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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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お城でのお仕事



シルフィー様を連れて行くことに関しては、みんな反対もせず…。

異世界へ行くことがちょっとしたお泊り感覚なんだよなぁみんな。 (一瞬だし)

もっと転移は大変そうに見せなきゃダメかしら… (今更?)

だよね…。



結局、私にはイエスの選択肢しかなく。

既にシルフィー様は仕度をしてるんだとか。

これでノーって言ってたらどうなってたか考えるのも恐ろしい。 (シルフィー様も怒ると怖い)

うん…。


王妃様にも緊急用として薬を何本か渡しておいた。

驚いてたし、貰えないって言われたけど、幼いアルフィー様の為にもなるからって言ったら、ようやく受け取ってくれた。

これで、アクシリアス王国へきた目的は果たせたね。 (お薬お届けに上がりましたー)



「お嬢様、やはり私もついていきます」

シルフィー様が付いて来る事になったから、ピナさんも感化されてしまったかな。

「どうしても?」

「はい!」

「じゃあアキナさんの許可を貰って。そうしたら私は何も言わない」

「…それは反則ですよ…」

「こういう言い方はしたくないけど、これは主命令です」

「はい…」

ごめんね…気持ちは有り難いのだけど、折角結婚したのに離れさせるなんて、私には無理。



「アスカー聞いてよー! 酷いんだよ?」

ノワルレイナさんと、フレアベルナさんにアクシリアス王国での仕事はもうおしまいにしてもいいかって聞きに行ってたティアねえ様が戻ってきたね。

この様子だと、ダメだったかな…。 (うん)


「一度引き受けた仕事は最後までやりなさい! って…辞めるのならきちんと引き継ぎをする相手を見つけて託しなさいって言われたよ…」

これに関してはノワルレイナさん達が正しいなぁ。

でも、ティアねえ様の気持ちもわかるからなんとも言い難い。


「引き継ぎを出来そうな相手はいないの?」

「みんな自由に遊び回ってるから仕事なんてしてくれないよー…」

ドラゴンって自由だもんな。


「じゃあねえ様はここでお留守番かしら?」

「うぅ…」

どうしたものか。私もティアねえ様がいるのが当たり前になっちゃってるしなぁ…。 (居ないのは寂しいの)

だよね。姉妹ケンカも無くなると寂しくなる。


「ティアねえ様、お仕事ってお休みはないの?」

「あるよ…普段も特にこれといった仕事があるわけじゃないし。強いて言うなら居るのが仕事?何かあれば手伝ったりはするけどー」

「じゃあ、好きな時に私のそばに転移できる魔道具を渡しておこうか」

「いいの!?」

「ただし、来る時はちゃんと許可をもらってね?」

「うん! ありがとーアスカ! 流石だよー」

抱きついてくるティアねえ様は嬉しそうでホッとした。


「お嬢様…私との扱いの差に疑問を感じるのですが…」

「ピナさんはあくまでもアキナさんのお嫁さんでしょう?」

「ですが!」

「転移の魔道具をピナさんに渡すのは構わないよ?でもね、ちゃんとアキナさんの許可をもらって」

「…結婚は早まったかもしれません」

「それは絶対に言ったらだめなセリフだよね?」

「はい…失言でした…」

「ピナさんの中で、最優先事項は何? 仕事?プライベート?」

「わかりません…。今まで仕事だけに生きてきましたから、結婚というものに実感がわかないのも問題かもしれません」

「そっかぁ…。じゃあ一度アキナさんも含めて話し合おう?それでみんなが納得する方法を見つけよう」

「ありがとうございます」

これが私の精一杯かな…。 (ピナさんは仕事人間)

裏の仕事みたいなモノに身を置いていると、普通がわからなくなるんだよ。 (なんで知ってるようなセリフ…)

………経験があるからだよ。 (えっ…)

いつか…機会があったら話してあげる。 (わかったの…)



ティアねえ様の為に、転移魔道具を作成。指輪タイプで使う時だけつけたらいい。

私のそばに飛んでくるだけの簡易版。

大きく変更したのは、二つの世界の時間経過のズレを出来るだけ少なくなるように連動させておいた事。

これをしておかないと色々とややこしくなる…。二人が行き来する訳だからね。


厳密にぴったりにまでしようとしたら、さすがに魔力消費がやばくて断念した。

一日が一月っていうズレは大きすぎるから、それがある程度解消されればマシになる。


ただし、フィリアータへ帰るときだけは時間が戻るようにした。

長く滞在しても、不都合がないように。

まぁこの辺の時間が絡むところは、考え出すとこんがらがってくるからな…。

程々の所で妥協しておく。



念の為、こっそりピナさんのも作っておいた。多分だけどアキナさんは許可する、そんな気がするから。

アキナさんとの結婚記念のプレゼントも兼ねて、二人おそろいのリングにしてある。

もちろん、アキナさんの指輪には転移機能はないけど…ティアラがあるし。




「アスカ様、準備できました!」

いつもの、ドレスではなく動きやすい服に着替えてくれてるけど、それでも地球では浮くだろうな…。

「シエル、地球でも違和感のない服をシルフィー様やリズ達に作ってもらえる?」

「任されたの…何着か必要そう…」

「そうだね。もし生地とか足らなかったら、帰った時にまた買いに行こう?」

「はいなの…」

いつも頼ってばかりでごめんねって言ったら、頼られたほうが嬉しいって答えてくれた。 

嬉しいことだよ。 (ママにいっぱい頼られてるから、シエルはお母さんたちに会ってもいいのに…)

だよね。また近いうちに話してみるよ。 (うん!)



その日はアクシリアス王国に一泊。

行く気満々だったシルフィー様には申し訳ないけど、まだドラゴライナへもいくからね。


また陛下が晩餐会を開いてくれて、陛下にも直接、グリシア王国での事を報告できた。

後は、ティーが撮影してくれていた学園祭の様子をみんなで見たりと結構盛り上がった。

王妃様が、魔道具の普及にステッキはいい起爆剤になるかもしれないって盛り上がってたから、アクシリアス王国にもフィールドができるかも…。 (その時はチーム・まおーの出番!)


ほどほどにね?無敗なんだから…。 (はーい! ママには負けたけど…)

気にしてるんだ? (チームに入ってくれないし…)

リベンジ戦でもする? (する!)

じゃあ、自宅の地下にフィールド作るか。 (おー! やった!!)

リズの魔法の訓練も兼ねようかな。






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