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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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番外編 責任問題



市中引き回しにされ、本丸に到着した私達を待っていたのは、海鮮バーベキューの準備をして、歓迎ムードで待ち構えていた陛下だった。


「ようきたの、アキナ! 歓迎するのじゃ!」

「その前に言うことがあるんじゃないかな?違う歓迎を受けたんだけど?」

「納得する説明が聞けるんやろうね?シラハ」

「な、なんの事じゃか妾には…」

「“風”がシラハの命令もなしに動くわけが無いやろ。ネタは揃ってんねんで?」

「この代償は高くつくよー?」

「わ、わかったのじゃ…じゃからその二人は開放してやってくれんか?」

「二人でいいの?」

「そのでかいのはいらんのじゃ」

陛下ひどい…。

蒼はもうこの扱いに慣れてるからか、気にしてなさそうなのがせめてもの救い。


そう思っていたら凄まじい威圧で立ってる事もできなくてへたりこむ。

な、なに!?蒼も翠も同じ…。給仕していた使用人の人達までみんな倒れて気を失っている。


「うちの孫に一方的に攻撃を仕掛けておいて…それで済むと?島ごと沈めるわよ?」

「ご、ごめんなさいなのじゃ…。強い相手と番になりたくて…」

「そんなことの為に!!」

「セイナそれくらいに。相手はまだ子供だよ?」

「子供でも一国を預かる主なら行動に責任が伴うことは自覚しなければいけないの! アナタは黙ってて!」

「ごめんなさいなのじゃぁぁぁ…」

泣いてる陛下が可哀想でいたたまれない。あと陛下は子供ではないです。

 

確かに命令したのは陛下だけど…。

ん?あれ… 陛下は叱られても当然かも?

だって、下手したら国際問題。本当に島を沈められても文句を言えないような事を私達はしたのでは…。


当然実行した私に責任がある…。

威圧で重たい身体を引きずり、陛下の前へ。

「申し訳ありません。責任は実行した私にあります。罰するなら私を…どうか、どうか陛下は…」

「しろぉ…お前というやつは…」

後ろから陛下に抱きつかれてしまった。

主は守らなくては…。


「お母さん、ちゃんと責任は取らせるから大丈夫! それくらいにしてあげて」

「結婚相手を探すにしても、もう少し違う方法があったでしょう!」

「アキナぁ…ハルナぁ…助けてほしいのじゃぁ…」

「それでも国王なのかしら。情けない!」

「お祖母ちゃん、私は怪我もしてないしもういいよ。ね?」

「はぁ…もう。 アスカちゃんがそう言うなら…。うちの孫に感謝しなさい!」

ありがとうございます… 


ようやく周りへの凄まじい威圧がなくなり身体が軽くなる。

蒼と翠は気を失ってるし、使用人も当然全滅。

アスカ様が倒れた一人ひとりを診て起こしてくれてて感謝しかない。


「しろぉ…すまんかったのじゃ…」

「陛下、大丈夫です。これが私達の仕事ですから」

「…それで、どうじゃった?」

「はい?」

「白の強さに相当する相手はいたかと聞いておるのじゃ」

あんなに怯えてたのに…そこは忘れてないのは流石ですよ陛下…。


「あ、あのおっかないドラゴンは無しじゃぞ?」

「私が見極めて攻撃したのはアスカ様です。全く歯が立ちませんでした」

「そうか! うむ…美形じゃし、分け隔てなく気遣いもできる優しさを持っておるな」

「はい。一方的に攻撃した私にも一切反撃せず、全力活動後に反動で動けなくなり、苦しんでいたのも助けて頂きましたから」

「そうかそうか! これはアタリじゃな!」

嬉しそうで何よりだけど…


「ですが陛下、あの方はお子様がおられます」

「なんじゃと!?」

「同じ髪色の子が”ママ”とそう呼ぶのを聞きましたから…」

「んー、あの子供か?確かにようにとるな。 じゃが…! 諦めるには惜しすぎるのじゃ。もう少し探ってくれ」

「御意…」

攻撃しろとかじゃなければいいかな。

「次、ママに手を出したら知らないよ…?」

背後からの声にビクッとして振り返るも誰もいない…。


下手な事するなって警告?

でも任務だし…。もういっそ正面から堂々と聞いてみたほうがいいのかも。

コソコソしたら終わりそうな気がする…。

それにしてもあの子供、一体何者なの?




