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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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美亜の魔力と王女の魔力



扉をノックする音がして

「失礼致します」

王妃様、王女様とお話をしていると、アリアさんが戻ってきたようだ。


「アリアね? 入って大丈夫よ」

「はっ」


「客室の手配ができました。 ご案内致しましょうか?」

「そうね、ユウキ君だけ別室だから彼を案内してあげて」

「はっ」


ユウキだけアリアさんに案内してもらうって事で二人は部屋を出ていった。




未亜ちゃんは王女様に色々話しかけられて、少し慌てながらも会話してるから大丈夫かな?

王女様、コミュ力高いんだよ。私も初対面のとき体感したから。すぐ馴染めると思う。



私と王妃様はそんな二人の邪魔をしないように、いつもお茶を飲んだりするテーブルから壁際のソファーへ移動する。

ユリネさんがいないから気をつけないと…。 まぁお茶もないから大丈夫かな?


「アスカちゃん達はどれくらい滞在予定なの?こちらは何日いてもらっても大丈夫なのだけど…」

「一泊の予定で準備してきました。二人の希望を聞いて、城下町の観光とかするつもりです」

大きな街だからね、色々あるんじゃないかな?

下見するつもりが私のせいでできなかったし。

…いや、あれは変な冒険者のせいだよね? (うんうん)


「でも、アスカちゃん、帰る時間はリングで調整できるのでしょう?」

「そうですね、出発した時間までは戻れますから」

「だったらいいじゃない。もう少しゆっくりしていってくれても…ほら、約束したでしょ?」

「魔刻刀と、魔道具のことですか?」

「そうよ〜。色々教えてくれるのでしょ?お師匠様?」

やめてーそんな立派なものじゃないから…


「わかりました、二人に相談してみます。でも師匠呼びは…」

「アスカちゃんそういうの嫌がりそうだものね」

わかってて言ったの? ふふふって笑う王妃様はちょっといじわるだよ。



あれ?そう言えば…私とユウキは言語翻訳スキルあったから大丈夫だけど…

未亜ちゃんも普通に会話してるね?

言語翻訳の魔法かけて一時的に対応させるつもりだったのだけど…。



「王妃様、人物鑑定の魔法って教えてもらえたりしますか?」

「私のは先天的なスキル依存で使える魔法だから…難しいわね」

「そうですか…、でしたら未亜ちゃんへ鑑定かけて頂けますか?」


「気になることでもあった?」

「はい、私が魔法かけなくても言語翻訳できてるみたいで、どういうことかな?と心配になりまして」

「わかったわ。すぐに確認する?」

「そうですね、お願いします」

テーブルのところで王女様と談笑してる未亜ちゃんを邪魔しちゃうのは申し訳ないけど、心配だしなぁ。



未亜ちゃんにも説明しないと。

二人の元へいって、話しかける。

「話してるところ、ごめんなさいね、少しいい?」


「アスカ様、大丈夫ですわ」

「お姉ちゃん。どうかしたの?」


「王妃様に未亜ちゃんの鑑定をお願いしたんだけど大丈夫かな? えっと鑑定っていうのはステータス、スキルとかがわかるんだよ」

「来る前に話してた能力とかの事だね。 わかったよ」 

「ありがとね」


「それじゃあいいかしら?」

「は、はい」

王妃様わざわざこっちへ来てくれたんだ。


「緊張しなくて大丈夫よ」

そういうと王妃様は未亜ちゃんへ手をかざして鑑定をかける。



あれ、王妃様…? ギギギって感じで頭だけでこっちへ振り返るの怖いよ!?

