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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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レースの行方



スタートと同時に一斉に走りはじめる選手達。

当然あちこちでぶつかったりと、トラブルが続出。


「これは参加者が多すぎたかー! 有利な最前列がレースを制してしまうのか! いや、ここでまさかの事態です!」


最前列にいた人は抜け出して走り出す。リアとティーは詰まった他の選手を飛び越えて、出遅れはしたものの先頭集団を追いかける。 


「飛びました! 飛びましたよあのボード! 一体どーなってるのか! 先頭集団を追いかけていくー!」


二人とも巻き込まれてなくて良かった…。 (そんな鈍臭くないの!)

怪我がなくて何より。


カメプロは先頭集団と、ティー、リア。それからようやくバラバラと走り出した後続車を捉える。

四つ目のカメプロはスタート地点の人たちを映し続ける。

スピードが出てなかったからか、けが人もなく、殆どがレースに復帰。 

数台だけぶつかった衝撃で故障したのかスタートできないまま棄権となった。

実況者はカメプロの映像を見ながらレースを盛り上げてくれてる。


「ティー姉、リア母様…頑張って!」

リズが祈るように二人を応援してる。


どれもボードの最高速度は変わらないから、カーブでの速度調節が大切になる。

先頭集団と、それを追うティー、リアは学園街へでた。

街の中は複雑なコースだから、カーブをうまく曲がるティーとリアが先頭集団との距離を少し詰めてきた。

さすがうちの子たち!


先頭集団にいた一人が焦ったのかブーストで速度を上げたせいで、一人を巻き込んでコースアウトしていった。

巻き込まれた人かわいそうだな…。


「ここで先頭集団に脱落者が! ブーストをカーブ手前で使うのは失敗だーー!」


大きくコースを外れると反則扱いでリタイアだからなぁ。


今、先頭には十数台。頑張って距離を詰めてはいるけど、ティー達はまだトップ争いには少し遠い。

その後ろ、後続選手達はかなり離されてる。


街のコース沿いにも見学者はいて応援してる。その前を走り抜けていく選手達。

コースには細い路地もあり、直線が続くが、先頭集団も一列か二列で並ばざるを得なくなり、速度が落ちる。

ティー達も少し距離は詰めたけど、同じ状況になれば当然速度を落とさなければいけない。


そろそろ学園内へ先頭集団が入ってくる。

多分、みんなホームストレートでブーストを使うんだろうと思うけど、三周で三十秒しか使えない。

ティー達はどうするのかちょっと楽しみ。



「先頭集団がホームストレートへ戻ってきました! おーっとここで全員加速した! 一周目で使い切るつもりか? いや、数名早めにブーストカットしたー!」


結構な数がブースト加速を使い切ったな…。


「リズ、そろそろティーとリアも戻ってくるよ」

「はいなのです!」

VIPルームの窓に張り付いて、見てるリズは今か今かと待ちわびてる。


「ここで、スタート直後に空を飛んだボードが帰ってきたー! な、な…なんと! 羽根が舞っています! 加速と同時に羽根を撒き散らしながらホームストレートを駆け抜けるー!」


「お母様! キレイなのです!」

「そだね、リアの希望だったから…」

「お姉ちゃん、アレ目立ちすぎないかな?」

「リアがつけて欲しいって言ってたくらいだし、わかってるんじゃないかな?」

「いいなー! カワイイ! リアだけズルーいー」

「ティアねえ様はボード乗らないでしょう?」

「そうだけどー!」

ふてくされてるなぁ。召喚科のカフェに演出として置くために似たようなのは作ってるから渡してもいいけど、普段必要になることあるかな?


「アスカお姉ちゃんは、ティーにはつけてあげてないの?」

「いや、姉ちゃんがティーにつけないわけがない。ただ、加速を使わなかっただけじゃないかな」

ユウキ正解。多分ティーの事だから一周目はコースの確認と様子見だろう。 (ママにはバレた!)

黙っておくからいいよ。がんばれティー。 (あいっ!)


