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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第七章

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ドラゴンと帆船



ドラゴンの里で一泊し、翌朝にドラツーはストレージへ収納。

アクシリアス王国へは転移で移動する。

シルフィー様はドラツーでのんびり行きたいと言っていたけど、早めに薬を渡したりもしたいから。



ーーーー

ーー


転移した部屋が見慣れなくて、一瞬転移先を間違えたかと焦った。

「そういえば前より豪華な部屋を使わせてもらう事になったんだった…」

「ここはアスカ様に差し上げた別棟です! 気兼ねなくご利用ください」

「ありがとうございます…」

シルフィー様はそう言うけど、慣れないわ。


「私はお母様に戻ったことを報告して、取り次ぎしてきます」

じゃあシルフィー様に任せちゃおう。


部屋でのんびりしていたらアリアさんとユリネさんが会いに来てくれた。

「お久しぶりです、留学はいかがでしたか?」

「色々ありましたよ、本当に色々と…」

「ある程度はお聞きしていますが、お疲れ様でした。こちらではごゆるりとなさってください」

「そうさせてもらいます」



暫くしたら王妃様と、アルフィー様の魔力が探索にかかった。

すごいスピードで移動してるんだけど、また飛んでるのかな?

「みんな、扉開くよ!」

私がそう言うと同時に、バーンと開かれた扉から白銀色の髪をした女の子が…。 (アルフィー様だー)

人化してるの!? (少し前に。 だからお祖母ちゃん達もアキナさんと帰ったよ)

そうだったんだ…。

アキナさんにお屋敷を確保した報告をしに行った時はいなかったけど? (二日前くらいだし)

そうなのね。 (王妃様のドラゴン化も手伝ってた)

アルフィー様の人化のが早かったのか。 (うん!)



「おねーさま! まってましたの!」

アルフィー様はそう言って飛びついてきた。

「お久しぶりです、アルフィー様。大きくなられましたね」

「うん、おねーさまのおかげーですの」

たどたどしい口調も可愛い…。


「待ちなさいアルフィー! ごめんなさいねアスカちゃん。 久しぶりね?」

「お久しぶりです、王妃様ぁ!?」

「いいでしょ。お揃いね?」

王妃様まで、白銀色の髪に青紫の瞳…。 (ほぼママと一緒ー)

びっくりしたわ。


「まさかセイントドラゴンに?」

「ええ。セイナ様に教えて頂いて、ドラゴン化もできるようになったわ」

「それは…おめでとうございます」

「ありがとう。 それより、色々と詳しい話を聞かせてもらえる?」

「そうですね」

うちの家族も協力してくれて、学園での出来事を報告。

ある程度は報告が来ていたから知っていたらしいのだけど、私達の話を聞いて色々とびっくりしてた。


私が拐われた事件に関しては、”無茶して! もし間違いが起きてたらどうするの!” って叱られてしまった…。 (致し方なし!)

はい…。

でも無事で良かったとハグしてくれて、思わずお母様って呼びそうになった。


「そうだわ、アスカちゃんに相談したいことがいくつかあるのだけど…」

「私にできる範囲でしたら」

抱いたままだったアルフィー様はティー達に任せて、私は王妃様と二人でちょっとした会議。 (まかされたー!)



王妃様の相談というのは、ドラゴライナ王国との国交が始まるのに備えて、動き出しているプロジェクトについてだった。

その中の一つでもある、大型船の建造計画がすでに始まっているそうで、王妃様はその船に取り付ける魔道具の総責任者になったのだそう。

ある程度の図面もできていると見せてくれた。

国家機密レベルじゃない?これ… (機密レベルで言うならママのが…)

どういう事!? (あ、これ内緒だった!)

なんなのよもう…



「嵐や、対海魔獣用の安全対策とか、考えることが多すぎるのよ…知恵を貸してもらえないかしら」

「安全対策、船員の食料…色々ありますものね」

「ええ…」

「私の魔法防壁なら殆どの事に対処できるとは思いますが…」

ドラツーで海を越えた時に、私の驚異になるような海魔獣はいなかったし。 


「それはそうだろうけど…アスカちゃんが船にいつも乗ってるわけではないじゃない」

「いえ、お渡ししているアクセサリーのように魔道具にしてつけてしまえばいいんです」

「あっ…でも私ではまだ作れないわよ」

「その辺りはご協力しますから。食料に関しては王妃様のマジックバッグと、私のキッチン魔道具でなんとかなりますし」

「そうね。また頼ってしまうわね…」

「叔母でもあるアキナさんの国との為ですし、私も今はドラゴライナ王国に籍を置いてますので、無関係ではありませんから」

「助かるわ」

アキナさんとハルナさんも含め、ある程度話は進んでいるようで、夕波王国を経由するのはほぼ確定しているそう。

夕波王国へは、アクシリアス王国の北にある港町から、船で大凡一月程かかるのだとか。


「お祖母様の指示で、ドラゴンが飛んでくれたから、わかったのだけどね」

飛行距離から所要時間を割り出したってことか。 (ややこしい…)

そうだね。


「船の補強用にってお祖母様からドラゴンの鱗も提供してもらったのよ…だから失敗は許されないの」

あ、ドラゴン素材!