陛下は女王様とハルナ様から責められ、かなり不利な状況。

賠償金とか聞こえてるけど大丈夫かな…。私、今は動けないからごめんなさい。

「風は何をしてるのです?友好国の王族…私の主様に刃を向けるなど、恥を知りなさい」

私達は反省の意味も込めて、本丸の大きな松の木の根本に縛られてる。

しかも忍びでも抜けられない特殊な方法で…。

当然仕込んでいた武器類はすべて取り上げられてる。

素っ裸にされて吊るされなかっただけマシ。


縛って吊るすって言い出したのも、実行したのも、今私達に罵声を浴びせてるのも、一人のメイド。

なんで一介のメイドにこんな事をされてるのか、これがわからない。

対忍びの訓練を受けてるのか?ってくらいこちらに詳しいし…。


吊るすのは可哀想だからと止めてくれたアスカ様も、周りのみんなから”ケジメだー”とか、”罰だから”とか言われて、言い返せなくなってた。本当にそのとおりだから文句も言えない。

縛られるだけで済んで本当に助かった…。


蒼を片手で殴り飛ばした一人には”アスカのキレイな髪を切られたんだから丸坊主にするー?”とか言い出された時は寒気がした…。

まぁそれも止めてくれたのだけど…。


そのアスカ様は、一番おとなしそうな女の子に髪を整えてもらってる。ごめんなさい私のせいで…

強い人だけど、身内というか…家族には弱いらしい。

赤い髪の小さな子はずっとアスカ様にべったりしてるけど、好きにさせてるし。

あの子もアスカ様の子供かな?

私達にも気を使ってくれて、メイドが木に吊るそうとしたのも、”本当にやめてあげて!”って止めてくれたくらいだもんね。


「聞いているのですか?」

「確かに私達が悪いけどさー。メイドにそこまで言われるのは納得いかない!」

「はぁ…これだから、脳筋一族は…。白、翠、蒼。現在、風の一族の中でも最強の一角。それぞれの弱点も上げ連ねましょうか?」

「お前、まさか月の一族か!!」

「元、です。今はドラゴライナ王国女王陛下の妻であり、王女様に仕える忍びメイドです」

「裏切ったの!?」

「人聞きの悪い。私は元々主を持たぬ忍びです。ようやく理想の主様に出会い、忠誠を誓いました」

「月だって夕波王国の忍びでしょ!? 主を変えたなんて裏切り者じゃない!」

「私の親の代まではそうでしたが、要らぬと一方的に主従の関係を切ったのは、その夕波王国の国王様ですが?」

「あの噂は本当だったのかよ…」

何その噂。私、知らないよそんな話!


「それで事業を始めて、失敗。一族がハルナ様に仕えるようになったってのは…」

「事実ですね」

「陛下何してるの…これじゃあ花鳥風だよ」

翠、問題はそこじゃない。月を切り捨てるということは、諜報部隊を手放す事に他ならない。

下手したら暗殺されてもおかしくないくらいの事態だ。

陛下に手を出さなかったのは月なりの最後の忠義って事?

よく陛下はそんな仕打ちをした月に情報を渡せって命令できたなぁ…。

私への情報がギリギリだったり、詳細がなかった理由はそっちかぁ〜。

義理で情報をくれただけなら仕方ないよね。


陛下は忍びが大好きたけど、創作に影響されすぎてて一番忍びらしい忍びを解雇したのか…。

多分、”地味でなにしとるかわからんし、つまらんのじゃ!”とか言ったんだろうと容易に予想できる。


色々と陛下について頭を抱えてたら何やら二の丸がやかましい。

何事?そう思った矢先、本丸の城壁を飛び越えて忍びが多数侵入。

「セアを離せクソ共がぁ!!」

怒声でわかった。お母さん…ではなくて、長い朱塗り拵の大太刀を装備した朱。しかも部隊を引き連れて…。

「白、あれも陛下の指示?」

「違います! 多分お母さんの独断です…」

予想としては、私が捕まって市中引き回しになってたのを聞きつけ、大太刀を装備。

人格が変わり、部隊を招集して、救出に駆けつけたとかそんなとこだろう。

お父さんなにしてるの?止めてよ!

「セア! 無事か!?今助けるからな!!」

お父さんもそっち側!?


その後の事はもう思い出したくもない…










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