表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/770

増幅装置?



「なんで…なんで魔力が前の十倍以上になるの…」


私のせい?いや、未亜ちゃんはともかくユウキは増えなかったよね?

「ユウキ、この間私の魔力循環させた後に魔力増えたりしてないよね?」


「……ふえてないよ」 ふいっ

ちょっと、目を合わせなさい。どっちなの?


「アスカちゃん…」

「ひぅ」

なに…ちょっと。なんか王妃様が怖い。じりじり寄ってこないで…。


「どういうことか説明してくれる?」

そんなこと言われても…身に覚えがないのだけど、どうしたら。


「王女様に私の魔力を流したら、引っかかる部分があって…それを解いて正常にしただけです」

「引っかかり?魔力の流れが不安定だったのはそれ?」

「おそらくは…。その後はキレイに流れましたから」

うん、私はそれしかしてない。


「それだけで、増える?そんなわけない。てことは…」

目の前でブツブツ言い出しちゃったけど大丈夫かな。


「ユウキ君、未亜ちゃん。シルフィも少し外してくれるかしら?アスカちゃんと二人にさせて?」

え?待って、今二人きりにしないで…今の王妃様なんか怖いの。


「はい、わかりました」

「お姉ちゃん、後でね」

「わかりましたわ〜、お母様」

えーー。



みんな部屋を出ていっちゃったよ。

「王妃様?」

「アスカちゃん、私にもアレやって」

「え?魔力を循環させるのですか?」

「そう! でも、あの姿を人に見せたくないから席を外してもらったの」

「は、はぁ…?大丈夫なんですか?抵抗感とか…」

「魔法の真髄に迫れるかもしれないのだから問題ないわよ! 早く!」

わ、わかったから…王妃様が怖いよぅ。


「じゃあ手を握りますね」


そうしてアスカの魔力を循環された王妃様の姿は誰にも見られることなく…。

でも、廊下で待機していたみんなの元には声が響いてきたのだった。



「ユウキ君、大丈夫なのかな?王女様の時も直視できなかったのに…」

「未亜姉ちゃん、僕は何も聞いてないし見てない。そうだよね?」

「えぇ!? あっ…、うん。そうだね。私も」


「はぁ…アスカ様の魔力素敵でしたわ〜。魔力があんなに温かくて…」

二人の気遣いが台無し。


「王女様、なんか様子がおかしくないかな…」 

「いや、未亜姉ちゃんもあんなだったからね?」

「嘘… じゃないね、覚えてる。あの満たされる温かさは癖になるから…」

「否定はしないけど、他の人の前で言わないようにね?」

「いわないよ!」


「あの、一体何の話をされてるのですか?王妃様は…」

思案げなアリアさんにどう説明したものか悩むユウキであった。

「えっと、後で王妃様から直接聞いてください」

「はぁ…?」




待たせてるみんなを呼ぼうとドアを開けたら、廊下に全員いたから部屋に入ってもらう。 

「みんなごめんね、入って大丈夫だよ」

王妃様は余程疲れたのか椅子に座って肩で息をしている。


「姉ちゃん、大丈夫なの?一国の王妃様だよ?」

「わかってるよ。でも断れなくて…」



王妃様も王女様も、ちょっと人に見せられない感じになっちゃってるから、言いたいことはわかるけど。

やっぱり魔力酔いかなぁ。

しばらくすれば落ち着くと思う。



「アスカちゃんの魔力ヤバいわ。シルフィがああなったのもわかっちゃった」

魔力増えた謎が解けたのかな。さすが元賢者様。


「原因は何だったのですか?」

「え?」

「いえ、魔力増えた原因が解ったのでは?」

それを知りたかったんだよね?


「あ、そうだった! 私の魔力どうなったか確認しなきゃ」

してなかったんだ。それが目的だったんじゃないのかな?



「ふ、増えてる…どういう事なの?やっぱりアスカちゃんの桁違いの魔力が原因?」

やっぱり私が原因かぁ…。でも特別なことしてないのだけどね。

となるとやっぱり魔力量かな?


