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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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遺跡と癒し



周辺の魔獣も殆どが倒されるか逃げ出すかしたから、みんなに回収をお願いする。

私はキャンディとクッキーの報告待ち。


探索で見る限り、大きな建物って感じなんだけど、こんな森の奥に? (中に誰かいる?)

ううん。反応はないよ。ただ、地下もあるみたいだから、あまり深いところまでは把握できないね。 (ダンジョンとか?)

確かに言われたらそんな感じかも?

でも地上部分は、どちらかと言うと居住空間みたいなんだよなぁ…。 



「アスカ、どうしたのよ?難しい顔して」

「うん、今調査してもらってるから解かり次第みんなにも報告するから待ってね」

「わかったわ…」

ごめんね、リア。


「お嬢様、申し訳ありません…私ではもう回収しきれません」

「じゃあ私が預かるね」

「お手を煩わせてしまい…」

「気にしなくていいから。やっぱりピナさんにもマジックバッグ渡そうか?」

「自前のものがあったので、大丈夫かと思ったのですが…陛下と婚姻関係になって増えた魔力に迄は対応できなかったようです」

後でマジックバッグを渡す約束をして、今は私が代理で回収。


見たことのない魔獣ばかりだな…。似たようなのは見たことあるけど、違いがあるのは世界が違うからなんだろうな。

どれも一撃でキレイに仕留められててピナさんの腕の良さが伺える。

「お嬢様に頂いた刀が物凄く手に馴染みます」

「それは良かった」





暫くしてキャンディとクッキーも帰還。

回収漏れがないのを確認して、全員で一度ドラツーへ戻る。

チョコ、クッキーとラムネはドラツーの滑走路部分に降りてもらった。

今は大きいままなのはチョコくらいだし、みんな乗れる。



「お疲れ様です」

「ありがとうユリネさん。 みんなは汚れてるならお風呂行ってきていいよ」

「後でちゃんと私達にも聞かせてくれるのよね?」

「当然だよ。私はアキナさんにも報告しないといけないから」

みんながシャワーに向かうのを見送り、キャンディから報告を…いや、その前に。


リビングでぐったりしてる奈々と麻帆を放っておけないね。

「アスカ…あれは無理! 意味わかんない!」

「見てるだけで吐きそうだったわ…」

やっぱり二人には刺激が強かったか。

「無理に戦わなくてもいいよ。ただ、この世界にはああいうのもいるってわかってもらえたらそれでいいから」

「…うん」

後で二人は時間をかけてケアしよう…。


魔力の乱れだけ整えてあげて、部屋で休んでもらう。

「後でまた来るから、今はゆっくりしてて。話があるならそれも聞くから」

奈々がなにか言いたそうだしね。



リビングへ戻り報告会。お風呂に行かなかったピナさん、アリアさんユリネさんは同席。

「キャンディ、報告お願い」

「は〜い。 先ず石造りの建造物が森に飲まれてたわ〜」

「私の見立てだと居住施設だと思ったのだけどどう?」

「さすがね〜。数人が住めそうな家といったところだったわ〜」

「地下はどう?」

「完全なダンジョンよ〜。しかもかなりの規模で三階くらいまでは見てきたけど、罠や宝箱くらいしかなかったわ」

そう言ってキャンディは回収してきたものを見せてくれた。


宝物というよりは私物?

本や日記、小物類。

どれもしっかりと状態保存の魔法がかけられてる。

「三階から下は魔獣の住処になってる感じよ〜、報告を優先してそこで引き上げたわ〜」

「ありがとう。いい判断だよ」

本や日記はこのままアキナさんに届けよう。

私が見ていいものではなさそうだし。


ドラツーの滑走路部分にあがり、クッキーに手紙と一緒に預けて届けてもらう。

「クッキー、お願いね。アキナさんに届けて」

クーー!

