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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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学校と親友



久しぶりの登校。

お弁当は母さんが持たせてくれたし、うちの子達もおとなしくお留守番しててくれるから安心。

ティアねえ様もそろそろ一度帰るといって、登校する私達と同じタイミングで転移していった。



土日の間に何度か奈々からメールはあったけど、会うのは随分久しぶりな気がする…そう思いながら登校していたら、背後から抱きつかれた。

「アスカー捕まえたー!」

「朝から元気だね」

「おはよ!」

「おはよー奈々」

未亜とユウキは気を利かせたのか挨拶だけして先に行ってしまった。

ちょっと!?スピネルもいるんだけど…。やっぱりお留守番はしてくれなかったか。 (普通の人には見えないようにしてる)

だからって…。まぁ、いいか。私が口を出すことでもないし。



「奈々、今日は麻帆と一緒じゃないの?」

「うん! テストが終わればすぐに夏休みじゃん?だから先に学校に行ってる」

理由が訳わかんないんだけど…。学級委員長はなにか忙しいのだろうか。



…こうやって奈々と会話をしていると、自分が高校生で学生なんだと実感するな。

最近色々ありすぎて、自分が何者かわからなくなりそうだったし。 (ママで、元勇者で元魔王で、現在進行形で王女)

プラスで魔法学園の生徒だったりもしてるからね…。 (師匠でもある!)

どれが本当の自分かわからなくなりそうだわ。 (全部ママだよ?)

そうなんだけど…。肩書が多すぎるのも問題だな。



「そういえば、夏休み明けから文化祭準備が本格的に始まるけど、何をしたいか考えてきてる?」

「…あーそう言えば考えてくるようにって言われてたね」

完っ全に忘れてた…。金曜が私服登校になって面倒くさいなーと思ってたくらいだなぁ。


「私は考えてきたよ!」

「そうなの?」

「うん! 流行りの異世界カフェ!」

「っ…ゴホッ…ゴホッ…」

びっくりした! (ウケるー)


「大丈夫ー?」

「う、うん。流行りなの?」

「ほら、前にも言ったけど漫画やアニメでも多いし。ウケはいいんじゃないかなーと思って!」

なんか言ってたね。

「それにー、私には詳しい親友もいるし!」

「そうだけど…」

アテにされても何かできるとは思えない。 (下手なことしたらみんなに怪しまれる!)

うん。言動は慎重にしないと不味いな…。


奈々なりに異世界カフェってのをこういう風したいってしっかり考えているらしく、それを聞いていたら遅くなってしまった。

適当そうに見えて、興味のあることには全力だからな奈々って…。



「また朝から走る羽目になるとはね…」

「ごめんごめん!」 

教室に入る直前で私を追い抜いた奈々は、バーーンっと扉を乱暴に開ける。

ヤンチャか…。


「お待たせーー! 主役登場だよ!!」

少し遅れて教室に入った私は突然のクラッカーや拍手で何が何やら…。

「アスカ! 少し早いけどお誕生日おめでとうー!」

「えっ!?」

向き直った奈々にそう言われて思い出す。

そう言えば…今月だっけ。 (〜〜♪)



「アスカちゃんのお誕生日は夏休みに入った後だから、少し早いけどサプライズよ?」

麻帆はこの為に先に登校してたの?

