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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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436/774

攫われたのは…

今回は少し胸〇そ悪い展開がありますので苦手な方はご注意を。

私も苦手なので早く終わらせます!



リア達と食堂で合流して一緒に昼食を食べた後、召喚科の教室へ向かう途中で呼び止められた。

「すみません、助けてください!」

誰だよ突然…胡散臭過ぎる。 (不審者ー)

なんとなく予想はつくけどね…。

ティー悪いんだけど、ピナさんと未亜達の所へ行ってくれる? (らじゃー!)


「助けてってどうしました?」

「こっちです!」

そう言って手を引っ張る女生徒。カチッ…

ん?なんだこれ…。 

手を引っ張るついでに嵌められたか。 (ママ大丈夫?)

うん。ただの魔封じの魔道具だね。 (ママに効くの?)

氷の槍一本分くらいの魔力が使えないかな? (ショボっ!)

まぁとりあえず様子見るよ。 (はーい!)

念の為、カメプロで記録しておくか。

魔力ドームで包んで隠蔽。私の頭の横に自動追尾。 (ドローンみたい!)

確かにそんな感じかも。



手を引かれて連れて行かれたのは、召喚科の訓練場の隅。

「おせーんだよ!」

「ごめんなさい…妹は…!」

「ほらよ」 

「お姉ちゃん!」

「ちっ…うるせーな、失せろ!」

あの子は妹を人質に脅されてたか。”助けて”は本当だったって事だな。

クズが…。 (ママ抑えて! また泡吹くよ)

それもそうね。ここで全部終わらせたいし、隠蔽したままにしとくよ。 (うん! ピナさんとみんなの見えるとこに来たよ!)

ありがとう。 様子見てて、危なそうなら助けてあげてね。 (任せてー)


「コイツだよな?俺は休んでて見てねぇんだよ」

「あぁ。教室で見た、その銀色の髪。見間違えたりしねぇ」

「田舎の国の王女様だっけか?」

「らしいな。 なぁ?お前のせいで俺たちは家も権力も全てなくしたんだよ!」

「それなのに、学園祭を見て考えろ?ふざけるな!」 

「全部お前のせいなんだよ。 おい! なんとか言えよ!」

「………」

学園長の計らいも馬鹿には無意味か…。

こいつ等、召喚科の上級生か。二人くらいはチラッと見た覚えがある。



「コイツ怯えてるんじゃねぇか?スッゲー魔法使ったとか噂だけどよ、魔力感じるか?」

「いや…魔封じをしてるとはいえ、これは無いな。 ハメられたぜ…」

「まぁいい、取り敢えず例の場所に移動しようぜ」

「だな…大人しくついてこいよ?じゃねぇとお前の家族がどうなるか、わかるよな?」

「…………」 (魔法科を退学になった生徒が未亜達に接触した!)

大丈夫? (銀髪の女を攫ったから大人しくしろって言われた瞬間、リアとティアがボコした!)

全員? (うん! 退学になったのは全部いる。ボロボロで…)

わかった、ありがとう。私は大丈夫だから、みんなを引き止めておいて。 (そっちのが難しいけど頑張る!)

少しでも情報を聞き出しておくよ。ベラベラとよくしゃべるし。 (あーい、気をつけてね)

うん。



連れてこられたのは召喚科の訓練場の外れにある扉。

開けると階段になってて、地下室があるらしい。

「攫ったのはいいけどよ、どうするんだ?」

「殴るなり嬲るなり好きにすればいいんじゃねぇか。王族だろうが傷物になりゃ貰い手もつかんだろ」

「好きにしていいのか?」

「恨みをぶつけてやるさ。 ただ、みんな揃ってからだ」

「ちっ、おっせーなあいつら」

「魔法科の奴らは怯えてたからな…やらせるのに苦労したぜ」

「姉妹や恋人がどうなってもいいのかって脅したらようやくだったな」

「怯えてたってこんな奴にか?見た目はとびっきり良いが…それだけじゃね?」

「だよなぁ。 お前はここに入ってろ。これからお楽しみだぜ?」

ゲスに笑う上級生に入れられたのは牢屋というよりは檻。魔獣とかを入れておくような…。


「ビビったか?これはな、召喚獣をいれて調教するためのモンなんだよ。人間が出られるモノじゃねぇから諦めろ」

「どうせ魔封じもされてるから何もできねぇって」

「お前もここで俺たちが調教してやるよ」

召喚獣を調教…?決めた、こいつら潰す…! 徹底的に…


「わりぃ、遅れた」

「いいって。それで俺達のコレは外せそうか?」

「あぁ。ほれ」

「おお、取れてるじゃねぇか」

「俺のも早く!」

「落ち着けって」

魔封じの腕輪を外したのか…、あの魔道具どこで手に入れたんだ?



