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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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王都の屋敷



「ここが今オススメのお屋敷よ!」

そう言う学園長、この場合は王妃様とそう呼んだほうがいいのかもしれない。

ここは学園街ではないから…。 (今はそれどーでもいいの!)

…うん。このお屋敷大き過ぎるよね? (問題はそこでもないのー)

まぁ…そうだよね。



発端は今日の朝。

昨日の家族会議の結果を学園長に報告して、そのまま学園長自らの案内で家族みんなも一緒に購入予定のお屋敷の内覧会になった。

「どんな物件か知らないまま購入させてしまっては良くないでしょ?みんなで見に行きましょう」

そう言われて、授業の始まる前だった皆と託児所組も集まり、馬車に揺られて王都まできた。


生憎ユウキたちはギルドの方へ行ってしまっていたから来ていない。

ファミリンで呼んだのだけど、姉ちゃん達に任せると言われたし。 (もう狩りに行く直前だったから)

タイミング悪かったね。

シルフィー様はまだ拗ねてて挨拶以外まともに会話をしてくれない。 (尾を引いてるの)

どうしたものかなぁ…。



馬車で移動中に、王妃様がどんな物件か軽く説明もしてくれた。

「繁華街からも遠くて静かだし、王城には近いから私達にもすぐ会えるわよ」

「お風呂はあるかしら?」

「もちろんよ。魔道具類の設置も好きにしていいわ。お屋敷内の秘密は守られるからね」

相変わらずリアはお風呂好きだな…。 


みんなはワクワクした様子で、私もそれに影響されてかちょっと楽しみになってきた。

馬車が止まり、皆が降りた後、私も降りる。

学園街からも馬車でさほど時間もかからず到着したから、確かに利便性は悪くなさそうでいいかも。

そう簡単に考えていた。…なんでこうなるの? (ここで冒頭につながるのだー)



このお屋敷ってさ…。 (悪ポエの元お屋敷)

だよね?気のせいじゃないよね!? (事故物件!)

そこまでではないけど、それに近いものはあるな。


「お母様、とっても大きいのです! わぁー…」

「いいわね、外見も落ち着いてるし私は好きよ」

「アスカが住むならこれくらいじゃないとダメだよねー」

「お姉ちゃん、もうこれちょっとしたお城だよ! 本当にこんなすごいお屋敷を買うの!?」

「…門からお屋敷までが遠いの…でもお庭が広いからレウィちゃんは喜びそうなの」

うちの子達には概ね好評のようだけどさ…。 (気分的に?)

そうそう…。


「これではうちが負けてしまいます…お母様に相談しなくては」

シルフィー様は拗ねてたはずだけど、びっくりした様子で何やらぶつぶつと呟いてた。



「王妃様、ここはさすがに…」

「ダメかしら?」

「ダメというかなんというか…」 (お察しください!)

そう! それ!


「アスカちゃんに支払われる権利額から試算しても、これくらいの物件じゃ無いと釣り合わないのよ」

どれだけ!? (そこはママの魔道具だから!)

「ここが嫌なら近くにも、もう一軒あるけど…」

そっちはそっちで、嫌な予感しかしない。


再度馬車に乗り、移動した先は… (察し)

だよねー。 (公爵家からの抜け道があったお屋敷!)

こちらは元デザイアの所有だったっけ。


外観や規模は公爵家を一回り小さくしたくらいで、こちらも派手さはない。

抜け道の出口のあった建物は、そのまま残ってるのか…。

なんとなく気になって地下の抜け道を探索で調べてみたら、そちらはしっかりと塞がれていた。 (良かったの)


「こっちも大きいのです!」

「私はさっきの方がいいわね」

「私もーなんかこっちは地味だしー」

「どっちも大きすぎて、もうわかんないよ…」

「うちももうわかんないの…お姉様に任せるの」

どうしたものやら。


「王妃様、ここ以外には…」

「アスカちゃんの立場に釣り合うようなお屋敷はないわね」

「そうですよ、お嬢様はドラゴライナ王国継承権第一位の王女様なのですよ?まさか街に小さなお屋敷を…とか言われませんよね?」

私はそんな程度で充分だよ!? (庶民派魔王)


ドラゴン姉妹は元公爵家のお屋敷が気に入ったって言うし、ピナさんは私の立場についてコンコンと語ってくるし…。

「王妃様、いくつか確認しても?」

「ええ」

みんなから少し離れて気になっている事を聞いてみる。


「最初のお屋敷は元公爵家ですよね?こっちはデザイア所有のお屋敷だったはずです。 大丈夫なのですか? その、色々と…」

「元公爵やそれに連なる者が表舞台に顔を出すことは二度とないわ。だから、安心していいわよ」

「は、はぁ…」

「あ、でも一人…サラセニア嬢はいるわね」

あの人は問題ないと思う。 (改心した!)