ずっと不安そうなアリアさんには王妃様がうまく説明して納得してくれた様子。

王妃様からこの事はあまり話さないようにと言われた。

あられもない姿になってたものね。 (そこじゃないと思うなぁー)




そろそろ未亜ちゃんとユウキを城下町に連れて行ってあげたいんだけど、どうしたものかな。

こっちへ午前中に飛ぶように来たから、もうお昼近いし。

なにか食べに行きたいからね。

あと、二人に確認しなきゃ。


「ユウキ、未亜ちゃん、滞在を少し伸ばしてもいいかな? 帰る時間は最初の予定通りにするから」


ユウキと未亜ちゃんは顔を見合わせてから

「僕は大丈夫だよ?でも理由は聞きたいな」

「私も平気だよ」


二人はそんなに悩むでもなく了承してくれる。

 

「理由はね、王妃様と魔道具の作り方を勉強する約束してたから、それもしたいなって。

私のわがままでごめんね。街へも遊びに行くから」

二人はなるほどと、納得してくれた。



それじゃぁ街へ繰り出しますか。

「そろそろお昼だし城下町を探索しつつなにか食べに行かない?二人が行きたいとこあったらそこも行こうね」


そんな話をしてたらちょっと復活した王妃様が

「アスカちゃん、服は色々用意させてあるから好きなのに着替えていってね。

その服だと目立つから」

「わかりました、ありがとうございます」

なるべく目立たないのを選んできたつもりだけどだめかぁ…。


「あと、夜はお城で用意するから帰ってきてね。陛下とジルスも会いたがってるから」

「わかりました。お言葉に甘えます」

「いいのよ。楽しみにしてるからね。

じゃあ、アリア。アスカちゃん達のことよろしくね、私は少し休むわ」

「はっ!」


やっぱりアリアさんはついて来てくれるんだね、ありがたいけど毎回申し訳ないなぁ。

「アリアさんいつもありがとうございます」

「とんでもございません。これも仕事ですし、ご一緒できて嬉しいですから」





アリアさんの手配してくれた馬車に乗りお城の城門から出る。

ここのお城は、お城を囲む一ノ城壁、その周りをぐるっと広大な牧草地と穀倉地帯が囲みニノ城壁があり、

その周りを居住区や繁華街などが囲んで三ノ城壁がある。

その外にも穀倉地帯は広がってるらしい。

なのでお城から繁華街までは馬車でも少し時間がかかる。


アリアさんがユウキと未亜ちゃんに説明してくれている。

私も最初のときに聞かせてもらったなぁ。

「有事には牧草地へ国民の避難、穀倉地帯や大きな備蓄庫もあるので、食料の確保もできます。

普段から一般市民もニノ城壁内への立ち入りは自由となっています。

ただし、王城へ通じるこの道は一般人は立入禁止となっております」



それはそうだよね、作物や牧場の動物のお世話もあるし、専用通路が分けられてるのも理解できる。


初めて見る景色に目を輝かせて窓から外を見たり、アリアさんに質問してる未亜ちゃんは普段より無邪気で子供っぽく見えた。

はしゃいでるのかな?



そういえば今日はアリアさんの他にもう一人騎士さんが同乗している。

御者席にいるからまだちゃんと挨拶できてないけど…。

ニノ城壁で馬車を降りるからそのときに挨拶できるかな?


ユウキと未亜ちゃん、アリアさんの会話が一区切りしたとこで聞いてみる。

「アリアさん、今日はもう一人騎士さんが来てるのですね?」

「はい、私の部下ですからご安心ください」

「そうなんですか?アリアさんってもしかして偉い騎士様?」

「いえ、そんな事は…何人か部下を預からせて頂いてるだけです」


これ絶対偉い騎士様だよ。なんか申し訳ないなぁ…いつも付き合わせちゃって。

そんな事を考えてたらアリアさんは気がついたのか、

「アスカ様たちの事は王妃様から任されていますし、私も望んでのことなので気になさらないでください」

「ありがとうございます。頼りにさせてもらいます」

「はっ!」


話をしていたら窓から見えていたニノ城壁が目の前まできていた。

「ユウキ、未亜ちゃん。そろそろ降りるからね」

「わかったよ、姉ちゃん」

「はぁい。凄いねぇ〜お城もすごかったけどこの城壁も凄い…」


繁華街へぬける門のそばで馬車を降りる。

私が最初来たときは馬車のまま繁華街へ買い物へ出てめちゃくちゃ目立った。

それはそうだよね。王城への賓客専用馬車だし…。

なので、二回目からはここで降ろしてもらって歩くなり、繁華街を回る路線馬車に乗ることにしてる。


「アスカ様、このまま馬車で移動されては…」

このやり取りは何度かしてるのだけど、この馬車で街を回るのは庶民にはキツい。 (魔王が庶民とか…)


「ありがとうございます。 でも私もですが、弟達も色々見て回りたいでしょうから…」

そう言いつつユウキを見るとユウキもこの馬車で街へ出るのは抵抗があるようで、

「初めての街を色々見たいので、歩きたいです」

未亜ちゃんも大きく頷いている。


「そうですか…わかりました。私達は後ろに控えておりますので何がありましたらお声がけください」

「はい、ありがとうございます」


そして私達姉弟三人は騎士二人を護衛に街へ繰り出すことになった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