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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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大切な日



夏休みに入って数日。

朝と夕方にレウィの散歩に行くのが日課になってる。

ティーとリズは必ずついてきてくれるから、今日も一緒。

お手伝いサインも順調に貯まってるようで、毎日眺めてるのが可愛らしい。



今朝も涼しい時間帯に家を出てきた。

「わうっ♪」

嬉しそうで何より。

朝の散歩から帰ると父さんの仕事についていったり、家でのんびりしてたりとレウィも随分馴染んだなぁ。


「ママ、今日は少し遠くまで行きたい!」

「リズもなのです」

「じゃあ少し遠回りして帰ろうか」

普段あまり通らない道や、狭い路地を歩いてちょっとした冒険気分。

ティーとリズが楽しそうで私も嬉しくなる。

主役のレウィもお散歩が長くなるからか嬉しそう。

 


普段なら三十分くらいのお散歩が、途中でコンビニに寄って水分補給をしたりしながら遠回りをしてたら二時間近くかかってしまった。

全員魔道具で暑さは緩和されてるとはいえ、早めに帰らないと陽が高くなってきた。



「ママ、レウィよろしくー!」

「なのですー」

「はいはーい」

二人はデジタルペットの様子でも見に行ったのかな。家に駆け込んでった。



レウィは首輪についてる魔道具で脚の汚れは取れるけど、拭いてあげると喜ぶ。

「主様、ありがとう!」

「いえいえ」

甘えてくるから撫ぜてあげて、リードを外して一緒に家の中へ。


……あれ? まぁいいか。

「主様?」

「何でもないよー」

そのまま洗面所へ行って手を洗ったりしてリビングへ入った途端、目の前の光景にびっくりしてしまった。

家を出る時にはいつも通りだったのに…。


「ママーお誕生日おめでとー!」

「おめでとうなのですお母様!」

そっか…今日だったっけ。

だから誰も玄関に迎えに出てこなかったのか。いつもなら必ず誰か来てくれるから。



「ありがとうみんな…飾り付け、こんな短時間でやったの?」

「頑張ったわ! アスカおめでとう」

「私も頑張ったよー! おめでとーアスカ!」

ティア姉様も来てくれたんだ。

二人からハグとプレゼントの包みを。


みんなも交代でお祝いとプレゼントを渡してくれた。


「お嬢様、おめでとうございます。陛下からはこちらを…」

「ありがとうピナさん」

ピナさんからはお手紙とキレイな珊瑚の置物。アキナさんからはお手紙…。 (なんてー?)

お祝いの言葉と、アキナさんからは時間がある時に来てほしいって。 (おー!)

「ピナさんこれ珊瑚であってるよね?」

「ご存知でしたか。生まれ故郷ではプレゼントとして親しまれているのですが…」

「ありがとう。すごく綺麗だね、大切にするよ」 (ママの髪によく似た綺麗な色!)

選んでくれたのかな…。 (アキナさんと夕波王国に一度行ってたからその時かも)

そっかぁ…。部屋に飾らなきゃね。




「アスカー、王妃様がお祝いしたいたいから私の帰る時に一緒に来て顔を出してほしいって」

「わかったよ、ありがとう」 (シルフィー様が私も行きます! って暴れてた…)

ティアねえ様しか転移できないからね。 (潜り込めるのはティーくらい)

だね。



まだ少し早いけどって母さんがリビングに食事を並べだす。

手伝おうとしたら止められてしまった。

「お姉ちゃんは今日主役なんだよ?座ってて」

そう未亜に言われてしまってはおとなしくしてるしかない…。 (ピナさんもいるから)

プロのメイドさんだものね。 (忍びもプロ)


テーブルには私の好きなものが並べられていく。

ケーキはアップルパイに、りんごのタルト…。

料理は和食中心で、多分母さんが頑張ってくれたんだと想像がつく。



待ってる間にみんなのくれたプレゼントを開封。

シエルと未亜、リア、ティアねえ様は、一緒に何着かの服を作ってくれてた。

一着はすっごいドレスなんだけど…。 (みんなで写真撮るよう)

そういえば家族写真撮ろうって話だったね。 (そうそれ!)

後は、異世界で違和感のない服と、こちらで着れるこれから暑くなる夏に合わせたシャツワンピやスカート。

素敵だな…。


ユウキとスピネルからは、ちょっとカッコイイ髪留めやアクセサリーを数種類。

二人の趣味なんだろうけど、私でもつけられそうなものにしてくれててありがたい。

ただ、ごめん…眼帯はつけないかな。 (海賊魔王!)