うん、前みたいな様子は一切ないからね。 (ママにはキラキラした目を向けてるけど…)

そこはもう気にしない様にしてるよ。 (ママは、引っ掛けすぎ?)

人聞きの悪いこと言わないで! (事実?)

事実無根!



「この辺りは貴族家しかないから一般人が入る事もできないし、治安としても問題はないはずよ。常に騎士の巡回もあるし」

「…お屋敷の中も見せていただけますか?」

「もちろんよ!」

うちには小さい子もいるから治安がいいのは有り難いけど…。 (買うの?)

選択肢無さそうじゃない?元公爵家のお屋敷は気に入った子も居るみたいだし。


それに、よく考えたらさ? (うん?)

国交の話し合いをしたりするにもアキナさんが滞在しやすい場所を確保しておけるのはいい事かなーと。 (おー! ママのママ達も?)

呼んでもいいかもね。 



また馬車に乗り、今度は直接お屋敷の入り口の前に着けてもらう。

「近くで見るともっと大きいのです! お庭もキレイだったのです」

確かにリズの言うとおり大きな庭で、湖か?って思うような池もあったからなぁ。

チョコ達も出してあげられるし、ラムネも喜びそうではあるけど。


お屋敷の中も派手過ぎず落ち着ける雰囲気なのはいい。 (ボードのカスタムを嫌ってたくらいだし)

あぁ、派手好きではなかったのかもね。

「中の家具や調度品は全て入れ替えてあるから安心していいわ」

あら、公爵家の時のままではないのか。 (確かに言われたらちょっと違うかも?)

気分的に有り難い。ただ、派手にならなかったのは不思議。 (ママが嫌いそうだからとか…)

そうだったとしたら、もう買うしか選択肢ないよね…。

 

改装なども自由にしていいと言われたから、魔道具の設置とかも好きな様にできるのはいいな…。



「一度、自由に見て回って、どうするか決めるといいわ」

「そうですね、ありがとうございます」

みんなもソワソワしてるしな。


「アスカ、早く行きましょうよ! 気になるわ」

「先ずは最上階からだよねー」

「お風呂よ!」

「それは最後でいいよー」

口論を始めそうなドラゴン姉妹を止めて、私が一番気になる場所へ。 (案内するのー)

お願いね。


何も言わずにわかってくれて嬉しいよ。 (任せてー!)

ティーに案内されて辿り着いたのは、正面玄関を入ったメインホールにある大階段の裏。

こんな所に? (うん! 階段裏の倉庫に見せかけた出入り口)

「なんでこんな狭い場所に来たのよ…もっと見るところ沢山あるじゃない!」

「まぁまぁリア、アスカの事だから理由があるはずだよー」

「わかったわよ! もう…」


ティーは迷いなく倉庫の扉を開けると、中の照明魔道具を点灯。

「秘密の部屋みたいでかっこいいのです!」

リズの気持ちはわからなくもないな…。 (男の子ってこういうの好きなんでしょ?みたいな…)

あぁ。 でも、リズは男の子ではないな。私も今は…。 (そういえば、リズも魔力体?)

そうだね。お祖父ちゃんと似たような状態。 (魔力の器が小さい…)

そうそう。先代魔王が弱ってたから。でも全く成長しないということはないと思う。 (魔力体制御を覚えれば)

スキルを持ってはいるよ。まだレベルが低いだけだね。 (なるほど!)

