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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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解放



「解きますね」

なんてややこしい縛り方を…。もう結んでる紐をストレージへ放り込んだほうが早い。

吊るされてるご両親は魔力ドームで包んで治療。縄も解いてそっと地面に下ろす。

再度鑑定したけど、もう傷も治癒してるから、後は起きるのを待てばいい。


「なんで…なんで助けるの!?」

翠さんだっけ?助けたらダメだった!? 違うか…混乱してるのかな。

さっきまでは敵として相対していたものね。


「事情は国王陛下から伺いましたから。それに、娘さんを助けようとしたご両親をあのままにしておきたくはないです」

「でも私達は敵対行動をしたのに! なんで…」

「そうですね…。 助けるのにどうしても理由が必要なのでしたら…私にも大切な家族や子供がいるから。それで納得してもらえませんか?」

ご両親の気持ちは痛いほどわかるから…。


「ありがとう…ございます」

「感謝する」

「両親を治してくれてありがとうございます」

納得してもらえたようで何より。


「これはお返ししますね」

返却した装備を受け取ると、白さんは真っ先に太刀を手にとった。

折れてたもんね…。


「うちの子が折ってしまったので直しておきました」

信じられないって顔をされたけど、直すだけなら手間もない。

鞘から抜き放つとフッと、ひと振り。

きれいな太刀筋だ。


「白、どうしたの!?そっちは重たいからって使わなかったくらいなのに。素の状態で軽々と…」

やっぱり扱いづらかったよね。

技以前に、扱う為にはまず力が必要になるような刀だったから。

華奢で小柄な白さんには扱いづらかったはず。


「直した時に、持ち主に馴染むように細工しましたから、例え次代に引き継いだとしても、その人に馴染むはずです」

何言ってるんだ?って顔をされたけど、そのまんまだから、それ以上説明のしようもない。


「あとはコレを。着けていれば、スキル使用による反動の痛みも来ないはずです」

「なぁ、そのスキルってなんだ?本当に白は苦しまなくて済むようになるのか?」

「スキルを知らない…? 白さんの爆発的な身体能力は、身体強化という生まれ持ったスキルです。正確にはそれの最上位、プラス効果はかなりのものです。相当身体が丈夫でなければ、負荷が強すぎて耐えられません」

「それって特性の事?それならあたしも持ってるよ?」

こちらではスキルと言わないのかな?ややこしい…。


「呼び方が違うのかもしれませんね…」

「それがこの手甲でなんとかなるのですか?」

「はい、大丈夫です。私の作った魔道具ですから。 えっと、魔石はご存知ですか?」

「それならあたし達も知ってる! 魔狼とか倒すと持ってるキレイな石だよね! 売るとお金になるんだよ」

魔道具を作らない人には、あまり必要ないものね。

今はハルナさんが買い取りでもしてるんだろう。魔族の人が魔道具を作ってるし。



「これが魔石ですか?」

直ぐに手甲の中に入れてある魔石に気が付くあたり、鋭い子だね。

「はい。それだけは外せなくなるので棒手裏剣を入れるなら他の所へお願いします」

数本分くらいはまだ余裕あるし。


魔石に触れて魔力を流してもらい、魔刻刀で波長を刻む。

「これで白さんの専用装備になりましたから」


三人はスキルについて詳しく話を聞きたいって言うからわかる範囲で説明。

こちらでは特性って言われてるらしい。


白さんの身体強化の危険性についてもしっかりと伝えた。

手甲をつけていてくれれば安全だし、いずれ身体が適応していく。

何年もかかる気の長い話ではあるけど…。 

辛くないのなら大丈夫よね。

既に蓄積していたダメージは治してあるし。


「ありがとうございます…この御恩は決して忘れません」

「気にしないでください。見てしまったら放っておけなかっただけなので…」

見ぬふりなんてしたら後悔するし、気になって仕方なくなる。 (気になって夜しか眠れねぇ!)

それ普通だから。 (お昼寝できないのに…)

あぁ…。なるほど。



ご両親や、仲間の人たちも自由になったから、目を覚ましたら帰っていいと伝えて、私は待ってるみんなの元へ。 (宴会だー)

もう始まってるの!? (まさか! ママ待ち)

ごめんね、急いでいくよ。



大きなお屋敷に入ると、使用人の人がみんなのいる部屋に案内してくれた。

広い宴会場みたいな部屋には海鮮のフルコースが。 (タコ、イカ、貝はママのとこにないよ!)

ありがとう、助かったよ。


私が席につくとみんなを押しのけて夕波陛下が隣に。

なんのつもり?

「白達はどうしたのじゃ…?」

あぁ…心配してるのか。

「全員私の好きにさせてもらいました」

「まさか!!」

「今頃みんなで家に帰ってると思いますよ」

「な…!?開放してくれたと言うのか?」

「ええ。私の好きにして良いはずですよね、違いますか?」

「…そうか。感謝するのじゃ。 お主はやはり、強く、優しくいい女じゃな!」

「ありがとうございます…」

この方に褒められてもあまり嬉しくないなぁ。


「な?お主、結婚はしとらんのか?」

「してませんよ。大切な人はいますけどね」

「じゃあ!」

「ちょっと! 私達を押しのけて口説いてんじゃないわよ!」

「そうだよーどいてくれる?」

「なんじゃ…国王の妾に向かって!」

「みんな私の大切な人達ですからね?」

「ひっ」

少し威圧しておく。この方、やっぱり苦手だ。 (ママー忍び達が不穏)

どういう事!? (今夜、夕波のお城を落とすって)

…裏切り、ではないだろうね。 (違うの。忍びの有用性を陛下に知ってもらいたいって)


言いたい事はわかるけど、それでお城を落とすの?

理解するかな、この方。 (多分無理)

だよね…。そもそも最後に国王陛下を守るのは白さん達みたいな忍びでしょう。

その人達がいなかったら、陛下は無防備状態だ。

今、ここを守る人って一般兵しかいないよね。

有事じゃないんだから、守りを固めてもいないし。 (すぐにお城落ちるね)

だろうねぇ…。しかも真意を理解しなかったら単に裏切り者として処罰されかねない。 (えー…)

それこそ忍びがきちんと機能してたら、攻められるのが事前にわかって備えたり、もっと言ったら戦闘そのものも事前に止められるかもしれないのに。



うーん…。

忍びの人達の真意を伝える為には、陛下を守る人が必要だし、実際にその場でしっかりと伝えないと意味がない…か。

はぁ…乗りかかった船だ、忍びの人達を守るため、ついでに陛下にも改心してもらう為、ちょっと頑張りますか。 (りょーかい! 伝えとく)

お願いね。そちらに全面的に協力するから、全力で来てって伝えて。

ある程度本気で戦いはしなきゃ、陛下に伝わらないし。

かと言って忍びの人達に妨害すると思われたくないからね。 (うん!)


うちのみんなには伝えて…何人かは戦力として手伝ってもらおうかな。 (わほーい!)











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