表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

446/775

ホンモノ



武器は好きに選んでいいと言われたけど、どうしたものか…。

刃引きしてあるとはいえ重さのある本物の武器だし、王太子様に怪我をさせるなんて絶対にあってはならない。

かと言って適当に選んだら失礼だし…。これだけ人がいる前で勝つのも良くない。 (メイスは?)

あれこそ危なすぎるよ。 (そっかぁ)

騎士だとやっぱり剣か…。 (二刀流!)

そうしようか。魔法は使わないんだし。


ショートソードと、一般的なソードを腰に装備。

王子様が戦うって事で、みんな場所を開けて見学の構え。

うー…結局目立つのね。 (それを避けたかったのかぁ…)

下手したらまた怒られるじゃない! (今回のは仕方ない!)

じゃー庇ってよ? (はーい!)



ティーから言質も取れたし、頑張りますか…。

相手はこの国の王子様。程々に戦って、打ち合いをして…降参して王子様を立てないと。

「アスカ様、手加減したらわかってますね?」

「なにがですか!?」

私、弱み握られてるの!? (さぁ…)


「これは騎士としての矜持です。手加減されてしまっては恥なのですよ…お願いします」

数メートル先で向かい合う王子様は、勝てないのをわかった上で挑んでる、そんな雰囲気。

なにか理由があって手加減しないでほしいと、そう言うのなら、乗るしかない。

「私は騎士ではないのですが…わかりました。王子様に敬意を表して全力でいきます」 (マジか!!)

「あぁ! 頼む! 君、開始の合図を頼む」

嬉しそうだからこの選択で合ってたみたい。


「わかりました! 両者よろしいでしょうか?」

「ええ」

「はい」


「始め!!」

キィンッ… (ミエナカッタ…)


「降参です」

「ありがとうございます」


ふぅ…降参してくれて助かった。 (何したの!?)

え?踏み込んで間合いを詰めて、王子様の剣を切り飛ばしたよ。 (スローにしてみよ…)

カメプロかっ!! (ふひひ…)

どうやって見てるのかと思ったら…。

器用に掌へ展開した小さな魔法防壁に、プロジェクターの映像を映し出して見てるのか…。

はぁもう…。いつの間に。 (すっげー! 早すぎる剣圧で切れてる! あれ…切った先の剣は?)

飛んでいくと危ないから回収したよ。 (ママかっくいー!)




「見えたか?」

「いや、まったく…と言うか王子様の剣が中程から無くなったな…」

「刃引きした剣で切ったって言うのかよ、マジか…」

「あっちだけ刃引きしてないとか?」

「バカ、そうだったとして剣で剣を切れるかよ!」

「確かに…魔法を使った様子も一切なかったもんな」

「それであれか…」



「これが速さを突き詰める…本物だ。かっこいい…」

「お嬢様、ヤバいです…。陛下より強いというのは正直疑っていましたが…これは…」


「みんな、これこそ突き詰めた強さというものだ。我々も精進あるのみ!!」

「「「「おぉーーー!」」」」

何これ…。 (騎士科が謎の盛り上がり?)



「アスカ様ー!」

なーんか聞き覚えのある声が。

人混みの中から手を振ってるのは…

「シルフィー様ぁ!?」

「そうです! アスカ様のシルフィーが会いに来ましたよ! 騒ぎのあるところに来ればお会いできると思っていました!」

ひっどい風評被害!!  (的を得てる?)

嘘でしょ!? (周り見たほうがいいの…)

だから避けたかったのにーーー!! (あー…)


「シルフィー様が突然走りだされたから何かと思ったら。アスカ様を察知してたんですね」

察知って何!? (ぴこんぴこん…)

レーダーなの?私、発信機でもつけられてる?



「兄様が負けるとこ始めてみましたよ私」

「見ていたのか?」

「キィンッって音がして降参するところはシルフィー様と一緒に見ていました」

「そうか…負けることは分かってたんだ。 まさかここまでとは思わなかったが…。僕に怪我をさせないようにしつつ、圧倒的な実力差をハッキリと見せてくれたのさ」

「そういうものですか? 私にはわかりません」

「ストレリチアには難しいだろうな?」

「バカにされてますか?私」

「武術の心得がない者にはわからんという事だ」

「そうですか…。 そろそろアスカ様を返していただきますからね? 魔道具科の仲間なんですから」

「わかったわかった」


試合後は騎士科の人に色々質問されたり、やたらキラキラした目をして見てくるライアン様に懐かれ…。

何故かピナさんまでも同じ目をしてた。


試合後、駆け寄ってきたシルフィー様は腕を組んだまま離してくれないし…。

「シルフィー様はお一人でこちらへ?」

「いえ、ジルスと一緒にノワルレイナ様に乗せていただいてこちらまで」

「そうでしたか。結構な長旅でお疲れなのではありませんか?」

「いえ! アスカ様にお会いできるのですから!」

護衛もなしに?と思ったけど、ノワルレイナさんがいるのなら必要ないか。

コチラではストレリチア様といるなら護衛はいるだろうし。


アルフィー様が産まれてから、シルフィー様がアクティブに動いてる気がするなぁ。 (王妃様が動けないし?)

それにしたって。次期国王陛下だよ? (それはママも)

私のは形だけだからいいけど、シルフィー様は違うからね。

帰りは転移で送ったほうがいいな。


「すごかったですね! さっきの! やっぱりアスカ様は素晴らしいです!」

「あのー…シルフィー様とアスカ様って、どういったご関係ですか?」

「一緒に住んでます!」

「シルフィー様、それは語弊がありますよ!? 私はアクシリアス王国にお邪魔した時はお城に滞在させて頂いてるんです。もちろん家族も一緒にです」

「あぁ〜、なるほど! 色々と言葉が抜けてますね」

「わかっていただけて嬉しいです」

ストレリチア様が聡明な方で良かったよ…。 

他国から客人が来てると聞いた時点で知り合いに会う可能性を予測するべきだった。


「もう、シルフィー様! ちょっと離れてくださいー! アスカ様に大切な話があるんです!!」

「イヤです! やっとお会いできたんですよ? 邪魔されない今しかないんです!」

「邪魔って私達のことかしら?」

「言ってくれるねー」

「シルフィー様…?」

「あ、あら…見つかってしまいましたか」

「騒ぎのあるところに来ればアスカがいるんだから! わざわざ魔力を追わなくたって見つけるのなんて簡単よ!」

ちょっとリア!? (あははっ!)


「騎士科で戦ってたって…お姉様だったの…?」

「そうだね。とは言っても、手合わせだよ。お互い怪我もしてないから大丈夫。心配かけてごめんね。シエル」

「無事ならいいの…交代になったからお姉様を探してたの」

「そっか、当番お疲れ様だったね」

リア達が来たことでようやくシルフィー様から開放されはしたけど、これ…また私は変な噂が立ちそう…。 (女好き…愛人いっぱい、いっぱい…)

やめて…ほんと堪忍して…。



「アスカ様、母上…ではなくて、学園長から伝言です。”学園長室へはやくきて!”だそうです」

「わかりました。では、ここはお任せしますね?」

「いえ、それはさすがに無理が…ってはやいっ!」 

「ママが逃げたー」

「「「「「え!?」」」」」

「ストレリチア様、アスカ様は?アスカ様はどちらへ?」

「言えません!」




学園長からの呼び出しってなんだろ…。

しかも早く来てって。

学園長室へ向かう廊下は学園祭をしている教室周辺と違い、静かだ。

祭りとの差を感じるな。


あれ…この魔力……嘘、だよね!?

近づけば近づく程確信する。

なんで…?










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