「ねぇ?アスカちゃん、未亜ちゃんもステータス偽装してたりする?」

「え?私は何もしてませんし、未亜ちゃんもできないと思いますけど…」

ステータスおかしいのかな?なんだろ…。


「未亜ちゃんの魔力だけが飛び抜けて異常に高いのよ。他は一般的な数値なんだけど。

スキルも言語翻訳と料理スキルがあるくらいね」

言語翻訳のスキルあったんだ。こっちへ渡った事でついた?確か私達も最初の召喚から話せたから…。 

謎だ。  料理に関しては納得だよ。美亜ちゃん料理上手だし。

魔力の方は多分私のせいだよね。無理やり私が覚醒させたようなものだし…。


「多分私のせいです。こちらへ来る為の練習にと、私の魔力を循環させたときに覚醒させてしまって…」

「覚醒させた? アスカちゃんが!? どういうこと!?」

どこから説明した物かな…。


「えっと私のいる世界の人って基本は、魔力波長が多少でてる程度で魔力が身体を巡ってはいなくて…」

「そういえば魔法も魔法陣もないって言ってたわね」

「ええ、未亜ちゃんもそれくらいの魔力しかなかったんですが、一度私の魔力を循環をさせた後には」

「覚醒して魔力が流れたってこと!?」

「はい」

「はぁ〜もうアスカちゃんには驚かされてばっかり!」

なんかごめんなさい。わざとでは…


「てことは、待って! ならもしかして…。アスカちゃん、お願いなのだけどいいかしら?」

え?いや近い近い! そんな必死に…。


「私にできることなら…」

「シルフィに、アスカちゃんの魔力循環をしてみてくれないかしら?」

「はい? 大丈夫なのですか? 抵抗感あるとうまくいかないですし、危険ですよ…」

ユウキや未亜ちゃんは私を信じてくれてたから良かったけど。


「シルフィはね、少し魔力が不安定で…魔法の制御にも影響が出てるの」

その話を聞いている間に王女様はうつむいてしまっている。 苦労してるのかな…。

なんとかできるならしてあげたいけど…。


「シルフィ、どうしたい?貴女次第よ。アスカちゃんへ無抵抗に身を委ねられる?」

言い方! 毎回この話する時こうなるよね。


「私は…お願いしたいです。アスカ様になら…」

頬赤らめながら言うと余計にアウトだから!


「そういう事らしいけど、アスカちゃん?」

「…わかりました、抵抗が強いと危ないのでやめますよ?」

「わかってるわ。シルフィ?」

「はい! 大丈夫です」

王女様本人が大丈夫っていうなら…。



「では、王女様、私と両手を繋いでください」

「は、はい」

向かい合う形で手をつないだけど…。緊張してるね、無理もないけど…ん〜。


「王女様、大丈夫ですから。落ち着いてください。ね?」

そう言って笑いかける。

「…はいっ。ありがとうございます」

大丈夫そうだね。


「ゆっくり流していくので、リラックスしてください」

右手から王女様の左手へ…少しずつ…


「っっ…はぁ…んっ。す、ごい…魔力…くっ…はぁ」

あれ、なんか引っかかる…これかな?流れを阻害してるのは。

ゆっくり…解くようなイメージで。

「ひぅ…きつ…い…ぁぅ……はぁぁ…んっ」



解けた! 

「っっ…ぐぅっ……な…にこれ…あった…かい。 きもちぃ…」

このまま、王女様の右手から私の左手へ魔力を戻して…循環させれば。

解けたことでかなりの魔力が流れ始めたね、ユウキか… いや未亜ちゃんくらいにはなりそう。



「循環できたので、私の魔力を抜いていきますね」

「あぁ…う…」

よしっと。多分これで大丈夫だと思うけど。


振り返るとすっごいジト目を向けられてるんだけどなんで?

みんなどうしたの?  あ、ユウキ戻ってきてたのね。


「アスカちゃん…」

「お姉ちゃん…」

「アスカ姉ちゃん…」


私頼まれたことしただけなのに。 なんでそんな目で見るの?

「魔力の流れは正常になったと思うのですが…」


「…あ、 ええ…、調べてみるわね。シルフィ、いらっしゃい」

「ふぁい、お母様。  なんだか身体が温かくて幸せなのですぅ」

「……」



手をかざして鑑定をかけた王妃様は、膝から崩れ落ちました。





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