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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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夕波王国



一日の休息を経て、遂に夕波王国へ行く。

ファリスから預かった名簿も渡さないとな。 (大丈夫かな…)

うん? (魔族はママが魔王って気がつくから大変な事に)

あぁ…。仕方ないね。どちらにしても夕波王国で魔道具を量産するのは魔族の人たちだから、打ち合わせは必要だし。 (そっか!)


ハルナさんが喜んでくれるような、良いものを考えないと。

南国かぁ…。初めてだから少し楽しみ。 (わくわく♪)


ユウキとスピネルも同行してくれるし、ピナさんも故郷だからとついてきてくれるのは心強い。

ドラゴライナ王国にアキナさんが不在の間、仮の責任者になる母さんは当然お留守番。

公爵だから任されたって。大丈夫なのかな…。 (アキナさんの奥様もいるから)

なら大丈夫か。慣れてない母さんには絶対に荷が重いはずだし。 (巫女だけど主婦だし)

というより、この国に長くも滞在してないし、責任者とかになった経験もないみたいだからね。 


 

父さんはついて来たがったけど母さんが許可するわけがない。 (刀を差した水着の美女が…とか言ってた)

懲りないね、父さんは。 私も後から連れて行くとかしないほうがいいな。

トラブルの予感しかしない。 (首輪ついてるのに…)

本人は効果を知らないからなぁ…。 (じゃがいもの水着?)

だから例え話だってそれ。 (芋洗い〜♪) 

そんな混雑はしないと思うよ。 (それは嬉しいの!)




「おはよー。みんな準備できてる?」

「おはようございます。後はお祖母ちゃん達だけです」

「お母さん達何してるの? 今日行くって言ったはずだよね」

「聞いてたわよ。 待たせたかしら?」

お祖母ちゃんもお祖父ちゃんを抱いて部屋に来てくれた。

お祖父ちゃんに着せる服で悩んでたらしい…。

子供用アロハとかこっちにあるんだ。 (シエル作)

すっごい納得。


転移するギリギリまで値段交渉をしようとしてるハルナさんは、置いていかれそうになってようやく諦めた。

“嫌なら自分でドラゴンを雇って飛んで来れば?”って言われたら…ね。

ものすごく悔しそう…。 (アキナさんの勝ちー!)

せめて魔道具は良いものを作れるといいな。


ーーーー

ーー


アキナさんのティアラで転移したのは、まるで近代ホテルのロビーみたいな場所だった。

「ハルナお姉ちゃん、みんなの部屋の手配とかはすんでるんだよね?」

「抜かりないで。アスカちゃん達は、いっちばんいい部屋やから!」

何でそんないい部屋に…。大丈夫なのかな。


「魔道具を作ってあげるんだから、それくらい甘えていいんだよ。ハルナお姉ちゃんに遠慮してたら損するよ!」

「は、はい…」 (ママ、それどころじゃないかも!)

え? 

ホテルのロビーにまで響いてるな?

ドドドド…って…これまさか!? (そのまさか)


ホテルの中からも外からも集まってきて、跪いてるのは間違いなく魔族の人たち。

総勢二十数名。

「「魔王様!」」

「こら! 仕事ほっぽってなにしてんの! 持ち場に戻らんと給料さっぴくで!」

ハルナさんに怒られても誰も返事をしないのは…。 (真のトップがいるから)

それは不味いなぁ…。


「みんな、気持ちは嬉しいけど、仕事はちゃんとしなきゃだめだよ。お世話になってるんでしょう?」

元気に返事してくれて、数人を残し仕事に戻ってくれたのはいいんだ。

いいんだけど…。


「アスカちゃんが魔王ってのを目の当たりにしたよー」

「あの子ら、これからアタシの言う事聞いてくれるんやろか…」

「話しておきます…」

すみません…。力至上主義をひっくり返したとはいえ、魔王の立場だけは揺るがないのがこういう時困る。


「さすがお母様なのです…! かっこいいのです!」

ここで尊敬の眼差しをリズから向けられるのは、喜んでいいのだろうか。 (ミニ魔王だし)

そうなんだけどね?


「姉ちゃんだしなぁ…」

「ユウキ、アスカお姉ちゃんって…」

「最強魔王だよ」

弟からの評価もあんまりだ。


幸いうちの子達は慣れてるのか何も言われない。 (そうでもない!)

