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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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夏祭り



夏休みも8月に入り、お祭りが近くであるからみんなで浴衣に着替えて行くことにした。


浴衣は見本として一枚だけ購入して、他はみんなに柄を選んでもらい反物を購入。

シエルが作りたいって張り切ってたから。 



見本の一枚を解いたシエルはすぐに把握して、あっという間に全員分を作り上げた。

着付けは私も手伝うつもりで動画で勉強して覚えておく。


こちらのイベントだし、奈々と麻帆も当然誘ってある。



そのお祭り当日に渡すつもりで、私は大切な人のために全員分の指輪を作った。

前に指輪をあげた子もいるけど、それはそれ。

異世界の人達には後日渡しに行くけど、まずはこっちにいる子達に…。


一人ずつ渡すつもりではいたのだけど…

「お嬢様、そういうのは雰囲気が大切ですよ?」

どうしろというのだろうか…。

ピナさんもそこまでは教えてくれなかった。


一つずつケースにもいれてある。

雰囲気かぁ…じゃあお祭りの最後に花火を見ながらとかにするか。



なんにせよまずはお祭りだ。 (おー!)

「ティー、リズ。着せてあげるからおいで」

「はーい!」

「お母様お願いするのですー」

やっぱり二人は私が着せてあげないとね。 (〜〜♪)


シエルはサイズをぴったりに作ってくれてるから苦もなく着せてあげられた。

髪もアップに結ってあげて完成。

「少し歩きにくくなるから気をつけてね」

「はいなのです!」

「走りにくいのー」

「うん、そこは仕方ないね」


「アスカ、お願い」

「リア、私が先ー!」

ドラゴン姉妹だけじゃなく、みんな浴衣を抱えて待ってるんだね…。


ティアねえ様にシルフィー様達への招待状も手紙で渡して貰ったのだけど、王妃様の許可が出ず。

まだやるべきノルマが終わっていないんだとか。 (山のように積まれてる課題)

シルフィー様が来ないのにアリアさんやユリネさんが来れるはずもなく。


可哀想になるんだけど…。 (ママとの未来のためーって頑張ってる)

そう…。私だけ遊んでていいのだろうか。 (ママは今夏休みなの!)

学校はね? (みんなと遊ぶ約束!)

確かにその通りだね。シルフィー様達には、また何か別の事で埋め合わせするかぁ。 (うん!)




待ってる子達を順番に着付けてあげて髪も結ってあげる。

私もこういう事に慣れたなぁ…とか思いながら。



全員分の着付けも終わりそろそろ出発。

護衛を兼ねて来てくれてるピナさんも今日は浴衣姿。

「浴衣は随分久しぶりに着ました」

「同じ様な物があるのは面白いね」

「はい…世界が違えど似たものがあるというのは興味深いです」

やっぱり柄はトロピカルなんだね…。

 


お祭りはいつもお世話になってるお稲荷様が中心になるから、お散歩がてらそちらに向かう。

「アスカお姉ちゃんキレイ…」

「スピネルも黒の浴衣がシックで素敵だよ。ユウキがみつけてくれた?」

「…うん」

「探すの結構苦労したよ。鮮やかな色が多いからね」

確かになぁ。着物なら黒はあるけど浴衣でってのはあまり見ない気がする。


「ボクまで良かったのかな?」

「せっかく来てくれたんだからいいんだって。着付けてくれたのは姉ちゃんとシエルだけど」

シャーラもこの日に合わせて遊びに来てる。当然、師匠達は来れるはずもなく…。


ユウキ達とは、お祭り会場に着いたら別行動するけど、行きくらいはみんなで…。

レウィもしっかり甚平っぽい服を着せてあげてるから可愛らしい。

 

お稲荷様への道はすでに屋台でいっぱい。

「わぁ! ママ、あれ何!?」

「屋台だよー後で欲しいものあったら買おうね」

「すごいのです! お店がいっぱいなのです!」

楽しそうで何より。

道の両脇にはズラーッと各種屋台が並び、美味しそうな香りがあちこちから漂ってくる。


「先ずはお狐様にご挨拶に行くからね」

結構な規模のお祭りだから人も多い。

早めに出てきたけど、それでも…。


「あ、来たー! アスカー!」

「奈々、大声出さないの!」

見つけられたから有り難いよ。 (探索は?)

