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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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召喚獣カフェ



「すみません、遅くなりました!」

「アスカ様、大丈夫ですわ。時間的にもまだお客様も疎らですし」

確かに召喚科の教室をカフェに改装した店内には二組くらいしかいない。


それでも召喚獣の子達は主と芸をしている子もいれば、のんびりと寛いている子もいる。

「そちらはお客様かしら?」

「はい、うちの家族が来てくれました」

「わかりましたわ。ご案内しますね。アスカ様はキッチンで仕込みの確認お願いしますわ。お昼までに終わらせないと…」

「わかりました!」

うちの子達が来てくれた時点で今の仕込みなんて無くなる! 特に唐揚げは!

「アスカ様、すみません唐揚げ十皿ですわ…」 

ほらね? (動いたからお腹空いたのー!)

すぐ作るよー。


朝から仕込んでくれてたクラスメイトの分を使ってしまうのは申し訳ないから、急いで魔力ドーム内で仕込みをしてしまおう。

「おぉう…姫さんそれ、未だにビックリするな! 助かるけど」

「うちの家族の注文なので、数が多くなりますし、私が受け持ちます」

「わかった! 他の仕込みは任せてくれ」

「お願いします」

基本、唐揚げの肉は男子生徒が切って漬け込んでくれてる。

漬け込みタレそのものは私が大量に仕込んできてるし、揚げるのも魔道具調理器具を使うから、誰が揚げても味にそこまでの差は出ない。

それでも試作のときに、私が揚げたのが一番美味しいと言ってもらえたのは嬉しかった。


役割が別れてる主な理由は、お菓子のが工程が多い分、手が離せない子が多いから。

当然、希望してお菓子を担当してる男子もいるし、揚げるのを楽しんでて、やけども厭わない女子もいる。

この辺は話し合って、なるべく希望通りに割り振った。 (料理苦手な子は…)

…その子は接客してるよ。 (縦巻きカール!)

うん…申し訳ないけど、モルチアナの料理センスは壊滅的だった。 (残念令嬢?)

ううん。接客はもちろんだし、細かい事に気がついてくれたり、まとめ役としては最強だよ。事務仕事も間違いがないし。 (意外!)

失礼だから。 まぁ、みんなそれぞれ適材適所ってやつだよ。 (ママは?)

私は呼ばれたとこに? (ほう…)


よしっ!

「唐揚げ十皿できましたー!」 (ママの唐揚げ〜♪)

「わかりましたわー」


唐揚げを運んでくれたモルチアナがすぐに戻ってきた。

「アスカ様…その…御指名です」

「はい?」

「アスカ様と、召喚獣の芸が見たいと…」

やられたっ! 呼ばれたとこってそういう意味じゃないのに! (一回だけー)

わかったよ…。こうなったらちゃんと楽しんでもらうからね! (わーい!)


「行ってきます。ここお任せしますね。多めに仕込んでおきましたから!」

「あぁ、さんきゅ…って! 多めってこれ…山盛りじゃねぇか! 俺が朝からどれだけ…」

「ほらほら、今更張り合っても仕方ありませんわ。これが売れると予想されての事でしょうから、頑張ってくださいませ」

「あぁ! 任せろ!」

「いや揚げるの私だから! 一度冷やしておいてね、後で使うから」

「お、おう…」



一番大きなテーブルを占有状態の家族の元へ。

みんなはお客様…。それなら!

「お嬢様方はどんな芸をお望みですか?」

「アスカが王子様みたいよ!! ねえ様!」

「リア、痛いから叩かないで! アスカそれならバラを背負ってー!」

「かしこまりました」

これくらいの演出は簡単。

「お姉ちゃんかっこいい!」

「おぉーでも、召喚獣は…?」

「ラムネ、みんなにバラを配ってもらえるかな?」

ふわっと飛び上がったラムネは、私が魔法で見せてる真っ赤なバラを一輪咥えるとテーブルの真上へ。

いいよー。そのままバラ撒いて。 (バラだけに…)

言うと思った! (フリでは?)

ないよ!?


「すごいの…花びらがひらひら〜」

「〜〜っ! アスカ結婚しよう?」

「ねえ様!」

「だってこれ! ヤバくない?」

「わかってるわよ…」

「すごくキレイ…花びらが降り止まないよ」

「わう!」

「レウィちゃん、掴もうとしたらダメなの…」



「魔法ですから触れる事は叶いません…。 では…お嬢様、お好きな色は?」

「私!? 青かしら…」

「ずるいー! 私はみどりー!」

「かしこまりましたお嬢様」

パチンっと指を鳴らせば花びらは青と緑のバラに。

「ユウキもあれできる?」

「無理無理。あんなの姉ちゃんしか無理だって…」

「むー覚えて!」

「むちゃくちゃ言うね?善処するよ…」

「ふふっ、楽しみー」

ごめんユウキ…。後でこれができる魔道具あげるから許して。


「お嬢様はこうやって落とすのですね?危うく私までやられる所でした…。二人とも、しっかりしなさい! 持っていかれるわよ?」

「「はっ…」」

メイドさんにはお世話になってるから楽しんでもらいたかっただけなのだけどなぁ。


「ラムネ、仕上げだよー」

花びらを巻き込んで竜巻を作って…そうそう。ありがとね。

ラムネがクルクルと周り花びらを巻き上げてくれる。

パチンッと指を鳴らせば、ラムネが作ってくれた竜巻の中にあった花びらは光となって飛び散り、キラキラとみんなへ降り注ぐ。

「すごいすごーい! きれー!!」


「ありがとね、ラムネ。一緒に礼しようか?」

「かわいいー!」

「凄かったわね〜魔法であんな事出来るなんて! さすが魔法学園の生徒さんね」

お客様増えてない? (あんな派手な演出してたら…)

やってしまった…。みんなに楽しんでほしかっただけなのに。 (すごかったの! ありがとうママ!)

ん…。その言葉だけで充分だよ私は。 



他の召喚獣の子達も特技を活かして芸をしてて、それがお客様に人気で、徐々に客足も伸びてきた。

器用な子はお菓子を運んだりもしてくれて、そっちも大好評だった。

私はというと…芸をする子達に合わせて魔法で演出を付けてあげてた。 

みんなに少しでも知ってもらえたかな?

本当の召喚獣の子達の事、魔法は楽しいものだって事を。

そうだといいな…。









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