友達?それとも恋人?
奈々がこうなってる原因がわかった? (バッチリ!)
さすが優秀…。 (原因はママ!)
私!? (奈々の治療する時に全力で力を使ったから)
でもあれは治療だよ? (そうなんだけど…ママがやり過ぎたからそれを有耶無耶にする力が働いて…)
他の人も治したからってこと? (そう、奈々にかかってた強制力にもそれが上書きされたのだけど、直接関わりの深い奈々にはそれが効かなくて)
前の強制力まで… (パーンっ! てなった)
相殺されて消滅したのか。 (今から奈々にもう一度できるけど…)
けど? (ママとの記憶に影響が出るかも)
……それは。 しかも私が原因で思い出してしまったのに、それをまた封じるとか、ちょっと私にはできない。
「アスカ、聞いてる?」
「え…ごめん、ちょっと考え事してて」
「誰にも言わない。だから…」
「だから?」
「すぐにとは言わないから、恋愛対象としてみて?」
「奈々を?」
「うん。親友でもあり、恋人! 私が目指すのはそこ! 一番うまくいくカップルだよ」
確かに何かで聞いた気がするな…友達みたいに自然体でいられるカップルが一番長続きするとか…。
「私は何を見せられてるのよ…」
それは…なんかごめん。
「とりあえず離れなさい。 いつまで抱き合ってるのよ」
そういえば飛びかかって来たのを抱き止めたままだったな。
離そうとしたのだけどしがみついて離れない。
「約束してくれるまで離れないー」
「それはどうかしら」
「あははっ…麻帆やめっ…ちょ…っ、あははははっ」
ゴッ!!
「いったいっ!!」
麻帆にくすぐられて暴れた奈々は、頭を私の顎にぶつけて蹲った。
「アスカちゃんは平気?」
「うん、まぁ…奈々の頭突き程度ではダメージとか入らないよ」
「魔王様だったわね…」
「っーーー! 絶対にコブになった! 傷物にされた!」
もうめちゃくちゃ…。 (ママは大変だー)
…いい加減、みんなと話し合う時なのかな。私も自分の気持ちがようやくわかったから…。 (おーついに!)
そうなると…一番最初はやっぱり師匠とメリアさんか…。 (そこから!?)
順番でいうならそこかなーと。 (まぁそーだけど…)
むしろ奈々が一番最初!? (要確認!)
「ねぇ、奈々。大切なことを聞くから正直に答えて」
「うん?責任取る気になった?」
「わかったから! いつから?」
「好きになったの?」
「そう…」
「中学に入って見かけた時! まだファンクラブとか出来てなくて、縛りもなかったから…声かけたの覚えてない?」
「声かけてきたというか……入学式の日に、曲がり角でぶつかってきたね」
「それそれ!」
「ベタな事したわね…そういえば初日から食パンない?とか意味のわからない事を言ってたのはそのせいだったのね」
「インパクト大切!」
確かにそれは一理ある。だって、あの時奈々は教科書くわえてたからな。 (痛い子や!)
何もなかったんでしょうね手頃なものが。
配られたばかりの新品の教科書に歯型つけてたからよく覚えてる。
「それで手を貸して助け起こして…教科書くわえたまま、もごもご言ってた」
「…何してんのよ奈々は! 初対面最悪じゃないそれ…」
「ううん、面白い子だなぁと思って、話しやすかったから失敗ではなかったよ」
「作戦勝ち!」
作戦とか言っちゃったら台無しだけど…。
そうなると奈々が一番最初か。
「奈々、今から多分私はすごく最低なことを言うよ。それでも受け入れてくれるのなら…」
「大丈夫! どーせ恋人が大勢いるって言いたいんでしょ?」
「間違ってはないけど、そうなるかもしれない…最低だよね」
「うん! たぶんそれは最低! でも諦める。みんなもきっと私と同じ気持ちだから、諦めろなんて言えないもん」
「奈々…」
「話し合いは必要だと思うけどね」
そう言って笑う奈々。
これが正しいのか間違いなのか私にはわからないけど、向き合うと決めた以上、いい加減な事は出来ない。
「アスカちゃん私は?」
「麻帆も!?」
「私は恋人とかそういうのはよくわからないけど、仲間はずれは嫌よ!」
「麻帆もハーレム入ろーぜー!」
「それもいいわよね。楽しそうだし」
意味わかってるのかな、本当に…。
背後から気配がして、抱きつかれた。キャンディ…聞いてたの?
「ますたぁ?それなら私もちゃんとその中にいれてほしいわ〜」
「キャンディ、本気なの?」
「サキュバスだからって誰でもいいわけではないわ〜私はますたぁだけよ〜?今までもこれからも」
「わかったよ…。とりあえず順番に話していくから、もう少し待っててもらえる?」
「ええ〜、散々待ったもの〜それくらい平気よ〜」
ごめん…キャンディ。魔王時代からだもんね。 (吸いつくされない?)
なにが!?サキュバスって血を吸ったりしたっけ… (あーわかんないならいーや!)
ちょっとティー? ティー!? (〜〜♪)
はぁ…。
順番になったら喚びだす約束をして、キャンディ達を送還。
話し合いたいって言う奈々をつれて自宅へ転移した。




