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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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みんなが欲しがる玩具



初めて見るおもちゃ売り場でリズは目を白黒とさせていた。

ティーが色々教えてあげてるから見守る。

欲しいものを一つ買ってあげるって言ってあるから、気に入ったものを見つけられるといいけど。



色々見て回ってリズが選んだのは、ブロックを好きに組み合わせて立体でいろいろなものを作れるおもちゃ。

知育玩具の一種だっけ?

小さい子に買い与えるにも悪くないな。

「それでいいの?もう少し大きいのでもいいよ?」

「これがいいのです!」

「そっか。じゃあそれを買おうね」

気に入ったのならそれが一番だね。この玩具は後から買い足しても拡張されるからいっか。


シルフィー様も何やら興味が惹かれるものがあったかな? (ボードゲーム!)

双六みたいなやつね。結婚とか色々ある人生シュミレーションみたいな…。

「シルフィー様、それも買いましょう」

「い、いえ…私は…」

「みんなで遊べますから。楽しいと思いますよ?」

「…ありがとうございます」

ティーはいいの? (ティーは専用ステッキをママに作ってほしい!)

りょーかい。スピネルの部屋や、簡単なフィールドも地下に作るからその時にね。 (やったー!)


お金を払って受け取ったらちょうどいい時間。

ペットコーナーへ戻らないとね。



私達が一番最後だったみたいで待てせてしまったな。

「遅かった?待たせてごめん」

「大丈夫だよー。それより、ちょっと問題が…」

母さんが困ってる?どうしたの…? (スピネルが…)



「だからペットは簡単には買えないんだって。命なんだから」

「…でも…じゃあ子供がほしい…」

あぁ……。可愛いペットを見てスピネルは欲しくなっちゃったのか。

ユウキも流石に困ってるな。

異世界へも行き来する私達は、ペットを買うのは難しい。

かといって精霊のスピネルが召喚獣ってのも難しい気がするしな…。 (そーなの?)

召喚獣も精霊に近いからね。別といえば別なんだけど、性質としては似てるのよ。

呼び出せたり、力を借りたりね? (そういわれたらそーかも!) 


どうしたものかなぁ。

あ、そうだ! 

「ユウキ、アレ買ってあげたら?昔、凄い流行ったとかいう玩具が最近また売ってるでしょ、フルカラーにリメイクしたりして」

「もしかしてデジタルペットの?」

「そう。気にいるかはわからないけど見せてあげたら?」

「…そうだな。このままだとスピネルも可哀想だし。わかった! ちょっと行ってくる」

ユウキはスピネルを連れて玩具売り場へ向かった。


「アスカ、二人は大丈夫そう?」

「どうかな…納得してくれるといいけど」

両親も息子カップルの事だから口を出しにくかったんだろうな。


うちの子達も何か気にしてたから、スマホで見せてあげたらリアとシルフィー様がやたら食いついた。

「私は精霊も見えないし、契約できないもの…」

「こんな小さな中に生き物が!? 偽物だとしても可愛すぎます」

ティーはプリンがいるし、精霊と契約しているティアねえ様とシエルもあまり興味はない? (………)

正直にいいなよ? (かわいいの…)


「みんなの買ってあげるからいくよ! 母さん、レウィの事お願いしていい?」

「いいけど、平気?」

「これくらいならね」

換金してて手持ちにある程度現金はあるし、大丈夫。 

レウィと、未亜、ピナさんは興味はないそう。


「私は護衛ですからお嬢様についていきます」

「お願いね」

数があるといいけど…。えっといくつだ? (六つ!)

ティー、リズ、ドラゴン姉妹、シエル、シルフィー様だね? (うん!)

おっけ。


玩具売り場では、まだスピネルがどれにしようか吟味しててユウキが待ちくたびれてた。

色の違いくらいしか差はないと思うのだけど…。

「姉ちゃん達はどうしたのさ?」

「みんな欲しがっちゃってね」

「あぁ…なんかごめん」

「いいよ。言いだしたのは私だからね。それより、納得したの?スピネルは」

「うん。説明して、ここにあったカタログを見て食いついちゃって…あんな感じ」

私もこんなにみんなが食いつくとは思わなかったからなぁ。



並んでいる商品を見てみると、種類が色々あるようで、立体に見えるような物まであってびっくりした。

おもちゃ凄いな!

「アスカ様、私までよろしいのですか…?さっきも買っていただいたのに」

「せっかくですからね?遠慮はなしですよ」

「…はいっ、ありがとうございます」

シルフィー様はこちらへ来た記念にもなるでしょう。


「みんな、買ってあげるのはいいけど、一つ約束して。いくらゲームの中のペットだとしても、飼うからには責任を持って育ててあげてね。飼い主である、あなた達しか頼れない子なんだから。いい?」

みんな元気に返事してくれてるから大丈夫かな。

飽きちゃう子もいるかもしれないけど、その時はその時だ。


何種類かあったけど、全員同じ種類で統一したようで、腕時計みたいに装着して持ち運べるタイプ。

さすがに六色はなかったから色のかぶりがでちゃったな。

間違えないよう、後でわかるようにしてあげないと。

うちの子のを見てて、スピネルも同じのを選んだみたい。

黒があったから良かったね。


数が多いからそこそこな値段になったけど嬉しそうにしてるからよし。

みんなお礼を言ってくれたし、大切にしてくれるでしょう。 (ありがとママ!

いいえー。大切にしてくれたらそれでいいよ。 (あい!)



少し遅くなったけど、両親やレウィと合流して家路につく。


帰り道でも名前をどうしようとか、色々話してて可愛らしい。

「お姉ちゃん、あれって最新の?」

「多分ね、私も詳しくないからどんな物か軽く調べた程度だけど」

「へぇー。みんな嬉しそうだね」

「だね。未亜は良かったの?」

「うんっ。学校には持っていけないし、スマホなら似たようなアプリもあるからね」

「そうなの?それは知らなかったな」




その日から家ではあちこちで電子音が鳴るようになった。

別にうるさいとかは思わないけど、みんな忙しそうにしてる。

音声認識とかもあるのか、話しかけたりしてて見てると面白い。

時計代わりにもなるそうで、リズのお勉強にも役立っている。



…今のうちに私は地下に簡易フィールドと、スピネルの部屋の下準備だけしておくか。

みんなの興味がデジタルペットに向いてて、構われなくなったのは良かったのか…。








 


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