使ってないよ。 もしもに備えて使っとくか…。 (うん。人が多いし)

そうだね。お祭りではぐれて一人ぼっちとかには絶対にしたくない。


未亜は親友の明ちゃんとも合流。

一緒に回る。遠慮してたけど、気にしないでほしいな。



お狐様に挨拶。せっかくのお祭りだから楽しんでいくようにと言ってもらった。

小さなお狐様達も楽しそうにあちこち飛び回ってる。

神主様にも挨拶しようかと思ったけど、流石にお忙しいのか見つけられなかった。


「じゃあ、姉ちゃん。僕らは別行動するよ」

「うん、帰りは各自で帰宅してね」

「はーい」

スピネル、シャーラに腕を組まれたユウキは足早に行ってしまった…。


「アースカ! ほら、どこ行く?」

「独り占めさせないわよ!」

「リアちゃん。そこは交代で…ね?」

「お嬢様も大変ですね?」

ピナさんからの視線が冷たい!


ティー、リズとシエルを気にしててあげてね。 (らじゃー! シエルはレウィもついてるから大丈夫かと)


少し暗くなってきて、屋台の明かりが幻想的。

順番に屋台を見ながら、みんな気になった物を買ったりしつつ歩く。

私の腕はフリーになることが無く、買い物をさせてもらえない…。

「お嬢様、買い物はお任せを」

「ありがとう。じゃあ、焼きそばとりんご飴と綿菓子だけは見つけたら買っておいてもらえる?」

「了解いたしました」

本当に助かります。


ティーが金魚すくいで乱獲しておっちゃんに悲鳴をあげさせたり、スーパーボールすくいでリズが大喜びしたり…。

綿菓子を初めて見る子は何かわからなくてびっくりしてた。

「…お姉様、これクッションに詰めるやつなの…」

「その綿にそっくりだから綿菓子っていうんだよ。摘んで食べてみて」

「……」

恐る恐るといった感じに口に入れたシエルは甘くて驚いてた。

「これをクッションに入れたら…いつでも甘いの食べれるの…」

「それはやめたほうがいいね」 

「…じょうだんなの」

ベッタベタになっちゃうからなぁ。 (口の中で溶けて無くなる!)

うん。置いておくと小さくなっちゃうから食べちゃいなさいね。 (はーい!)


「私はやっぱりポテトかしら」

「じゃがバターのがいいでしょ!」

奈々と麻帆がイモで揉めてる。 (いもーな戦い)

不毛な戦い? (それそれ!)



一通り屋台を巡ったあと、小さい時に見つけた穴場へみんなを連れて行く。

普通はもっと近くで見える河原の方へ行くから、ここは人がまず来ないんだよね。

「アスカーこんな暗いところに私達を連れ込んで何する気かなー?」

「人聞きの悪い言い方やめてくれる!? 奈々は理由わかるでしょう」

「まぁねー」

「こんな場所があったのね…」

神社の裏手から少し山を登る獣道みたいな場所だから、あまり人も来ないはず。 (いるよ?)

あー…うん。ユウキはいると思った。

少し離れておくか。 (それがいいの)


登りきると、開けた場所があるからそこへ。ユウキたちとは少し距離を取る。

「お姉ちゃんここって…」

「うん。小さい時にユウキと見つけたんだよ。カブトムシとかも取れたし」

「虫はいいかな…」

まぁそうよね。 (ティーは見たい!)

金魚もいるんだから捕まえたらダメよ? (はーい)

おっちゃんが困ってたから五匹だけ貰ってきたんだよね。 (飼うのー)

帰ったら水槽作ってあげるから、落とさないようにね。生き物だから。 (あい!)


「アスカー何が始まるのー?ここ、なにもないよー」

「えっとね、ティアねえ様。あっちの方角を見てて。そろそろだから」

「うん?わかったよー」

みんなにも花火の上がる方角を教えてあげる。


ひゅるるるる〜〜〜ドーーーーン!

ナイスタイミング。

「花火だー!」

「うん、私の作る魔道具のとは違って本物だよ。これを見せたかったの」

「わぁ…」

「ママすっごい…」

「でしょー。本物はやっぱり違うからね」

見上げるみんなの顔が、打ち上がる花火で照らされる。


このタイミングで渡すつもりだったけど、見入ってるし…もう少し後にするか。


 






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