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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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ユウキと母様



一日時間を戻した状態で、アクシリアス王国王城の別棟にティーの分体を送り届けて自宅へ転移。

「ママおかえり!」

「ただいま。ありがとねティー」


待っていたくれたティーと一緒にユウキの部屋へ。

「ユウキ、少しいい?」

ユウキの返事より先にスピネルが扉を開けてくれた。

「アスカお姉ちゃん、ユウキに用事…?」

「うん、お邪魔するね」

「姉ちゃん、入っていいよ。どうしたのさ?」


母様に呼ばれて会ってきたと説明したらユウキはびっくりしてた。

無理もないよね。私も転移に干渉されて連れて行かれるなんて思わなかったし。


「母様は元気だった?」

「うん。おかわりなかったよ。ユウキにも会いたがってたから…」

「連れてって!」

「今!?」

「あの時のお礼も言えてないんだよ! 早く!」

興奮気味のユウキに急かされて、已む無く転移。

当然スピネルもティーも一緒。


「懐かしい…ここ僕らの部屋だ!」

部屋をぐるっと見渡した後、ユウキは部屋を飛び出していった。

「…ユウキ」

「スピネル、大丈夫。私達の恩人で、親代わりでもある方だから、心配しなくていいよ。少し私達と待っていよう?」

「わかった…」



スピネルが聞きたがるからここでの出来事を話してあげた。

「もう少し詳しく聞きたかったらユウキに話してもらうといいよ」

「…うん。二人とも大変だったんだ」

「そうね。だからこそ母様は恩人なの」

話を聞いて納得したのか、おとなしく待っててくれて助かる。


少ししたらユウキと母様が部屋へ戻ってきた。

「まさかすぐに連れて戻るとは思わなかったが、会えて安心したぞ」

ユウキもよほど再会が嬉しかったのか、少し子供っぽくなって母様にベッタリに…。 (おー…これか!)

スピネルが膨れてるから程々にしなよー。

それでも耐えてくれてるのは、スピネルも事情を理解してくれてるのだろうな。


そのスピネルも、ユウキが母様に彼女として紹介したからか、機嫌も良くなった様子。

「妾の大事な息子だからな、大切にしてやってくれ」

「うん…任せて」

母様の事だからスピネルの正体には気がついてるだろうけど気にした様子はなさそう。




ユウキは少し母様と過ごしたいって言うから、二人を残して私とティーは帰ってきた。

私も母様と過ごしたからね、今度はユウキの番。


両親と言うか、みんなに報告することもあるし…。 (あーえっと…)

どうしたの? (ママ宿題は?)

夏休みのはあるけど、今はいいかな。 (……)


リビングへ行くと集まってたうちの子達が慌ててる?

「ア、アスカ!?」

「どうしたの?」

みんな何でもないって言うけど、明らかに挙動不審。 (ママ、みんなに話すことってなに?)

ん?あぁ、ほら母様に聞いた、私が元々女性だったって話だよ。 (あー凄い今更感だけど)

それでも一応ね。


父さんはまだ帰ってないから、そちらは母さんに任せる。

話を聞いて、驚いてたのは母さんくらいのもので、うちの子達は特に気にした様子もなく…。

「アスカの以前の性別がどうとか、そんな事で気持ちや関係が変わるわけでもないのだから、気にしないわよ」

と言うリアのセリフにみんなが同意してて、本当に今更だった。 (でしょ?)

でも話さなかったら後で怒りそうだし…。 (それはある)

だよね。だから話しておいたの。 (納得ー)


そもそもの原因を作った母さんは頭を抱えてたし、改めて謝ってくれたけど、別に怒ってもないからなぁ。

それこそ今更だ。

気にしないでって言っておいたから、大丈夫かな。

王妃様にも報告に行かなきゃなぁ、気にしてるだろうし。 (今は魔道具作るのに忙しそう!)

そっか、次にお邪魔した時にするよ。 シルフィー様は? (しばらくお勉強漬け)

おぉう…。 (アルフィー様にも塩対応されたから頑張ってる)

応援くらいしかできないけど、頑張れシルフィー様…。



…じゃあ、私もティーに言われちゃったし、宿題を片付けてしまおうかな。

夏休みには色々と予定を入れたいし。


部屋に戻って宿題を始めたらティーとリズが興味津々といった様子で見てくる。

「宿題、気になるの?」

「どういうものかはティー姉に聞いたのです! ちょっと楽しそうなのです」

奈々が聞いたら発狂しそうなセリフ…。

強制で出される方は楽しくはないけど、未経験だとまた違うか…。


急遽、二人のためにちょっとした宿題を制作。

予備のノートに絵日記を書くスペースや、お手伝いをしたらサインを貰えたり、魔法についての簡単な問題も書き出した。


「これがティーの、こっちがリズのだよ。それぞれ名前を書いてね」

「わぁー。ティーの宿題!」

「リズのもです!」

「色鉛筆や筆記用具は好きに使っていいからね」

内容も説明してあげたら、早速名前を書いてる。


後で母さん達にもお手伝いサインのことはお願いしておこう。

「お手伝いをしてサインがいっぱいになったら、ご褒美をあげるからね」

二人は嬉しそうにノートを抱えると、みんなに見せに行くと部屋から出ていった。

楽しそうで何より。


絵日記に書くような楽しい思い出を一緒に作ってあげないとな…。

映画にお祭り、海に水族館…私も楽しみになってきた。

早くみんなと予定を立てなきゃ。




その日の夜にはユウキとスピネルも帰ってきた。

数日ほど母様に甘えてきたらしい。ズルい…。私、一泊だったのに。

まぁ、仕方ないか…。ユウキにとって母様はどこまでも母様だったから。

うちにいても、いつ帰るかわからない両親より、数カ月とはいえずっとそばにいてくれた母様の存在は大きいのかもしれない。

身も心も救われたと言う意味でも…。








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