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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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事件は中庭じゃなく屋上で



翌朝普段より1時間ほど早く起きてリビングへ降りたのだけど、未亜ちゃんがもう起きて台所に立ってた。

「おはよ、未亜ちゃん。ごめんね、遅かったかな?」

「あ、お姉ちゃん。おはよー。違うよ〜、早く目が覚めちゃっただけだから」

エプロンをつけながら未亜ちゃんの横に並ぶ。


「昨日は大丈夫だった?」

「え?う、うん。大丈夫だよ! お姉ちゃんが部屋に連れてってくれたんだよね?」

「うん、部屋に勝手に入っちゃってごめんね」

「それは全然いいよ。ありがと」

なんかちょっと顔が赤いのは気のせいかな?まだ魔力酔い?


「未亜ちゃん、ちょっとこっち向いて」

少し屈んで目線を合わせる。そのままおでこに手をかざして確認する。

「あわわっ! お、お姉ちゃん何をっ!?」

ん〜大丈夫そうなんだけどなぁ。

私は精々体調の良し悪し、どこか悪いとかならわかるけど…。

ハッキリした状態異常とかまでは分からないからなぁ。王妃様に人物鑑定習うほうが良さそう。


「お、お姉ちゃん…もうそれくらいで許して…」

え? 顔を真っ赤にしてるけど本当に大丈夫かな。

「体調悪かったりする?昨日ので身体に違和感とか…正直に言ってね?」


「大丈夫だよ! 昨日のも気持ち良かっ…じゃなくて何とも無いから」

「無理しないでね?未亜ちゃんに何かあったら…」

「うん、ちょっとびっくりしただけだし…」

ならいいけど…実際魔力の流れとかも安定して…る?

そういうことかぁ。私の魔力を循環させた事で覚醒しちゃったのか。

昨日の時点でわかってたはずなのに、魔力が当たり前になりすぎてて見過ごしてた。

ユウキも聞き流してたもんなぁ。


「わかったよ。じゃあお弁当作っちゃおうか」

「うんっ」

魔力の覚醒の話は異世界へ遊びに行った時でいっか。





三人分のお弁当も完成して、そのまま朝ごはんの準備も一緒にしちゃう。

お弁当に入り切らなかった物もあるしね。

うちの朝はパンが多いから珍しい。


ちょうどユウキも起きてきたからみんなで朝ごはんを食べた。


「はいこれ、ユウキのお弁当ね」

「ありがとう。アスカ姉ちゃん」

「未亜ちゃんが頑張ってくれたから豪華だよ〜」

「そうなの?楽しみ! ありがとう未亜姉ちゃん」

「いえいえ〜」



未亜ちゃんが今日も髪を結ってくれてサイドポニー?って髪型にしてくれた。

「いい時間だし登校しよっか」

「そうだね、鞄取ってくるー」

「僕は玄関で待ってるよー」


今朝も三人で揃って登校。


昨日みたいな不安がないだけ、今日は気持ちに余裕がある。

それが油断だったのかもしれない。


まさかあんな事になるなんて…




午前中の授業は特に何もなく終わり、今日は奈々と約束してたから一緒にお昼を食べる事に。

「アスカ、妹さんは良かったの?」

「うん?一応確認はしたけど、友達と一緒みたいだから」

「そっか〜じゃあ、たまには屋上でも行く?今日、中庭へ行くと昨日の余波が凄そうだし…」

昨日の余波?何かあったのかな。


「私はお弁当だけど奈々は?」

「私もーほら」

そう言って奈々もお弁当箱を取り出したから、そのまま一緒に屋上へ向かった。


購買にも寄ってないからか屋上へは一番乗りだった。

「いつもなら人がいるんだけど…やっぱりみんな中庭か」

「そうなんだ。空いてるならいいよ」


天気もいいし風も心地良い。屋上もいいな。


あ、人が来たみたい。 ってユウキ?

「あれ?姉ちゃんこっちだったんだ」

「うん、奈々…友達が中庭は今日混むだろうからって」

「うん、すっごい人らしいよ。だから僕達も屋上に来たんだ」

僕達?ユウキの後ろから緊張した感じの男の子が顔を出す。

「せ、せ、先輩。ユウキの友達の…」


急に吹いた強い風にユウキの友達の自己紹介はかき消され聞き取れなくて。


「お姉ちゃん!!! スカートーーー!!!!」

未亜ちゃんの叫び声だけがはっきり聞こえた。


え?スカート…?


…っっ!!


慌てて抑えるけど手遅れで、目の前にいたユウキやその友達。

ちょうど屋上に上がってきたばかりの未亜ちゃんとその後ろにいた子。

みんなの視界には風で捲れ上がったアスカのスカートの中が…。


「アスカ…ごちそうさまですっ」

…っ!

後ろにいた奈々まで! しかもなにそれ!



パニックでへたりこんだ私へ未亜ちゃんのセリフが追い打ちをかける。

「お姉ちゃん、スパッツは…?」

いやぁぁぁぁ!!


ユウキの友達は鼻血出して倒れるし。

それを見てユウキは慌ててる。


未亜ちゃんと奈々に連れられて屋上の隅へ移動、二人のおかげで少し落ち着いた。

どうしよう、ユウキはまだいいとしても…鼻血出してた子大丈夫かな。


「アスカ、お昼たべよ。そしたら落ち着くって。ね?」

「うん、 鼻血の子は大丈夫かな?」

「ユウキ君が連れてったから大丈夫だよ、それよりお姉ちゃんだよ。大丈夫?」

大丈夫ではないけど私の不注意だし…諦めるしか。


「まぁまぁ。事故だし忘れよ?その方がアスカもいいでしょ?」

「うん」

そうしていただけると助かります。

「てことで、私はアスカの親友の奈々だよ。貴女が噂の妹さんだよね?」


「はい、未亜です。こっちで固まってるのが親友の明ちゃ…明子ちゃんです」

「二人ともよろしくねー」


「明ちゃん、ほら! しっかりして」

「へっ?はっ…。明子です。よろしくお願いします」

大丈夫かな、この子。なんかものすごく挙動不審だけど…。それもさっきの私のせい?


持ってきたお弁当を広げて、折角だからシェアしようっていう奈々の提案で、色々なおかずを食べれた。


「え?じゃあこれアスカと未亜ちゃんが作ってきたの!?」

「うん、これとかこれは私で、そっちの手の込んでるのとかが未亜ちゃんの」

「アスカ先輩の手料理…」

そうだけど、ホントに大丈夫かなこの明子ちゃんって子。


「お姉ちゃんのだって手抜きとかじゃないよ。すごく美味しい」

「だよね、シンプルなのにすっごい美味しい…。よしアスカ! 私と結婚しよう!」

「お姉ちゃんは渡しません!」

奈々は何言ってるの。おかしな冗談を…


「未亜ちゃん、奈々の冗談にムキにならなくて大丈夫だから」

「むー。つれないなぁアスカは」

「うちの大事な妹をからかう人にはおかずあげないよ?」

「うわぁぁ、ごめんごめん…冗談じゃなくて本気だから。おかず取り上げないで」


全くもう。

ん?なんかおかしかったような…。

ま、いいや。

みんなでワイワイお弁当食べてたら落ち着いたし。

ユウキの友達のことは後でユウキに聞こ。


しばらく屋上には来たくないけど…。









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