一声なくと凄まじいスピードで王国方面へ飛び立っていった。

小物類は纏めておいて後で渡そう。



お風呂から出てきたみんなにもキャンディからの報告を共有。

「本とか日記なんて見ればよかったのにー」

「そうもいかないよ。ここはアキナさんの国なんだから」

「小物とかくらい見せてほしいわ」

それくらいならいいか…。


テーブルに出してあげたのはアクセサリーや、日用品。

こちらでよく見かけるような物だけど、アンティークっぽさがある。


「ママ、そのダンジョン潜るの?」

「アキナさんの判断次第になるね」

「発見者には権利が与えられますから大丈夫かと思いますよ。お嬢様はまた王国に貢献されましたね」

「たまたまだし、先行して調査してくれたのはキャンディとクッキーだから」

「私達はますたぁのお願いを聞いただけよ〜」

みんなはダンジョンに潜るのを楽しみにしてるようだけど、そもそもこの世界のダンジョンってなに?


世界によってダンジョンって色々で、ゲームのように勝手に出来上がるものや、ダンジョンマスターがいて管理してるもの、天然の洞窟や遺跡に魔獣やモンスターが住み着いてダンジョンの様相を成してるもの…。

記憶にあるだけでもそれくらい違いがある。 (ここのは天然のーだよ)

そうなの? (未亜たちのダンジョンツアーの時にそう説明されてた)

なるほど…。となると、今回のは遺跡で間違いないのか。


後は本や日記から何かわかればって所かな。 (うん! 遺跡の地上部分にドラゴンの鱗とか落ちてるけど…)

ドラゴンなんていないよね。探索にもかかってないし。 (すっごく古そう)

昔住処にしてたのか…? なんか謎が多くて少しワクワクするな。


さてと…。

「少し私は席を外すから、みんなはゆっくりしててね」

「アスカ様…?」

「戦闘経験の無い子達のフォローです」

「理解いたしました。こちらはお任せください」

リズも久しぶりにシルフィー様に甘えられて嬉しそうだし。 (お風呂も見てくれてた)

王族なのに良かったのか…。 (みんなもう家族だからって。タオルは巻いてたけど!)

そう。 (ママの前でしかタオルは取らない! って言ってた)

コメントは控えさせてもらっていい? (はーい!)



奈々と麻帆の待つ部屋に行くと、二人ともまだ元気がない。

それはそうだよね…。相手は魔獣とはいえカメラ越しに血みどろの戦いを見たわけだし。

「二人とも大丈夫…、じゃないよね。ごめん…やっぱりキツかった?」

「ええ…夢に出そうよ」

「…なんかもっとゲームみたいに考えてたから結構きつかった」

だよねぇ…。


「奈々、私についてこちらへ来るって事は、ああいうのとも隣り合わせになる。それを知ってほしかったんだ」

「諦めされるため!?」

「違うよ。知らないまま移住するって連れてきたらそっちのが酷いでしょう」

「そうよね…住む世界が違うって実感したわ」

「…私は…」

「奈々、無理しなくて…」

「ヤダ! こんな…、こんな事で諦めて引き下がるような軽い想いじゃないから!」

ありがとう奈々…。


「あのね?多分だけど、二人にも私と同じように耐性がつくと思う」

「耐性?」

「そう。こういう戦闘とかに、慣れるようなね。恐怖心とかが緩和されるの」

「いいことなのかしらそれ…」

怖いと思う事や痛みっていうのは防衛本能だからね。一概にいいとは言い切れないけど…。


「当然だけど、自分のステータスを超える相手への恐怖心までは消えないから、自己防衛としての役割まではなくならないよ」

「ちゃんとバランスが取れてるのね」

「うん。どれくらいでそのスキルを手に入れるかまではわからないけど、ティー曰く、魔王の加護があるから大丈夫みたいよ?」

「ほんと!?」

「ただ、どうしても一度は体験しないといけなかったから、それはごめんね…」

私自身、初めは本当にキツかったから。今の二人の気持ちは痛いほどわかる。

だからこそ早く緩和させてあげたい。


今私にできるのは…二人を抱きしめてあげることくらいかな。

「ア、アスカ!?」

「な、なにこれ…アスカちゃん!?」

「私がついてる。絶対に守るから」

「うん…」

「はわぁ…」

麻帆!? (これは落ちたな…完全に落ちた)

言い方! (嫁をさらに落とすママ…)

もうそれでいいよ…。二人が少しでも安心してくれるのなら。 (ママの癒やしパワー炸裂!)











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