裁きのお時間です
王族エリアのお屋敷に帰ってきてから、回収した偽物を詳しく見てみた。 (なにかわかったー?)
作ったのは全部同じ人だね。アクセサリーとか、そういうのを作ってる人だと思う。 (しまつするー?)
怖いこと言わないの。
なにか理由があるかもしれないし、アキナさんが動いているのなら何もしないほうがいいよ。
私がするのは、そうだなぁ…他に偽物を渡されて悲しんだ子たちに渡す本物を作っておくことくらいかな。 (あい!)
「お嬢様、陛下がお呼びです」
「うん?」
珍しいね。いつもだと来てくれるのに…それだけ忙しいのかな。
「わかったよ。ありがとう。どこに行けばいい?」
「陛下のお屋敷の執務室へ。ご案内致します」
お屋敷には何度かお邪魔したけど、執務室は初めてだな…。
みんなにはお留守番を頼んで、ピナさんとアキナさんのお屋敷の執務室へ向かった。
お屋敷では、一階の最奥にある執務室へ通された。
「陛下、お嬢様をお連れしました」
「入れ」
ピナさんが扉を開けてくれて中へ入ると先ず目についたのは縛られた五人の人達。
「すまないな、呼び出して」
「いえ!」
執務モードのアキナさんに緊張してしまう…。
「こいつらだ。 偽物の作成と、販売をしていた者たちだ」
もう捕まえてるの!? (仕事が早っ)
「私の大切な姪、しかも継承権第一位の王族への裏切り行為だからな。 ただ…内容が内容だけに、アスカに判断してもらいたい」
……私が裁けってこと!?
「詳細は纏めてあるからな、まずはそれを見てくれ」
「はい」
近くに控えていた人に渡された報告書に目を通す。 (なんてー?)
作っていたのはアクセサリーの職人だね。
うちの景品のデザインがきれいだったから、練習を兼ねて真似をして作っていたって。
それに目をつけた他の四人が無理矢理つくらせて、安値で買い叩き、偽物とわかっていながら本物と偽り高値で売っていたと…。 (どうするの…?)
うーん…。
「私のわがままな判断でもよろしいでしょうか?」
「聞いて判断するから言ってみるといい」
「ありがとうございます。 まず製作者ですが、元々偽物として販売する意図はなく、練習を兼ねて作っていただけとあります」
「そうだな」
「販売されると知った後も作り続けたのは、購入してしまう人への配慮がないと言えるかもしれませんが、脅されていたのなら酌量の余地があると思います。ですので、私の手伝いをしてもらいます」
「ふむ…手伝いとは?」
「アクセサリー職人としての腕は悪くありません。それを埋もれさせてしまうのは、国としても不利益かと思います。ですので、彼女の作成したアクセサリーを私が魔道具にして、今回被害にあった人達への補填に当てたいと思います」
「なるほどな」
「販売者に関しては、脅迫、詐欺、と酌量の余地は無いと思いますので、ドラゴライナ王国の法に則って裁いていただけますか?」
私の判断ではこれくらいが限界…。
「よしっ! 充分だ。被害者への配慮も考えたいい判断だ。それでいい」
「ありがとうございます」
よかったぁ……。 (ふぅ…)
アキナさんの指示で、販売者の男女四人が連行されていった。
どういう刑になるのかはわからないけど、悲しんだ子供達の分はしっかりと償ってほしい。
「聞いたな?お前はこれから償わなければいけない。それはこの国に住むものとしての義務であり責任だ。それをしっかりと果たしてくれることを願う」
「…はいっ。申し訳ありませんでした…」
「謝る相手が違うだろう」
アキナさんにそう言われて、丸いケモノ耳をぴょこぴょことさせた女性は私にも謝ってくれた。
この人は悪人ではないし、巻き込まれただけだから…。 (アイツらひどい!)
ほんとだよ…。
被害者への補填が終わるまで身柄は拘束されるけど、それ以降は職人として働ける場所を斡旋してくれるらしい。
アフターケアがすごい。
深々と頭を下げると職人の女性は連れ出されていった。
「試すような事しちゃってごめんねー」
「いえ、あれで大丈夫だったでしょうか…」
「私の思ってたのより完璧な判断だったよ! 120点!!」
よかった…。寿命が縮むかと思ったよ。 (魔王なのに!!)
気持ちの問題なの!
「国にとって貴重な職人を無駄にしない、その上で被害者への配慮もした完璧な判断だよ! 私は被害者へは逮捕者から没収した財産から現金で補填するつもりだったからね」
「そうでしたか…。 あの…どうして私に?」
「いくつか理由はあるのだけど…王族としての仕事を体験してもらいたかった事がまず一つ。私がアスカちゃんを試したのが一つ。後は、アスカちゃんの魔道具だからね、無関係ではないから結末を知りたいかな?って」
「配慮していただいてありがとうございます」
「継承権第一位を指名した以上、私もアスカちゃんの事を知っておかなきゃいけないし、仕事をしたっていう実績も必要なんだよー」
なるほど…。
アキナさんは明日のドラゴライナ王国新聞の一面に今回のことが載るよーって笑ってた。
新聞!? (あー。国の事を知らせたり、今だとお祭りのイベント告知とかも載ってるの!)
なんてこった…。 (そういうこったー)
アキナさんはすっごい上機嫌だし、褒めてもらえたのは嬉しいけど、色々と不安になったよ私は…。