「後は魔法科の奴らだけか」

「あぁ。あっちも結構な上玉揃いだから楽しめるんじゃね?」

「協力を拒んだ魔道具科の奴らはどうする?バラしたりしてねぇか?」

「復讐する気はないか?って声かけただけだからな。詳細を知らなきゃ何もできねぇよ、ここは俺達くらいしか知らねぇし」

「まぁ、アイツらもコイツの後にメチャクチャにしてやるさ。女がほとんどだし、なにより元凶がいるしよ」

「あぁ、元公爵令嬢か。あの傲慢なプライドをへし折るのが楽しみだな」

魔道具科…サラセニア達はこの計画に乗らなかったのか。そのせいで次のターゲットに…。

いや、サラセニアは乗ってたとしても…。

くそっ…胸糞悪い。


「来い!」

魔封じが外れた事で召喚獣を喚んだな。あれは狼みたいな子。

こっちも助っ人を喚んでおくか…。

キャンディ、霧になって出てきて。 ❲ますたぁ? 何、楽しそうな事してるのよ〜❳

楽しくはないよ? ❲特殊プレイがお望みだったなら言ってほしかったわ〜❳

違うから! ❲だってますたぁがあんな雑魚共に捕まるわけ無いじゃない〜❳

わざとなの! 今、召喚獣を喚び出してるやつらがこの檻に閉じ込めて酷いことしてたみたいなんだけど…わかる? ❲……ええ。あの子もそっちの子も…話を聞いてるわ。こいつ等が!❳

待ってキャンディ。怒りたいのはわかるけど、あいつ等を始末したらダメ! ❲どうしてよ! あの子達がどんな思いをしてたか…❳

だからだよ! 助けてあげないと…。始末したらあの子達も… ❲…そうね。ますたぁの言うとおりだわ〜怒りで大切なこと忘れてたわ〜❳

 

ここにいるのは七人。後は魔法科の奴らだけっていってたし、そろそろか。

「全員喚べたか?」

「あぁ」

よしっ…証拠もこれくらいあればいいでしょう。 

キャンディは召喚獣の子たちを守って。 ❲任されたわ〜❳


キキキキン…

「なんだぁ?なんの音だ?」

「おい、後ろ!」

「なんだよ、諦めて自分で脱ぎだしたか? …はぁ!?」

「あれ、召喚獣でも破れない檻だよな!?」

「そのはずだけどよ…檻が細切れじゃねぇか!」

説明どーも。 (そんな檻、ママには紙切れのように斬れる! ついでに魔封じも砕け散った!)

ティーも説明ありがと。 (ほーい!)

さて、まずはその魔力、使い果たしてもらいましょうか。


「ちっ、おい、みんな攻撃だ!」

まぁ召喚獣をけしかけてくるよなぁ。

大きいのは、狼に熊、あっちはトラか? 小さいのは可愛らしい小動物系。

こんな子たちにまで…! ❲ますたぁ、この子達に”お願い”して全力でますたぁに攻撃させるわよ〜❳

一気に魔力使わせるんだね。了解! ❲話が早くて助かるわ〜❳


召喚獣の子達が、それぞれ思い切り魔力を込めた攻撃が飛んでくる。

「おい! そこまでやれって言ってねぇ! 楽しめなくなるじゃねぇか!」

「魔力消費やべぇよ!」

「なんだよ、攻撃しろって命令しただけだろ!」

だからなんだよなぁ…。曖昧な命令に、仲間でもあるキャンディの”お願い”が上書きされたんだよ。

”攻撃”なのには変わりないんだから。

トラの子からは大きな火球、狼の子からは風魔法かー、珍しい。熊の子からは威圧の吠え声。

小さな子達も全力で放つ魔法が健気で可愛らしい。

今助けるからね!

