまとまったようで、代表らしき人魚が、近づいてきた。

「海竜のラムネ様の主様とお見受けします」

「主というか大切な家族ですけどね」

「は、はいっ! あの…折り入ってお願いがあります! 海竜様と共にあるそのお力、何卒お貸しください…」

困りごとかな? (ぽい?)

出来ることならいいけど…。



代表で話してくれてる人魚さんはジュンという名前らしい。

そのジュンさんのお願いは、今住んでる沈没船についてだった。

「何百年か前に海上で大きな戦いがあり、その時に沈んできたのがこの船なんです」

海戦国時代の話かな? (かも!)


沈んだ時に、人は生死を問わず海上へ送り届けてたのだけど、人魚達には触れないものがあるらしく、それを取り除いてほしいと。


何かと思ったら貴金属類。

武器類は怪我をした人魚もいたから、金属その物が恐怖の対象になってるらしい。 (可哀想…)

だね…。人を助けてくれたのに。 (種はもらったみたいだけど!)

聞き流そうよそこは…。用がすんだら帰してくれてたみたいだし。 (用が済んだらポイッ!)

…言い方ですっごい印象悪くなるね!? (それなー!)



「お願いできませんか? 住処としては大変有り難く利用してるのですが…使えない部屋もありまして…」

「それくらいでしたら、お任せください」

魔力ドームで包んで、金属類だけストレージへ放り込めばいい。


方法を説明して、喜んでくれてる人魚達には一度沈没船群から離れてもらった。


結構な範囲に点在してる沈没船から回収したのは、武器や金、銀、お金らしきものや宝飾品などすごい量だった。

船が老朽化してたりもしたから、崩れないよう補強したりと一通り済ませてから確認してもらう。


「姉ちゃん、何があったの?」

「軍船からは武器類、商船からは金銀財宝…」

「マジかよ」

「全部夕波王国へ返却するからね」

「えー!」

「回収したのアスカなのにー!」

それはそうだけど…大切なものもあるかもしれないし。



「ありがとうございます! これで安心して住処にできます」

嬉しそうに泳いできて報告してくれたから、本当に困ってたんだろう。

回収したものは当然いらないというから、予定通り夕波王国へ返す。


「あの…お礼と言ってはなんですが、これをお持ちください」

手を出すように言われたから、魔力ドームの外へ手を出した。

ジュンさんが渡してくれたのは… (真珠?)

ではないね。似てるけど、半透明だし。 (おー?)

「人魚の雫というものです」

初めて見るけどキレイだな。


「人には価値のあるものだと聞いています」

「ありがとうございます」

結構な数を貰ってしまったけど、良かったのかな。


「それともう一つ、個人的なお願いがありまして…」

言いにくそうにしてるけど、そんな難しいこと?

出来ることならいいけど…。 (またママが引っ掛けるんじゃないといいね)

人聞きの悪いことを言わないで。 (身に覚えは?)

…あるけど。 (ぷぷっ)

もう!



「私達を地上に連れて行ってください!」

「はい!?」

大丈夫なのかな? (呼吸とか?)

それもだし、見た目とか…。 (大きな水槽がいるの!)

確かにそれしか無いかも?歩けないからね。

何をしに行くのかわからないけど…。 (観光!)

いや、なんかもっと切実そうよ











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