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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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魔道具が先か、技術の継承が先か



ファリスとロウは、私に会えて、リズを預けた事をバサルア共和国に残してきた仲間に早く伝えたいと言うから、転移できる魔道具を作って渡した。

シャーラに渡したのと同じタイプ。私の傍へ転移してくるだけのもの。

バサルア共和国へは、しっかりイメージできれば帰ることができるし、一度転移すれば座標を拾うようにしておいた。

次あった時にそれを刻めばいいし、私も座標がわかるから転移が可能になる。


アンデッドのロウは、ファリスのストレージに入れば転移できるから、一人用のまま。

本人はどちらも、ものすごく嫌がってたけど…。早く報告に行きたいって急かすせいで、カスタムする余裕がなかったんだから諦めてほしい。


渡した魔道具を見て、ファリスは

「相変わらず魔王様は…いえ、アスカ様の技術は凄まじいですね。衰えがありません」

「でもこれ、あなた達が持ち込んだ転移の魔道具を元にしてるんだよ?」

「そうなのですか!?」

確認したら、王妃様に渡した魔道具も、みんなが転移するための魔道具もファリスが作ったらしい。


「一番弟子であり、一番長くアスカ様の魔道具作成を見ていのが私でしたから…」

「その割に彫りも浅く、無駄が多かったよ?」

「うっ…すみません。平和になって不抜けていました…」

「それならいいことじゃない。平和が一番だよ。それに、ファリスの考えた転移の魔道具がなかったら、この私が作ってる魔道具もうまれてないんだから」

「それは…何というかお恥ずかしいです」

「誇っていいよ。 あっ、勝手に改変しちゃってごめんね?」

「いえ! 元はといえば私の魔道具を作る技術は魔王様から教えていただいたものですし、ご自由にお使いください」

鶏が先か卵が先かみたいになってきたな…。


転移魔道具の開発者でもあるファリスに、私が転移魔道具を作って貰った報酬を渡そうとしたのだけど、断られてしまった。

諦めていた、失った力を取り戻させてもらっただけで十分過ぎると…。

それでも、困ったら頼るようには言ったから大丈夫だろう。

ファリスはその辺遠慮はしないし。 (大丈夫?それ…)

うん。それに、ファリス達に頼られるのなら悪い気はしないよ。 (そっか!)


二人は自ら希望して力を再封印することになった。

いざという時にだけ開放できるようにしてほしいと頼まれたので、魔道具を作って渡した。

魔王でもない二人が力を持って戻ったら、いらないトラブルが起きかねないからと。

ちゃんと考えてくれてて嬉しいよ。


私もそれで自分の力を抑えられないかと、試しに作ってみたのだけど、手持ちで一番大きなスイカ大の透明な魔石が耐えきれず砕け散った…。 (それはまぁ…うん)

ファリスとロウ、リズはそれを見て感動してたのは忘れよう。

私自身、力の使い方はしっかりと考えなきゃいけないと再認識。



「アスカ様、ティアリス様の事お願い致します」

「任されたよ。ロウも、みんなの事よろしくね?」

「はい。お任せください。必ず皆を守ります、魔王様が二人もおられるのです。皆も安心するでしょう」

「他に保護されてる人達のことも分かったら伝えるから」

「ありがとうございます。私は頂いた魔道具で、時々お邪魔してもよろしいですか?」

「もちろん。しばらくはここに滞在するから。私が移動したとしても私の傍に転移してくるから心配しないで」

ファリス達と別れることになるリズが寂しがるかと思ったけど、年の近いティーやシエルもいるからこっちのが楽しいらしい。

ロウのが寂しそうにしてて、孫と別れるお祖父ちゃんみたいだった。


「ティアリス様、寂しくはないですかな?もし辛いときはいつでも呼んでください」

「大丈夫! こっちにはお母様もいますし! ティー姉もお姉様達もいますから!」

「ほら、ジジィはお呼びじゃないんです! とっととストレージへ入りなさい!」

「誇り高きリッチーを荷物のように…」

「骨などただの荷物です! ほら早く!」

ファリスに引っ掴まれたロウは、乱暴にストレージへ放り込まれた。 (扱い…)

昔からじゃないあの二人は。ティーは見てたでしょ? (確かに遠慮はなかったの)


「それではアスカ様、ティアリス様、皆様も…いずれまた」

「うん。またね」

「ファリス! ありがとうございました!」

リズにお礼を言われて嬉しそうに微笑んだファリスは転移していった。




「姉ちゃん、どうしてくれるんだよ…」

「いや、何が!? 私ユウキになにかしたかな?」

大切な話をしてる間も、いつも通りスピネルといちゃいちゃしてたじゃない。それがいきなり何!? (みんなのいる前なのに…)

ほんとよ…。


「二人目の子! スピネルがまた子供ほしいって言い出したじゃん…」

「………あー…」 (別にママのせいじゃなくない?)