「この船って帆船で間違い無いですよね?」

「ええ…また何か思いついたのかしら?」

さすがにエンジンや蒸気機関をこちらに持ち込むわけにはいかないから、こちらで手に入る素材で強化と速度アップを図ろう! (またママがやらかす予感〜♪)

その割に楽しそうね? (うんっ!)


「王妃様、これを使いましょう!」

ドラゴンの里で頂いたウインドドラゴンの角を取り出す。


「まさかそれ…ドラゴンの!?」

「はい。これは普通の角とは違って、風の力を宿しているんです。しかもドラゴンですから、尽きることもない力を…」

「ちょっと待ってね…頭を整理する時間をもらえる?」

そう言って頭を抱える王妃様。


暫くして顔を上げた王妃様は

「…いいわ。それで何をするつもりなのかしら?」

「ドラゴンの鱗で船体や、帆柱、帆を強化。この角を動力源として、船を走らせます」

「何を言ってるのかもうわかんないわ…」


「素材の加工等は私がします。造船に関しては素人なのでプロにおまかせしますが…魔法防壁の魔道具をつけるのならこことここ、後はこことここがいいと思います」

私が図面で指したのは、船底とメインマストのトップ、船の舳先と艫…。

この四箇所にあれば、どの方向からの攻撃にも耐えられる。仮に雷が落ちても大丈夫。


「マストが二本ありますが、この角で作った魔道具はメインマストに風が当たるようにするのがいいと思います」

「待ってね…魔法防壁がここと、ここ。 後はこことここね。 角の魔道具はここらへんかしら」

王妃様が指差すのはメインマストの真後ろ、ちょうど舵輪のある辺り。


「そうですね、船の真後ろから魔道具の風が当たれば一番効率はいいかと思います。風の勢いがそのまま速度に直結しますから」

当然向かい風とかになると、効率は下がるだろうけど、魔法防壁で風も遮っちゃうから問題はない。


普通、帆船は逆風の場合、横風を帆に受けるように船体を操作し、ジグザグに行きたい方向へ進む。

そうなると当然無駄が多いし、GPSなんてない世界では方向を見失いやすくもなる。

それがドラゴン素材で強化した船体に、ドラゴンの起こす風を真艫に受けて進むのなら、速いし壊れる心配もない。


外輪やスクリュープロペラって方法もあるけど、大きく設計を変えてしまうし、明らかにオーバーテクノロジーだ。

それに、帆船のままなら今までの知識で船員も船を動かせるし、イレギュラーで角の風が止まっても帆の魔法防壁だけ解除すれば自然風で航行はできる。


今の王妃様なら魔法防壁の魔道具や、キッチン魔道具なら作れると思うし。

私は、素材の強化をするくらいか。 (それはママしか無理ー)

うん。魔力ドーム内でドラゴン素材と木材等を混ぜ合わせることになるからね。


「わかったわ、この方向で話をすすめるけど、アスカちゃんは大丈夫?一度帰ると聞いたのだけど…」

「そうですね…」 (ティーが連絡係りするのー!)

ありがとう、よろしくね。 (むふー♪)


「ティーに伝えていただければ、こちらへ来ますから大丈夫です」

「そう…わかったわ。あともう一つ、相談があるのだけど…」

「はい?」

「シルフィーをつれていってくれないかしら」

はぁぁ!? (ほらぁ!!)

嘘よね?


「今まで我慢ばかりさせてきてたから…やりたい事をさせてあげようって陛下と話したのよ。それで一番の希望がね?」

「私達の世界へついてくる事だと…?」

「ええ、無理にとは言わないけど、お願いできないかしら…」

「大丈夫なんですか? 次期国王陛下ですよね」

「だからよ。今のうちに色々と見て学んで、物事を広い視野で見れるようになってほしいの」

本当にどうしよう…。 (こうなる気はしてた!)

私はまさかだよ! 次期国王陛下を異世界へなんて!










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