 



「ママこっちー」

ティーは倉庫の突き当りにある扉を開ける。

「普通に扉なんだ?」

「前は隠し扉だったけど、突入する時にぶっ壊したからだと思うー」

「あーそういえば中から鍵かけられてたんだっけ」

「そうそう!」

扉の中は階段になっていて地下へ続いている。


「お姉ちゃんとティーちゃんはなんの話をしてるの?ここに来たことあるような口ぶりだけど…」

「まさか、浮気…」

「リアは何を言ってるのかな!?」

「ここはママがぶっ潰した元公爵家のお屋敷ー。この地下室は悪事の巣窟…」

言い方。 (ふっふっふ…)


「お姉ちゃん、大丈夫なの!?お化けとかいない?」

「それはないから。地下に悪事に関する資料を溜め込んでただけ」

「…よかったぁ」

ティーのせいだよ? (ちょっとしたお茶目なの!)

まったくもう。まぁ、でも…

階段にも照明魔道具はついてて明るいし、暗い雰囲気はないから未亜もそこまで怯えてないのは救い。


数メートルほど下り、扉を開くティー。

「およ?」

「どうしたの?」

「前と全然違うのー」

「いきなりここを見に来るなんて…」

「ひゃぅっ…」

怯えた未亜とシエルに抱きつかれたな…。 (ラッキースケベ?)

違うわ! またそんなセリフどこで覚えてきた? (ママだよ?)

………。 (あはっ)

くっ…。


ロビーで待っていたはずの王妃様がいつの間にか付いてきてて、背後から声をかけてきただけなんだけど、少しビクビクしてた未亜とシエルは怖かったみたい。

「ここもちゃんと改装しておいたわよ!」

まるでおしゃれなバーみたいだな


豪華なソファーが並び、ローテーブルに、バーカウンター。

カウンターの後ろにはお酒らしき瓶がたくさん収納された棚まで…。 

師匠なら大喜びしそうだけど、うちにはお酒の飲める子はいないからなぁ。 (ピナさん達は?)

あぁ、大人だもんね。好きに使ってもらうか。 (うん! アキナさん達にも)

喜んでもらえるといいけど…。


「いい雰囲気ね。私は好きよ」

「ソファーもふわふわ! アスカも座ってよー」

ぽふぽふとソファーを叩くティアねえ様に呼ばれて座ったソファーは確かに座り心地がよく、寝れそうなほど。

怯えていた未亜とシエルも今は楽しそうにしてるから良かった。


「ここが一番力を入れて改装したのよ。だから本当は最後に案内したかったのよ」

「そうだったのですか…」

前はどんなだったの? (薄暗くてーいかにも悪いことしてます! って感じー?)

漠然としてるな。まぁでも大きく変わったってのはよくわかったよ。 (うむ!)



その後、一階の大きなキッチンや食堂、二つある温泉のような規模のお風呂に執務室も見て回り、二階、三階、四階と個室や、倉庫なども全部回った。

二階には大部屋がいくつかあって、中でも一番大きいのは恐らく公爵の部屋だったのでは…。 (あたりー)

メイドさん達の部屋は四階になるらしく、他の階よりは狭い部屋がいくつもあった。



「どうかしら、気に入ってもらえた?」

「私は気に入ったわ! お風呂が大きくて二つもあったのよ!」

男女で分けてもいいから有り難いね。 リアには好評と。


「私は地下が気に入ったよー。落ち着けるいい雰囲気だったし!」

ティアねえ様にも好評。


「キッチンが大きいから、お姉ちゃんと料理もしやすそうていいかも」

「うちもお手伝いするの…」

未亜とシエルも大丈夫そうね。


リズもはしゃいでいたくらいだし平気かな。 (うん! ティーもおっけー!)

じゃあここにするか…。 (選択肢ないけどね!)

それはもう諦めたよ。


ただ、終始無言で怖い顔をしてるシルフィー様が…。 (こわいの…)

うん…。なにかお気に召さなかったのかな。 (さぁ…?)


押し切られるような形ではあったけど、私達はグリシア王国にお屋敷を購入した。

書類にサインした時に見た購入額に、また頭が真っ白になったのはもう忘れたい。 (ゼロがいーっぱい!)

王妃様の話だと、私が受け取るお金は、このお屋敷を購入して使用人を雇って維持をして…それでもまだまだ余るくらいだと言われたからな。

借金とかを抱える心配はないのだけが救いか。


権利怖い。私覚えた。 (ときすでにおすし!)

遅しね。 (そーともいう) 










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