えー…。確かに何か内緒話されてるわ。ちょっと凹む…。


「あの…魔王様、ディアス様ですよね」

「うん。今は本来の姿だけどね」

残った数人はここの魔族の代表らしいから、名簿も渡して確認してもらった。

諦めていた仲間が無事だと知って喜んでる。


リズが無事だったのも喜んでるけど、みんな子供か孫みたいな感覚なのがなんとも…。

可愛がられてるのならいいか。魔王として責任を負わせるより、この方が私の望んだ姿かもしれない。

リズ本人も嬉しそうだし。 (アイドル魔王)



こんな風にみんなの姿を見れたのもお祖母ちゃんのおかげだよ…。

「お祖母ちゃん、ありがとう。みんなを助けてくれて…」

「いいのよ。孫がこれだけ慕われてる姿を見れたんだもの」

本当に感謝してもしきれない。


魔族の人達とは、魔道具を作る段階になったら改めて打ち合わせするからと、今は本来の仕事に戻ってもらった。



手配してくれたという、部屋に案内されてる途中でピナさんに呼び止められた。

「すみませんお嬢様、父を紹介しておきます」

「うん? わかったよ」

私の返事とほぼ同時にしゅたっと現れたのは、全身黒ずくめの男性。

「お嬢様の前に出てくるのになんて姿ですか!」

「これが我々の正装だろう」

忍者だもんな? (かっけー!!)


”娘が世話になっています“それだけ言うとすぐに姿を消した。

「全くもう! 相変わらず仕事人間ですみませんお嬢様…」

「いいよ。プロはそうじゃないとね」

「それと一つご報告が…」

耳元でピナさんから受けた報告は、ちょっと面倒くさいことになりそうな、そんな話だった。 (……)



ハルナさんに案内されたのは、最上階のワンフロア全部が貸し切りになってる、いわゆるスイートルームとでも言うのか。

オーシャンビューが広がるベランダにうちの子たち大興奮。

海がめちゃくちゃキレイだな…。 (ピナさんに何言われたのー?)

それもみんなに話さなきゃね。



興奮してるみんなが落ち着くのを待って情報共有。

「夕波王国の忍びが動いてるらしくて、威力偵察って形で攻撃してくるかもって」

「アスカちゃん、それほんと!? 何考えてるのあの子! こっちは友好国の王族だよ?」

「”月“からの情報なので、間違いないと思います」

諜報部隊だからなぁ…。よく夕波陛下はそんな大切な部隊を切り捨てたよ。


「アタシのところにも情報は上がってきてんで。”風“を動かしたっちゅー話や」

「風っていうと、武闘派の実戦部隊ですよね?」

「良う知ってんね。 それで合うてるよ」

「あの子が何を考えてるか予想はできるけど…どうする?」

「まぁ、狙われるんは十中八九アスカちゃんで間違いあらへんやろなぁ…」

「そうみたいですね…」

「どうゆう事よ! なんでアスカを!」

「お姉ちゃん大丈夫なの!?」

ピナさんが言うには、結婚相手に強い相手を探してて、強さ、容姿共に一番狙われるのは私だろうって。 (許せねぇ…!!)

まぁまぁ…。実際に動いてる忍びには罪はないし。上の命令には逆らえないからね。 (甘すぎるの!)

私が狙われる分には構わないから。 (むー)



渋るみんなを説得して、手出し無用で任せてもらう。

途中、ティーから話を聞いたティアも転移してきて、ちょっと騒ぎになったのはもうお約束。

シルフィー様もご立腹らしい…。 (当然かと)


アキナさんとハルナさんは責任を取らせるって言ってるし、お祖母ちゃんは静かに怒ってる感じ。

お祖父ちゃんが宥めてくれなかったら危なかったかも…。



「ハルナ様、夕波陛下からお手紙です」

しゅたっと現れた忍者は手紙を手渡すとすぐに消えた。 (探索では?)

見えてるよ。スキルで姿を消してるみたいだね。

あとは単純にスピードに特化してる感じだな。動きが早い。 (忍者かっくいい!)

いつも傍にいるピナさんもだけどね? (メイドさんのイメージが強すぎて…)

それもプロだからだろうなぁ。 溶け込んでバレないようにって。 (かっけー!!)



「食事の用意してるから、みんなで来てくれ、やと。 わざとらしいな」

「お城までの道中で〜って事だね」

「せやろな。浅いなぁ〜シラハは」

「まぁまだ若いからねーあの子」

散々な言われようだな…。



もし本当に襲撃があったら私に任せてもらう。って説得してなんとか落ち着いた。

後処理は国としてしなきゃいけないらしいから、丸投げになっちゃうけど…。

仮にもピナさんの元仲間なら、傷つけずに済むのならそうしたい。 (……)








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