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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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リコの森にて



アクシリアス王国領。

樹の最上位精霊、リコが守護する森。

その森の入り口にあるツリーハウス。

転移したのは、そのツリーハウスの一階リビング。


「このツリーハウスも作ってから、随分たったような気がするなぁ…」

作ったのはリアを保護した帰りだったはず。 (リアがお風呂好きになった場所!)

そうだね。気に入りすぎてのぼせたりと大変だったな。

後は王妃様のお誕生日パーティーとかもしたね。 (ママのドレスー)

……あったねそんな事も。



「あらママ?早かったのね」

魔法陣から顔を出したのは、いつもの小さいリコではなく、私と変わらない本来のサイズのリコ。

森の見回りから帰ってきたところかな。 (ママは魔力隠蔽してるし)

ドラゴンの里にいたからね。


「なんとなく早く来たほうがいい気がしてね」

「助かるわ。すぐに呼んでくるわね」

「ありがと、お願いね」

床へと消えていくリコを見送る。


エルフの人達はツリーハウスにはあまり入らないんだっけ? (うん。聖域みたいなものだから、儀式の時だけ)

なら外で待つか。


ツリーハウスを出て、森側にあるリコを祀る祠の側で待つ。

祠は小さくても木で作られた本格的なもので、どこか神社のお社を思い出させる。

ただ、扉とかはなく、御神体もない。リコ本人がいるのだから必要ないのだろうけど。 (お供え入れる場所ー)

あっ、そうなのね。

供えられたフルーツとかをリコが回収してる姿を想像したら、なんか可愛かった。 (覗いて、入ってると嬉しそうだよ)

可愛いわね。


「ママ、わざわざ外に出てきてくれたのね」

「お呼び立てして申し訳ありません」

「蒼白の癒し手様にとんだ失礼を…」

エルフの男女が、本当に申し訳なさそうに頭を下げてくれるから慌ててしまう。

止めたのだけど、やめてくれなくて…。


本来なら私がツリーハウスに来ている時に、自分達から会いに来るつもりでいたから、呼びつけるようになってしまったのを申し訳ないと何度も謝られた。

気にしなくてもいいのに…。 (ママは里に祀られてるから仕方なし)

なんだかなぁ…。


「せっかくママが来てくれたのに、それじゃあ話にもならないでしょう」

リコがそう言って止めてくれて、なんとか本題に入る事ができた。


どうして私に会いたかったのか、それは女性エルフの顔を見たら一目瞭然だった。 (シエルそっくり!)

うん…。連れてきてあげればよかったな。 (うんうん!)


それからは、ご夫婦に里の事で謝られたり、お礼を言われたりと、またまたこちらの話はする余裕もなく…。


“話が進まない”とリコが止めてくれて、ようやく落ち着いたお二人の長ーい名前を教えてもらい、父親はルーアン、母親はミレーナと呼んでほしいと言われた。

「その、娘は……フィシエルは元気にしていますでしょうか?」

「はい。すぐに連れてきますね」

「いえ! 掟で今は会うことができないのです…」

親子なのに…。 (ヤな掟だな!)

こういうのは種族ごとに色々あるから口を出さないのがいいのだけどね。

それにしても…ねぇ。 




詳しく話を聞くと、シエルは里を追放された身。つまりは…勘当された子供みたいな扱いで、本来は家名や何やらも名乗れないらしい。 (厳しすぎるの)

ほんとにね…。

ただ、寿命の長いエルフならではなのか、時間経過や、本人と身内が里に貢献する等でそれも緩和されるらい。

別の里へ引っ越さざるを得なかったご両親も、この森の開拓に貢献しようと志願してここへ来たのだとか。


追放されたシエルがどうやって里に貢献するんだと疑問に思ったのだけど、里を救った私の傍にいて、役に立つ事で貢献してると見做しているそう。

私に預けた理由はそこか…。シエルの事をちゃんと考えてはくれてたんだね。 (うん!)


