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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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夏の夜空に想いを



花火の上がった数からもそろそろ後半に入る。

緊張するけど、始めますか…。 (ママがんばれー!)

うん、見届けて。 (あい)


やっぱり最初は奈々かな。

「奈々、これ受け取って」

「…まさかこれ」

「うん。称号は貰ったかも知れないけど、私からは形のあるものを。ね?」

「ありがとう…嬉しい! あけても?」

「いいよ」

そっとケースを開く奈々の横顔が印象的だった。


「…アスカ!」

抱きつかれるのは予想外だったけど。 (そう?)

「これもしかして…」

「うん。こっちにはない素材を使ってるから、もし処分するときは…」

「違う! そんな事を聞きたいんじゃないし、処分なんてしない! 絶対に」

「ごめん…」

「台無しだよ?そういうとこ」

本当に申し訳ない…。まだ実感がわかないんだよ。

私がこんなに沢山の相手に想ってもらえてるなんて…。


「宝石のついた指輪、誓いの意味を込めてると思っていいんだよね?」

「うん。大切な人へ渡すためにって想いを込めたから」

「ありがとう。大事にするね」

「うん。そうしてもらえると嬉しいかな」

「名残惜しいけど、みんなが待ってるから交代するよ!」

奈々にそう言われて初めて気がついた。

順番に並んでるのね…。 (こちらでの序列。ママの意向を汲んで順番決めたらしい)

そうなんだ…。


「お姉ちゃん?」

「未亜、受け取ってもらえるかな?」

「ありがとう! 今度のは本物だね」

「そうなるね。前のはみんなに言われて作ったものだったから」

「未亜、早く交代!」

「えー…。 また後でね?お姉ちゃん」

行列になってるからどうなるやら…。


「アスカ!」

「遅くなってごめんね。リア」

「いいのよ。ずっと一方通行かと思ってたから、嬉しいわ」

「私もー」

「ちょっとねえ様!?」

「私達は序列一緒でしょー!」

あ、そうなんだ? (出会いはリアが先だけど、ティアが姉だから)

よくわかんないけどそうなのね…。


「ティアねえ様。受け取ってもらえるかな?」

「うん! ありがとうアスカー。それと、もう呼び捨てにして貰いたいかなー」

「ティア?」

「そう! もうねえ様じゃないからねー」

「わかった。慣れるように頑張るね」

未亜から”ちゃん”を取ったときを思い出す。


「シエルちゃん、先に行かないとだめよ?」

「でも、うちはまだ…」

「シエルのも作ってあるから受け取ってもらえないかな?」

「…ありがとうなのお姉様。あの…」

突然抱きついてきたシエルにちょっと驚く。

「大人になるまで待っててほしいの…」

「慌てなくていいからね。傍にはいるんだから」

「はいなの…」

今しかない子供の時間は大切にしないと。 (ゆーてママもそんな大人ではないの)

そこはほら…魔王とかしてて人生経験は多少あるし… (そだねー)

なによ? (別に何もいってないよ?)


「アスカちゃん?」

「麻帆、本当に良かったの? ノリと勢いみたいになってなかった?」

「今更よ。奈々に負けてるのとかなんか悔しいし」

「なんだとー!」

「麻帆、もし…」

「それ以上言わないで。ね?」

「わかった。じゃあ受け取ってくれる?」

「ええ。ありがとう。ふふっ、これで私もハーレムの一員だわ」

いいのかそれ…。 (ママのハーレムメンバーとか完全なステータス!)

ちょっと意味がわからない。


「ティーとリズ、レウィにはこれね?」

「ティー達も!?」

「ありがとうなのです!」

「わう?」

「三人のは意味が違うけど、大切な私の子であり、家族だからね」

「わー! 可愛いブレスレット!」

「キラキラなのです!」

素材はみんなと同じ。デザインだけ変えてある。


「レウィは首輪につけてあげるね」

「主様ありがとう!」

「いえいえ」

鎖状のアクセサリーを首輪にかけてあげた。


「お嬢様…」

「勿論ピナさんにもあるよ。これは主として、家族としてのプレゼントだから、アキナさんにもちゃんと言ってね?」

「わかりました」

誤解を招くようなことはしてはいけないからね。

だからピナさんのもデザインは違う。


「これは…簪ですか?」

「やっぱり知ってたかー。ピナさんはいつも髪を纏めてるからね」

「…ありがとうございます」

早速髪を解くと手慣れたようにくるくるっと簪でまとめあげた。


「似合ってるよ」

「そういうセリフは皆さんへ」

みんなが指輪をつけてくれてるものね。


すぅーはぁー…。よしっ!


「こんな私だから、みんなに心配かけたり、不安にさせたりする事がこれからもきっとあると思う。でも大切に思う気持ちだけはずっと伝えていくから。これからもよろしくね?」

私もみんなとお揃いの指輪を左の薬指に着ける。

「私の全力でみんなを絶対に守るよ。この指輪に誓って」



ベストタイミングというのか、花火のトリを飾る大輪の花火が上がり、一気に静かになった。

駆け寄ってきてくれたみんなにもみくちゃにされたけど、それが嬉しくて。

忘れられないお祭りになった。


数年後、十年後、何年経っても変わらずみんなを想い、守る。

その決意を夏の夜空へ。


「(みんな、大好きだよ…)」


「アスカ今なんて言ったのよ?よく聞こえなかったわね?そういうセリフは私達に向けて言って欲しいわ」

「もう一回ー!! アスカー」

なんで聞こえてるのよ…。 (あははっ! ドラゴンは地獄耳!)

初耳だわ、その情報…。



「未亜、今のなんだったの!?」

「ふふ〜。あのね。明ちゃん、私達はお姉ちゃんの特別になったの!」

「それって!?」

「みんなには内緒にしてね?」

「言えるわけないよ! ファンクラブに激震が走る!!」

未亜と明ちゃんの会話から一つの不安が…。 (奈々?)

うん。学校で宣言したらどうしよう…。 (諦めてもろて)

そうだね、それくらい受け止められなきゃこの先やっていけないか。 (ママが逞しくなった!)

まだまだだけどね…。










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