そんなのがいたら海が超危険地帯になりそうだな。 



ティーとリズからは似顔絵。

ティーは流石というべきか、かなりのクオリティー…。 (いつもママを見てるから!)

ありがとね。すごく嬉しいよ… (〜〜♪)

リズは子供らしい可愛いタッチ。二枚とも部屋に飾ろう。 

「お母様、リズはキレイに描けてますか?」

「うん。素敵だよ、ありがとうリズ」

「良かったのです!」

我慢できなくてティーとリズを抱きしめてしまった。 (ふふー♪)

うちの子可愛い。最強。



母さんからは…何これ?

手紙付き? 姿の偽装についての謝罪と…もしもの時はちゃんと使え?小さな箱。これまさか!? (なにー?)

な、なんでもないよ! (?)

相変わらずよくわかんないことするなぁ母さんは…。

私は必要になることはないと思うよ?

周りに男の人なんてユウキか父さんしかいないのに。

それに子供ならもうティーとリズがいるからね。


父さんからのは、母さんが預かってると渡してくれた。今日も仕事だもんな…。 (休めなくて不貞腐れてた)

お仕事は仕方ないね…。

プレゼントはネックレスと手紙…。父さんのお母さん、つまり私のお祖母ちゃんにあたる人が生前持っていた物で、私に持っててもらいたいと。

…大切にしなきゃ。

父方の祖父母は私が生まれる前に亡くなってるから会ったことはない。

それでもこうやって託して貰えるっていうのは感慨深いものがあるな…。


レウィからも手紙?

あの子文字かけたんだ…。 (意外に達筆)

お礼の気持ちが込められたレウィからの手紙はとても温かかった。

ありがとう、レウィ…。


スマホがなって、確認したら奈々からメッセージ。

追試終わって合格したんだ。良かった…。

改めて誕生日のお祝いも書いてくれてる。

あとは…泊まりに来る予定を決めたいのね。

うちはいつでもいいから、奈々と麻帆で都合のいい日を決めてくれたらいいと返信。

母さん達の許可はもらってるし。

ちょうど麻帆からもお祝いと、お泊りについてメッセージが来たから同じように返事をしておく。



「お昼には少し早いけど、パーティ始めよっか!」

母さんにそう言われ、みんなも席についていただきます。

未亜が切り分けてくれたアップルパイ、サクサクですごく美味しい。

「どうかな?お姉ちゃんのレシピを再現したんだけど…」

「すごく美味しいよ。ありがとう。未亜こそケーキ屋さん出来そうだね」

「良かったー。シエルちゃんも手伝ってくれたんだよ」

「そうなの?ありがとうシエル。お菓子作り上手くなってきたね」

「よかったの…うちも料理スキルあるから…」

そういえば…こちらへ帰ってきて体調確認した時に持ってたな。


タルトは母さんが作ってくれたらしく、切り分けてくれた。

「…美味しい。流石だね母さん。作り方教えてくれる?」

「いいよーでも今は味わってね?」

私の作り方と違うから気になる…。


母さんにリコも呼んでいいといわれ、ニレやツキへのお土産も用意してくれてて母さんが渡してくれた。

「私もお世話になってるからね!」

リコはニレもツキも私に会いたがってるから、また顔を出してほしいと頼まれた。

勿論また会いに行くよ。師匠にも顔を見せないといけないし。 (また暴走する…)

そう言われるとちょっと怖いけど…。



その日は美味しい物を食べて、ゲームをしたりと、ずっとリビングでみんなと過ごした。

賑やかで本当に素敵な誕生日をプレゼントしてもらった。



「姉ちゃん、これ母様から」

「えっ?」

ユウキから手渡されたのは小さな包み。

「ちょうど姉ちゃんの誕生日が近いって言ったら、それを渡してほしいって預かったんだよ」

「そう…」

母様が…。

包みを開けると、小さなリング。

母様手作りの魔道具…。間違いない、この術式は母様の。 (ママのに似てる!)

逆だよ。私が似てるの。基礎を教えてもらったのは私だからね。 (そっか!)

母様は私みたいに魔刻刀を使わなくても繊細な術式を刻むから…。 (なんの魔道具?)

私の魔力やステータスを底上げできるとんでもないものだね。 (そのサイズで!?)

うん。もう流石としかいえない…。


ありがとう母様…。大切にします。







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