だよね?


「ユウキー?私も可愛い子欲しい…」

「だから、それはまだ待ってほしいっていったよね?」

「…私のこと嫌いなの?」

「違うよ! 大切だから言ってるんだって!」

「アスカお姉ちゃん、こう言ってるけど…信じていいのかな?」

「それを判断するのはスピネルだよ? 今までユウキがスピネルに酷いことした?嘘ついたり裏切るようなことした?」

「…してない」

「それでも信じられない?」

「信じる!」

嬉しそうにユウキに抱きつくスピネルは、落ち着いたのか?


「ありがと、姉ちゃん」

「ううん。ユウキがちゃんと大切にしてたからだよ」

落ち着いたらしい二人はいちゃいちゃとしながらリビングを出ていった。 (世話が焼けるの!)

まぁ、これくらいならハードル低いほうだよ。 


新しい家族も増えた事だし、キャンディ達や、ピナさん達、リズに魔道具作りますか! (うん!)

リズのはティーとお揃いにするね? (あい! でもピアス平気?)

幼くても魔王だよ?あの子。 (そっか!)



キャンディやメイドさん達はネックレスにして…チョコ達はアンクレットにするか。 (アンクレット?)

手首につけるのがブレスレット。足首がアンクレット。 (ほぇー)

プリンのもそれでいい? (プリンのもいいの!?)

当然。うどんとぼたんにも作るつもりだし。 (ティアたちつれてくる!)

お願いねー。 


話が一段落してから庭で遊んでるしなぁ、あの子達。

リズを乗せてレウィが走り回ってる姿が見える。仲良くやっていけそうで安心だよ。



みんなの魔道具につける効果はいつも通り。

魔法防壁に魔力電池、魔力の増幅。あとは最近定番に追加になった状態異常無効化。

メイドさん達はネックレス。メイド姿でも普段使いしやすい様に、シンプルなデザインで。

スピネルだけはユウキとお揃いになるようブレスレットにした。当然召喚阻止と魔力の回復も。


キャンディは、派手目なスタイルに合う様考えた。

平たく大き目にした紫色の魔石を金で縁取る。それを紫色の革で作ったチョーカーからぶら下げる。

あの子も大きいから、ネックレスにすると、谷間に埋もれちゃいそうだし…。


チョコ、クッキー、ラムネ、プリンはアンクレット。

お揃いの紫色の革紐に、紫色の魔石をつける。

紫色にしたのは私の首にいるラムネが選んでくれたから。私の瞳の色を選んでくれたらしい。

みんなも喜ぶって伝わってきたし。

プリンも、ティーの瞳と同じ色だしね。 (プリンとお揃い〜)


うどんとぼたんは、ティアねえ様、シエルと相談して、組紐で編んだ首輪に、鈴型にした魔石が光る。

シエルのデザインだから、すごく可愛い。流石だね。


リズのは地球へついて来ることを前提に、シエルと同じ、地球でも魔力の回復ができる効果を追加しておく。

知り合ったばかりの子に魔力循環を強要したくはないから。



メイドさん達は遠慮してたけどなんとか受け取ってくれた。

ピナさんは、騎士科での一件以来、私をキラキラした目で見てくるのは何なのだろう?



魔道具を渡そうと召喚したキャンディ達に揉みくちゃにされて、私はチョコの羽まみれになった…。

「ますたぁ! 覚えててくれてうれしいわ〜ありがとう!」

「忘れたりしないよ。今回も召喚の事も含めて色々とお世話になったからね」

ラムネとクッキーは、小さくなっても平気なのも確認。 (ラムネにちっちゃい手足があったの!)

海竜だからなぁ…。ヘビではないし。


うどんとぼたんはそれぞれ主に付けてもらってる。

「かわいいの…お姉様ありがとうなの」

「うどんに薬味がついかされたー!」

ティアねえ様は、ネギかなんかと間違えてる? 


唯一の誤算は、お揃いのピアスには喜んだリズが、ピアスホールを空けた痛みで泣き叫んだこと。

「お母様ひどいのです! いたくないっていったのにぃーーーー うぁぁぁぁぁ…」

謝ったのだけど、シエルとティーの影に隠れて口を聞いてくれなかった…。 (オロオロしてるママはレア)












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