リアも十秒程でブーストカットしたから、ちゃんと余力は残してる。

これで、リアとティーで少し差が出来てしまった。



二周目、学園街でまさかの事が起こった。

路地へ入るところで先頭集団が競り合い、ぶつかり合って半数ほどが壁に激突。

巻き込まれるように更に数台コケたりと、道が塞がった。

カメラを一台向かわせて待機し、状況をわかるようにしておく。

「お姉様、あれ大丈夫なの…?」

「壁には、クッションになる様な物が設置はしてあったから、硬い壁に叩きつけられたりはしてないと思うけど…」

「わう…痛そう」

「大丈夫だよ、シエル、レウィ。 ほら、救助の人達が到着したよ」

「本当なの…良かった…」

「わう! 主様の出番かと」

「そんな大怪我はしないよ。ちゃんと考えて作られてたからね」

コースのカーブや壁とかに、安全対策がしてあったし。クッションに衝撃緩和とかの術式が刻まれてた。


「お母様! リア母様が!」

「え?」

事故の方を気にして目を離してたらリズの叫び声で我に返る。

なんと、リアがその事故現場へあえてブースト加速して突っ込んでいく。


「おーっとここで、少女が羽根を纏いながら加速したぁーー! そして、飛び越えたぁー!! それ追うように、また一台飛び越えていく!! これはレースの行方がわからなくなってきました!」


あの子達! 危険回避の為に付けた機能を利用したな! (使えるものは使うの!)

危ないことしないでって言ったのに…。 (危なくないよ?)

事故して詰まってるところに加速したじゃない! (ママのつけてくれた機能があるのに危ない訳がないの)

はぁ…もう…。信頼してくれるのは嬉しいけど、本当にヒヤッとしたよ…。


これで、先頭は五台。少し遅れてリアとティー。

その後ろは塞がれた道が開くまで待機となり、離されてしまう。


ホームストレートでは先頭五台がブーストを使わずに走り抜けた。使い切った人たちか?

リアも少しだけ加速するに留めた。

ティーも数秒加速。


三周目、ラストラップ。


リアとティーがカーブへの攻めが激しくなり、先頭集団を捉える。

路地の人達も全員救助され、数人はレースに復帰、後続車も無事にレースを再開。



先頭集団が事故のあった路地へ辿り着く頃には、コースは元通りだったけど、さっきの事があったからか全員かなり速度を落として、譲り合うようになる。

当然、リアとティーがそれを見逃すはずはなく、追いつく。

ここで、ティーが勝負に出た。

路地の細い直線で、初めて炎を引きながらまさかの加速。

リアを飛び越え、その勢いで壁走りをする。

危ないことするなぁ…。 (ちゃんと考えてるから!)

わかったよ…。


「なんと炎を引きながら壁を走る!! これは予想外だ!! ぐんぐん加速し、先頭へ躍り出たーー!!」


これはもう…さすがティーとしか言いようがない。

「お母様、ティー姉がかっこいいのです!」

「…そうだね?私はお説教しようか悩んじゃうけど…」 (なんでっ!?)

危ないことして!! (大丈夫なの!!)

はぁ…


ティーが先頭のまま、学園内へ戻ってくる先頭集団。


「ここで、羽根を纏う少女が加速した!! まだ余力を残していたか!!」


他にも一台ブースト加速した人もいたけど、目立たなくて気がついてもらえてないな…。

ホームストレートは、ティーと、ブーストしてるリアともう一人。 (くっ……少し残しとくんだった!!)


ゴールする時は真正面と、真横、真上からの撮影で捉える。


「さぁ、ゴールはすぐそこだ! 逃げ切るか?追い越すか?」


「ティー姉も、リア母様も頑張れー!!」


「ゴーーーール!!! これは僅差だ! 私は判断できませんでした! 判定になります!」


この可能性は考えてたとはいえ、本当になるとは。


真横から映していたカメプロを、スローで再生。

「ありがとうございます! 結果は……」









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