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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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お泊り



メリアさんに泊まっていくようにと引き止められたけど、うちの子達を待たせてしまっているから辞退させてもらった。

なんか身の危険を感じるし。 (師匠も開放されたら…)

怖すぎる…。


何とか帰るのは納得してもらえたけど、そのかわり早めにまた顔を出す約束はさせられてしまった。

借りについてはよーく考えておくと、不敵な笑顔を向けられた。 (逃げ道が塞がれた!)

やれやれ…。でも、師匠のことも任せていいと言われたのは有り難かったしなぁ。



ーーーーーー

ーーーー

ーー



ドラゴンの里へ戻ってきたのは日も傾きかけた時間。

それなのに、サーキットを何台ものボードが走っている。

「まだみんな走ってるの!?」

「おかえり、お姉ちゃん。 うん…よっぽど楽しいみたい。休憩も殆どしないで走ってるよ」

ドラゴンだから魔力は大丈夫なのだろうけど、心配になるな。


「私、お腹空いたからもう帰りたいんだけどー」

ティアねえ様はふくれてるし、シエルに至っては未亜の膝でスヤスヤしてる。


シルフィー様は…木陰で優雅に読書してるのか。

ここは魔力も多いし、心地よくて落ち着くのはわかるけど、読書するには些か暗くないのか心配になる。

こっそり灯の魔法だけ飛ばしておけば大丈夫かな。

集中してるようで、魔法にも私が帰ってきた事にも気がついていないから、ぎりぎりまでそっとしておくか。



ティー、リズはどうしてる?これだけ遊んでたら眠くなってそうなものだけど。 (今は運転してるよ。ティーとレウィがサイドカーに乗って見てる!)

ちゃんと乗れてる? (へーき。すぐ覚えたよ。動かしてみたいって言うから講習したの!)

ん〜、二人がついててくれるのなら大丈夫か。 それより遊び疲れてないか心配になるな。 (今はテンション高いから)

落ち着いたら電池が切れたように寝そうだな。 (ありそう)

どちらにしても直に暗くなるし、帰らなきゃだから取り敢えず戻ってきて。 (はーい)



ティーはリアやユウキ達にも声をかけてくれたみたいで、みんな揃って戻ってきた。 (ふふん)

ありがとね。 というか、プリンを頭に載せたまま走ってたの? (うんっ! 喜んでた)

空を飛ぶ子だからスピードには慣れてるか…。 (並んで飛んだりもしてたの)

ちょっとそれは見たかったかも。


「アスカ、どうしたのよ?ボードに乗りたいのかしら?」

「違うよ。そろそろ帰らないと夕食の時間だからね」

見上げた空は、もう夕日も沈みかけてて薄暗い。高い山の上でこれだから麓はもう真っ暗なんじゃないかな。


「ホントだわ、もう夕暮れじゃない。早く止めてくれればよかったのに」

「何度も止めたけど、走り去ったのはリアでしょ!!」

「怒らなくてもいいじゃない。ホントねえ様は短気よね」

「リア! 怒らせるようなことをいつも言うのはそっちでしょー!」

私も暫くここにいなかった手前、何も言えないけど取り敢えず姉妹喧嘩を止めて帰り仕度。


「長老様は?」

「…まだ走り回ってるわ」

挨拶したかったのだけど、仕方ないか。


フィアとニレも来てくれてるから、また遊びに来る約束をする。

本当に仲良し姉妹だなぁ…。 (ツキはお仕事してるけど、ニレは大丈夫なのかな)

ニレも、フィアと仲良くしてあげてって言う私のお願いを叶えてくれてるからね。 (そう言われれば)

再生が落ち着いたらツキものんびりさせてあげたい。 (うんうん!)


