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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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グリシア王国の三人



最後はグリシア王国。

そう思い、お屋敷に転移した。


最近はこちらにドラゴライナ王国からの常駐員として、アキナさんの奥様が数人住んでるって聞いてる。

会ったらご挨拶しないとな。



こちらの三人を探す。

丁度掃除をしてくれてたメイドさんを見かけたので、居場所を聞いたら呼んできてくれるそうなので部屋で待つ。

……リア達に押し切られるような形で恋人ってなってるのだけど、私にそういう感情があるのかと言われたら正直わからない…。

一緒に過ごした期間が一番短いってのもあるかもしれないけど…

魔法学園に在学中は色々あったし、お世話になった。

だから何かあれば守るつもりだし、今はここで働いてくれている、いわば家族に近い関係だとは思っているけど…。


「失礼します…」

「はい、どうぞ」

考え事をしてたら三人が来てしまった。


「お呼びだと伺いました!」

ストレリチア様はメイドをするのに抵抗はないのだろうか…。

この際だから、すべてをしっかりと話し合おう。


私の思いや、三人の気持ちをお互いに確認したい。

そう伝えて、話をした。

「私は王女ではありますが、メイドとして働く事に抵抗もないですし、むしろ楽しんでます。アスカ様への想いは間違いないです。憧れであり、恩人であり…この身を捧げるに相応しい方だと思い、尽くす覚悟です」


「このお屋敷で働かせて頂いてるのは名誉だと思ってますわ。アスカ様への想いに関しても、大切な方、放って置けない方、そして支えたい方です。当然大好きですわ!」


「私は…ご迷惑しかおかけしていません。ですから私の想いに答えて頂けない覚悟はしております。ですが…私のアスカ様への想いは決して嘘偽りのないものです。この命にかけても!」


三人のそれぞれの想いを聞いて私は…

どう返したらいいのか正直わからない。まだお互いに知らない事が多すぎる。私のその気持ちも素直に伝えた。


「アスカ様、一つよろしいですか?」

「はい?」

「焦らずに、ゆっくり私達と接してください。どうしても想いに答えられないと、そう仰られても私達は構いません」

「そうですわ。想いなんて強制するものではありませんから」

「私はこの想いを伝えるのさえおこがましいと、そう思っていましたから…知っていただけただけで充分です」

ほんと、何が正解なのかわからない。

こういうところが私の優柔不断って称号がつく由縁なのかもしれないね。

だけど、有耶無耶にしたり流されて、だなんて失礼な事はしたくないから…。


「これから私はどうしたらいいかな…どうしてほしい?素直な希望を聞かせて?」

「アスカ様はそのままで。時々でいいですから会いに来てください」

「ええ。私達はいつもここにいますわ」

「アスカ様のお屋敷はお任せください」


そっか…。

うん。…よし、決めた!

私がどうしたらいいか、話したおかげで、それを今ハッキリ自覚できた。


「これから、三人ともしっかりと向き合っていくね。これはその約束の印だと思って受け取ってもらえる?」

当然、三人の指輪も作ってきてるからそれを渡す。

「大切にしていきたい気持ちと、守りたい気持ち。それを込めて作ってあるから…」

この想いが色恋なのかはまだわからないけど、それはこれから一緒にいればわかると思うから。


「あ、ありがとうございます! 素敵です…」

「とても、とても嬉しいですわ…! 大切に致します」

ストレリチア様とモルチアナは受け取ってくれた。


でも…サラセニアは手を出さない。

「…私に受け取る資格があるのでしょうか…」

「資格かぁ…それを言われたら私には想ってもらう資格が無いってなっちゃわない?」

「どうしてですか!?」

「だって、原因はどうあれ、サラセニアの家も家族も、全てを奪ったのは誰でもない私だよ?」

「……すべての原因は私側にあります! そして目を覚まさせて頂いたのです。感謝こそすれ恨みなどありません!」

「そう思ってくれてるのなら受け取って?お互いこれから向き合っていくための約束なんだから」

「はい…ありがとうございます! 大切に…大切にします! この想いも頂いた指輪も…」

「うん。これからもよろしくね」


ほんの少しだけ進展した三人と、その日はお茶をしたりしながら色々と話をした。

一緒に過ごす時間というのは、お互いを知る上で一番大切なものだと思うから。

だから私はまたここに来る。

約束したからとかじゃなく、私が来たいから。三人に会いたいから。


「そういえば、三人には称号ついてる?」

「はい…それ、お尋ねしてよろしいのですか?」

「内容が内容でしたので、三人で話し合って内密にしようと…」

「ええ…」

「そうだね。三人には隠し事はしないよ。えっとね…」

今までの召喚についてや、魔王だった事も当然話した。


みんな真剣に話を聞いてくれて、驚きはしてもその過去があって今の私がいるのだからすべて受け入れると、そう言ってくれた。

「ありがとう。でも、そんな簡単に受け入れられる内容かな?」

「アスカ様の力を見てますから。むしろ納得したというか…」

「そうですわね。色々と繋がったといいますか、なるほど。と思いましたわ」

「私はそんな方に救われたのかと思うと…幸せです」

なんていうか、みんな本当に優しいよ。


「一つ問題があるとしたら、ステータスが高すぎて危ないってところでしょうか」

「そうですわね…力の加減はできますが、突然万能になったような錯覚に陥ります」

「私は頂いた力を絶対に悪用致しません。御恩を仇で返すような真似はできませんから」

「ありがとうサラセニア。 皆は力の扱い方については問題ないと思うけど、一つ、これだけは覚えておいて。私が師匠から教わった大切な事だから」

「「「はい!」」」


「力に奢り、他者を見下さない事。それをしてしまったら自分を見失うよ。そして、力を使う時を絶対に間違えないで。お願いね?」

「お約束します」

「アスカ様や皆様に顔向けできなくなるようなこといたしませんわ」

「私は既に一度権力という力に奢り失敗しました。二度と繰り返しません…」

「ありがとう。それとサラセニア」

「はい?」

「いつまでも自分を責めないでね、前を向いていいんだよ。私達がいるんだから」

「そうよ! これからは一緒に歩いていくんだから。いつまでも後ろ向いてたら引っ張るからね!」

「ですわね。しっかりと横に並んで歩いてくださいまし」

「はい…はいっ!」


色々と悩んだグリシア王国の三人だったけど、ちゃんと話せてよかったと思う。

きっと仲良くやっていける、そんな確信が持てた訪問になったから。








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