「ほらほらー、主役が入り口で突っ立ってたらダメだよ!」

奈々に引っ張られて教室の真ん中へ。


みんなから”おめでとう”って言われて白いバラの花を一輪ずつ貰った。

合わせたら結構大きな花束に…。

「…ありがとう」

「サプライズ成功!?」

「うん…びっくりしたよ」

ちょっとウルッときた…。

普段話しかけてもくれない、かつて男だった時に友達だった男子からも”おめでとう”ってバラをもらったから余計に…。


「アスカに合わせて白バラにしてみたよー」

「純粋なアスカちゃんにぴったりよね。花なら校則違反にもならないから」

さすが麻帆はこんな時も学級委員長…。


初めての経験で本当にびっくりした。

みんなの会話から奈々と麻帆の発案だというのはわかったけど…。

”サプライズ大成功!” とか言って盛り上がってる。 ありがとう…。



枯れてしまうのも悲しいからストレージへ仕舞いたいけどそういう訳にもいかないよね…。

「おーい、アスカ。これ使え」

教室にいつの間にか来ていた担任教師に花瓶を渡された。

「誕生日なんだってな。おめでとう」

「ありがとうございます」

花瓶にいけたバラは、私の後ろにある棚の上に飾らせてもらった。


「そろそろホームルーム始めるから席につけー」

先生にそう言われて”まだ早いのにー”とかブーイングもありつつも、いつも通りのホームルームが始まる。


「明日からテスト期間に入るからな。半日で学校が終わるが、真っ直ぐ帰宅して勉強しろよ」

もうそんな時期かー。テストに関しては心配はない。


私はみんなにお礼をしたいな…。

お菓子くらい作って持ってきてもいいよね?帰りに材料を買って帰ろう。

うちの子達も食べるだろうし。


何作ろうかな…。ケーキとかはさすがに無理だし。

やっぱりクッキーとか焼き菓子? あっ、マドレーヌとかいいかも。

小さめにして一口サイズにしてしまえば…。よし、材料買って帰ろう。

手持ちで足らないのは無塩バターくらいかな。


そんなことを考えてる間にホームルームも終わり、奈々と麻帆とおしゃべりをして。

一日かけて、各教科の教師からテストに関する話を聞いて学校も終わり。



放課後に奈々は遊びに行こうとか言い出したけど、麻帆が許すはずもなく…。

「しっかりと試験勉強しなさい! 追試や補習になったら夏休み返上よ?」

「うっ…アスカ様、魔王様ー勉強教えてー」

「自分でやりなさい! ほら帰るわよ!」

「あー…魔王はこっちだったかー」

「誰が魔王か!」

にぎやかな二人とは教室で別れた。

奈々が引きずれていったし…。


もらった花束を抱えての下校。

未亜とユウキと帰ろうかと思ったけど、二人も友達といるというから、途中で人目につかない場所でストレージへ花束を仕舞い、一人でスーパーによって帰って来た。



そのままストレージに入れておこうか悩んだ花束は、状態保存の魔法をかけて部屋に飾った。

本当なら枯れていくのも花の美しさや儚さなのかもしれないけど、ごめん。今回はこのまま飾らせて。



台所へ行き、お菓子作りを始めたらみんな台所に集まってきて、カウンターで例のデジタルペットのお世話をしたり、リズとティーがブロックで遊んでる。

ぼたんは一緒になってカウンターの上で遊ぶ二人にブロックを渡したりと器用なことをしてる。


そんな姿を見ながらマドレーヌを作っていく。

最近はシエルも台所を手伝ってくれるから助かる。お菓子作りは特に楽しいみたい。

手先が器用だからなれるのも早いね。

「お姉様、何が出来上がるの…?」

「マドレーヌっていう、焼き菓子だよ」

「待ち遠しいわ。アスカが作るのよ?絶対美味しいわ!」

「まだ少しかかるから待っててね」

「ええ」

「こうしてアスカ様が料理を作ってくださる姿を見ていられるのも素敵です」

楽しそうで何より。



甘さ控えめで大量に焼いたマドレーヌはうちの子達に喜んでもらえた。 (んっまぁーー!)

「お母様! サクフワなのですー!」

「ママのお菓子はさいこー」

ふふっ。我が子の嬉しそうな笑顔からしか得られない物が必ずあると私は思う。


リコも呼んでニレやツキにも届けてもらうようにお願いしておく。

多めに渡したから他の精霊の子や、フィア達にも食べてもらえるでしょ。

直接渡しに行きたいけど、また大変な事になりそうだし。 (特に師匠のとこ!)

まぁ…うん。すぐに帰れないだろうとは思うね。


学校へ持っていく分を一つ一つ包んでいたら、ちょうどティアねえ様も転移してくるというから許可。

マドレーヌを渡してあげたら、うどんと一緒に食べてて喜んでた。せっかくだから王妃様やアルフィー様のも預けておく。


シルフィー様は私の目の前で美味しそうに食べてくれてるから、王妃様達にもお口に合わないとかはないと思いたい。

「シルフィー様はこちらで不都合とかありませんか?」

「はい! 刺激が多くて楽しいです」

それはよかった。服もこちらに合わせたものを着こなしてるし、違和感もない。

美人はこれだから…。 (………)



ピナさん、今日はこないかな…。

ストレージに入れておくか。



しばらくしたら買い物に行っていたという母さんと、少し遅れて未亜とユウキも帰宅。

姿を消してユウキについて行ってたスピネルも当然一緒に帰って来た。 

ほんと、離れたがらないな…。 (学校で女が近づかないよう見張るって)

怖いよ! 近づいたらどうなるのよそれ…。 (影に取り込まれて…行方不明)

やめてよ…。 (ユウキに近づく女の子はいないよ?)

あ、ファンクラブか! (そうそう)

納得すればお留守番してくれるようになるのかしら…。 (それはそれ?)

だよね…。知ってる。



父さんは、今日もレウィを連れて隣のおじさんの店の手伝いに行っているらしい。

ほんとあの子、番犬扱いだな…。気にしてないみたいだからいいけど。

二人もそろそろ帰ってくるね。


勿論母さん達にも食べてもらって、美味しいと太鼓判を押してもらった。



夕飯は母さんと未亜、シエルが作ってくれるそうなので私は指輪の生産を進めておく。

なんせ数が数だし。今週中に終わるといいけど…。




次の日に学校でみんなにマドレーヌを渡した。

みんな大切そうに抱えてて、食べてくれないのだけど!?

「アスカちゃんの手作りを手渡しで貰ったらああなるわよね…」

「美味しいのにー」

「私達は慣れてるからよ」

「親友特権だな!」

奈々と麻帆は食べてくれたからいいけど。せっかく作ったのだから痛む前に食べてね…。







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