仲良くなったリズとの別れが悲しいのか”帰っちゃうの?“って目で訴えてくるからいたたまれない…。

リズ本人も別れが悲しくて半べそかいてるし、どうしたものか…。 (また連れてきてあげるしか)

だよねぇ。ただ罪悪感がすごいのよ。 (ママは甘い) 

かなぁ…。


私が頭を抱えてたら、ルナシアさんが夜ご飯の時間だからと、フィアとニレを迎えにやってきた。

「アスカ様、どうかされましたか?」

「それがですね…」

事情を聞いたルナシアさんは、それなら…と一つ提案をしてくれた。


「今夜一晩家で預かりましょうか」

「いいのですか?」 

「ええ。それとあの子達と少し話しをさせてください」 

「すみません、お願いします…」

「任されました」

ルナシアさんは、フィア、ニレ、リズの三人に、今夜はリズがお泊りしていってはどうか、ただし…明日にはちゃんと帰る事。

またいつでも遊びに来ていいし、またお泊りもしていい。でも、その時はちゃんと許可を予め取るようにと。


「今日はもうアスカ様から許可を貰っていますから特別ですよ」

「良いのですか!?ありがとうなのです!」

「わーい! リズとお泊りー」

「まだ一緒に遊べるー!」

「先に夜ご飯ですからね」

「「「はーい!」」」

…さすが本物のお母さんは違うな。

あっという間に子供三人を笑顔にして、その上で次の事もちゃんと教えるなんて。 (すげー!)


「お母様、ありがとうなのです!」

「ちゃんとルナシアさんの言う事を聞いていい子にしてるんだよ?」

「はいなのです!」

やり取りを見ていた未亜達も異論はなく、急遽リズのお泊りが決定した。


「ルナシアさん、ありがとうございます。うちの子をお願いします」

「はい、お預かりいたします」

リズはよほど嬉しかったのか、私達に手を振るとフィアとニレに手を引かれて行ってしまった。 (寂しい?)

少しね。でも、あの笑顔を見たら何も言えないよ。


ルナシアさんに挨拶をして、未だ走り回っていて捕まらない長老様に言伝をお願いして私達は帰る。


ただ…私は一つ大きな間違いをしてしまった。

「私は聞いてません! 私だって母ですのに!」

少し離れたところで読書に集中していたシルフィー様は、事情を何も知らないうちにリズのお泊りが決定していたから、拗ねてしまった…。


「こんなに暗くなってきて、もう帰るって時に、ずーっと一人で本を読んでるのが悪いのよ」

「リアもついさっきまで走り回ってて、時間気にしてなかったけどねー」

「ねえ様、煩いわよ!」

「…リズ、母は悲しいですよ、そんな薄情だなんて…」

「だから! ほったらかして一人で本を読んでたくせに何言ってるのよ!」

「それはリアもじゃんー」

「うっさいわね! ねえ様だって…」

拗ねてるシルフィー様を挟んで、本日二回目の姉妹ゲンカ勃発。


「姉ちゃん、止めないの?」

「どうやって…?」

「知らんし。姉ちゃんの愛人だろ?」

「ちがうからね! その言い方やめてよ」

「噂ではそう聞いたけどな」

「私も聞いた…。アスカお姉ちゃんは浮名を流してる」

どこまで広がってるのよ…。ユウキ達はほとんど学園には来なくて学園街のギルドに行ってるのに!


「主様、どんまい」

「レウィまで…私泣くよ?」

「お姉ちゃんは私達とのそういう噂流れるのいや…?」

「嫌というか、事実無根というか…未亜達は平気なの?」

「事実だもん! 私達はお姉ちゃんのだからね!」

…これさー噂の元凶って未亜達本人だったりしないよね? (…………)

無言の肯定ととるよ? (ティーは知らないの!)


はぁ…。

ため息をつく私をレウィが前足でポフポフってしてくるのは、慰めてくれてるのか… (諦めろって事かと)

私もそんな気がする…。


取り敢えずこっちを見てニヤニヤしてるユウキはシメていいかな。 (ほどほどに…)


そんな事があったりで、学園街のお屋敷に帰るのが更に遅くなり、トドメとばかりにピナさんに叱られて酷い目にあった。


レウィ、生暖かい目で見ながら私を肉球でポフポフするのやめてくれないかな!? (ウケる!)

ウケんな!








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