「シエルは、かけがえの無い家族で、いつも助けられてます。今着てる服もシエルが作ってくれたんですよ」

私の話を聞いてご両親は嬉しそうで…でもどこか寂しそうな笑顔だった。

そんな二人の姿を見ていると胸が締め付けられるような気分になる。 (ママ…)

早く会わせてあげたいよね…。 (うん…)


「私がママからの話を聞いたり、あの子の様子を見て話してあげてるから大丈夫よ」

リコも知らないところで協力してくれてたのか。 (知らなかったの!)

「ありがとうリコ」

「いいのよ。私もママの役に立ちたいもの」


シエルはうちに馴染んでくれてるのがせめてもの救いなのかも。

最初は本当に心配したし…。 (会話にもならなかった)

そうだったね。今のシエルがあるのはみんなのおかげだろうな。 (ママもだよ?)

かなぁ。そうだったら嬉しいね。



しばらくシエルのご両親と話をして、リコとツリーハウスへ戻ってきた。

「ありがとうママ」

「ううん。シエルは家族だからね。私もシエルのご両親に会えてよかったよ」

「エルフの掟に関しては、私でもどうにもならないから…」

「リコのせいじゃないし、気に病まなくて良いからね」

「ええ…。でも、会いたい時に会えないのは辛いわね」

「…だね」

私も家族が増えたからこそ余計にそう思う。


「ねぇリコ、ツキにも会いに行こうか」 

「いいわね。行きましょ」

なんとなくツキの顔も見たくなって、リコと一緒に会いに行くことにした。 (いってらっしゃい!)

少し遅くなるかもだからみんなによろしくね。 (あーい!)  



ーーーーーー

ーーーー

ーー



直接街の外へ転移したら、そこには前よりも大きな畑が出来ていて、小さな精霊が飛び交っていた。

前は見えなかったのに…。

「お母さん! ママもきてくれた!」

リコに気付いて来てくれたツキは、魔力隠蔽してる私を見つけると嬉しそうに抱きついてきたから受け止める。 


なんか前より明るくなった?大人しい子だった気がしたのだけど…。 (たくさんの精霊束ねてるからとか?)

あ〜。それは確かに。前は見えなかった小さな精霊が私に見えるのもその影響か?



ツキに案内されて、整備された畑やきれいな小川などを見て回る。

リコが嬉しそうに、ここはツキが頑張ったとか、ここで活躍したとか、いろいろと教えてくれた。

ツキはツキで、小川は水の精霊に力を借りたとか、土の精霊のお陰で作物の成長が早いとか、色々と教えてくれて。

その間も小さな精霊たちが動き回っているのが見える。

「私にも小さな精霊が見えるようになったのは理由があるの?」

「それは多分、みんなツキの指揮下に入ったからだと思うわ」

「みんな頑張ってくれてる…」

やっぱりそういう理由か。あれ、という事は… (精霊女王?)

なのかな?


「ツキはもう精霊女王って事?」

「ううん…違うよ」

「一部の精霊はまだ指揮下に入ってないから…でも、それも時間の問題だとは思うわ」


どうやら土地の回復という仕事に、あまり関わりのない精霊…、闇精霊とかは指揮下にいないらしい。

ただ、精霊がたくさんいる場所は、どんな精霊にも居心地がいいらしく、集まりつつあるから時間の問題だと。

…闇精霊か。 (シャーラ?)

うん、あの子が契約してるな、と思ってね。

しかもそのシャーラが頻繁にここの様子を見に来ているのなら、伝わるのも早いだろうなぁと。 (あーそっか!)



「アスカお姉ちゃん? いつの間に来てたの?」

この声は… (噂をすれば!)

「…なぁアスカ? なんで私のところに顔を出さずにここにいる?あぁん?」

…っ!! (ママ逃げて! ちょー逃げて!)







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