表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/774

ストレリチア杯



ストレリチア杯の撮影のため、魔力体ドラゴンにカメプロを持たせて、一度意識をリンクし、自身で直接操作しながらコースを飛ぶ。

無防備になる身体はストレリチア様が見ていてくれた。他にも騎士の護衛は当然ついてるし安心だ。

「アスカ様は相変わらず規格外です! 何度説明を聞いても意味がわかりません!」

そう言われてもなぁ…。


オートパイロットでもコースを飛ぶのを確認。

何ていうか…リレーとかみたいにトラックを回るのを漠然と予想してたのだけど、その予想は大きく裏切られた。


コースは、魔法科の訓練場がスタート地点になる。

観客席が多いから都合がいいのだろうな。

カメプロの映像を映す巨大な真っ白な壁もここに設置されている。



レースは長いホームストレートを走り、学園の校門を抜け、学園街へ出ると街の中を走る。

ぐるっと学園街をまわったら再び学園内へ戻り、魔法科の訓練場へ戻ってくる。

自転車くらいの速度で回ってみたところ、一周十分ほど。

それを三周するから凡そ三十分くらいのレースになる。


かなり複雑なコースだけど、間違えないよう矢印の案内もあるからよほど大丈夫だろう。

初めてコースを周る私も迷わず魔力体を飛ばせたくらいだし。


「ストレリチア様、撮影は問題ありません」

「ありがとうございます。これを成功させれば、また次があるかもしれませんし…」

「優勝商品とかはどうされるのですか?」

「え…?必要ですか!?」

これはまたいらん事を言ってしまったかな。

当たり前にある物だと思いこんでた…。


「それでしたら! あれを出しましょう!」

「あれとは…?」

「学園祭の時に、魔道具科のゲームで使ったステッキです!」

「いいのですか?あんなので…」

「あんなのって…。アスカ様はあのステッキが今どれだけ話題になっていて、欲しがる人がいるかご存知ないのですか!?」

いや知らんし…。ティー知ってる? (地球で最新ゲーム機が出たときくらい?)

わかりやすい喩えをありがとう。それなら…


「景品にされるのでしたら見た目だけでも特別感出しませんか?あのままだとシンプルですし、ストレリチア様のお名前のついたレースの商品としては、寂しいですから」

「まさか、作っていただけると!?」

「はい。せっかくですし…」

大喜びしたストレリチア様の要望を聞きつつ、特別なステッキを作成。



いや、まぁ…、うん。ストレリチア様のセンスだわ。 (街であのトロッコを推してたのに、なぜデザインさせたのか…)

だって、ご本人の名前を冠したレースだよ? (そうだけど! なんでステッキにファーがつくの!)

知らないよ! キラキラのラメもついてるし、めっちゃ派手。

デザインに実用性は一切ない!


パパっと作ったステッキを抱えたストレリチア様は大喜びで、景品として宣伝してくるって走っていった。 (欲しがる人いる…?)

あのカスタムトロッコに乗ってる人がいるくらいだし… (ティーはテンション下がったの…)

ティーとリアは頑張ったら私がご褒美をあげよう! (俄然やる気が出たの!!)

無茶はしないでね。 (もちろん!)



お屋敷でお留守番していたティーとリズは、ピナさんに連れてきてもらい、うちの家族と合流。

レース参加者の待機室にはティーとリアが案内される。残りは観客席へ。

私は、待機室になってる魔法科の教室へ同行する。


ボードの最終チェックをして、安全面にも問題がないのを再確認。

「アスカ、頑張ったらご褒美くれるってティーから聞いたわよ?本当なのね?」

「うん。ただ、無茶して危ない事はしないでね」

「わかってるわ!」

食べ物とかじゃ特別感ないし、希望を聞いてなにか作ってあげてもいいかもしれない。 (ふっふー楽しみなのー)



他にもレースに参加する人達が増えてきて、それぞれボードの確認をしてる。

うちの子みたいな特殊な外見のはあまりないけど、案の定派手なのはある。 (相変わらずのセンス…)

あの人達ならステッキも喜びそうだね…。 (あぁ〜)



レース開始が近くなり、ホームストレートへ参加者が入っていくのを見送る。

「ティー、リア、怪我だけはないように。でも楽しんでおいで」

「はーい!」

「…行ってくるわ」

スターティンググリッドみたいなのがあるわけではないから、ごちゃごちゃと固まり、マラソンのスタートみたいになってるな…。



「まもなくストレリチア杯開始となります。参加者は至急スタート地点へお集まりください」

さて、私も自分の役目を果たすために移動しますか。 



 

私達家族は、観客席のさらに上、VIP席みたいに見晴らしのいい個室を用意してもらえている。

隣の同じような個室にはグリシア王国の王族と、アクシリアス王国の来賓も同席してるから、本当にVIP席か。

渋っていたシルフィー様も、流石に向こうに同席してる。


両親とアキナさんも近くにいるようだから、部屋が用意されてるのだろう。

せっかくだし、うちの子達の勇士を見届けてあげてほしい。



私も撮影したりするから個室なのは助かる。

もしかしたら完全にリンクする可能性もあるし…。

部屋の正面の窓にはカメプロのプロジェクターも幾つか設置して、目の前のスクリーンに映し出せるようにしてある。

基本、画面は四分割で、見下ろして全体を映した映像、トップを真正面から捉える映像、横から捉える映像、最後はトラブルがあったら映す。

ぶつかったりとかしたら、映しておくと反則したかの判断や、要救助者がいるかもわかるし。

そんな事はないのが一番なのだけど、これだけごちゃごちゃしてると備えておかないと。

当然、もしもに備えて治癒師は待機しているそう。


「すっごい人だよお姉ちゃん ティーちゃんとリアちゃんは何処かな…」

「お母様、ここからではあまり見えないのです…」

「リズ、大丈夫だよー! アスカがちゃんと見せてくれるから!」

ティアねえ様に言われて首を傾げてるリズに未亜やシエルが教えてくれてるし、そろそろ頃合いだしカメプロを起動する。


「わぁー! すごいのです! 目の前におっきくうつってるのです!」

「あ、リアが見えたー! ティーも隣にいる!」

「二人ともがんばれー」

ちゃんと映ってるね。大丈夫。



「姉ちゃん、無理するなよ?」

「オートパイロットだし、ハッキリと上位の人が出てきたら追尾させるだけだから大丈夫」

「ユウキ、アスカお姉ちゃんが何言ってるのかわかんない」

「まぁその反応だよな。 スピネル、うちの姉ちゃんはおかしいからな?僕に同じ事を求めないでくれると助かるよ」

「うーん?わかった…?」

弟が可愛くない…。 (まぁまぁ…)

いいもん。私には可愛い子ども達がいるからね! (そだよー!)



観客席もほぼ埋まり、ストレリチア様の挨拶も拡声魔法で聞こえる。

「いよいよ、ストレリチア杯が始まります! 皆さんそれぞれ自分のマジックボードを駆り、優勝を目指して頑張ってください! 素敵な優勝商品がありますからね! なんと、魔道具科で使用したステッキ、その開発者ご本人による特別仕様です! 私のデザインを見事に形にしてくださいました。 世界にたった一つしかないものですからね!」

興奮してらっしゃるけど大丈夫だろうか…優勝商品もめちゃくちゃ推してるし…。 


挨拶も終わり、実況者によるスタートのカウントダウンが始まる。 (ブォン…ブォン…)

セルフボイスで吹かしてるわ…。



「3…2…1…スタートォーーー!」











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