飛んできた全てを魔法防壁で防いで消し飛ばす。 ❲さすがよ〜マスタぁ!❳


召喚獣の子たちが頑張ってくれたおかげで、奴らはフラフラ。

魔力が枯渇寸前で肩で息をしてるな。

ありがとうキャンディ。後は任せて。 ❲やっちゃえ〜ますたぁ!❳

心をバッキバキにへし折るなら…あれがいいか。

魔力ドームで全員を包む。

その上で、私にボコボコにされ、細切れにされ、生き返らされ…そんな幻覚を時間を早めた魔力ドーム内で延々と見せ続けてやる。 (えっぐ…)

私の大切な家族に手を出そうとした報いだよ…。 (リアたちにボコられたほうがマシだった…)

こういう類はね、何度も同じことを繰り返すんだよ。だから二度とそんな気が起こせないくらい心を折ってやらないと。 (ひぃー…というかもうリア達を抑えらんない! 案内するよ?)

いいよ。ありがとね。


「キャンディ、その子達はどう?」

「小さい子達は契約破棄できたわ〜。そっちの子達は後少しかしら〜」

「これだけ大きな子を召喚できてたくらいだから、多少強いか…」

「そうね〜。まぁでも〜ますたぁからしたらみんな雑魚じゃない〜」

「アイツらはそうだね。この子達のことは任せてもいい?」

「ええ。変わりにラムネを喚んであげて。待ってるから」

「わかったよ」

お休みに入るときに、あちこち行くから送還したままだったね。

ラムネ、おいで。

うん、また傍に居てね。よろしく…。


「アスカ!!」

「お姉ちゃん!」

「ねえ様が助けに来たよー!! 変な事されてないよね!?」

「お姉様…?無事なの…?」

「お嬢様!!」

「ママー、ティー到着!」

飛びついてきたみんなを抱き止める。

「心配かけてごめんね、この通り無事だよ」

「そうだろうと思ってたわ! でも…心配はしたのよ?」

「うん…攫ったとか言うから」

「そう言ってたやつらは瞬殺してやったけどねー」

「一瞬だったの…お姉様を攫ったって言った時にはボロボロに…」

「私の出る幕がありませんでした…お嬢様方は規格外ですよ本当に…」

「みんなも無事で良かったよ。ティーもピナさんもいてくれたし、みんなの強さを信じて正解だったね」

「当たり前よ!」

「ドラゴン舐めんなってー!」

褒めてほしそうにしてるから撫ぜておく。


「ところでお嬢様、これは…」

「あぁ、主犯の奴ら。再起不能になるまで心を折ってる最中だよ」

「当然の報いだわ。生きていられるだけ感謝してほしいわね」

「うんうん。私達だってムカついたけど、加減してあげたんだしー」

「リアちゃん達、加減してたのアレ…」

「ボロ布よりひどかったの…」

どれだけボコしたのやら。 (ピナさんが縛り上げてても目を覚まさないくらいに?)

まぁ、それくらいしてもいいよね。うちの大切な子達に手を出そうとしたんだから。


「ますたぁ、おっけ〜よ〜。全員開放されたわ〜」

「良かった…。その子達のことお願いね」

「ええ〜。任されたわ〜」

キャンディは召喚獣の子たちを連れて消えていった。


「さてと…ドーム解除するから、念の為みんな離れててね」

みんなが部屋の隅に寄るのを待って、ドーム解除。

「うわっ、くっちゃい!」

「これは酷いよー!」

やり過ぎたか?みんな白目向いて気を失ってるな。 (ママ、くちゃい!!)

はいはい。ごめんねー。クリーン!


「見たらいけないものを見たの…」

「ふ、ふん! いい気味よ!」

「お姉ちゃん。やり過ぎ…」

「召喚獣の子たちを開放するためだから仕方ないんだよ」

みんな、若干引いてるのは気のせいか? (惨状には引いた!)

まぁ、それは私も…。


クリーンかけたとはいえ、こいつ等には触れたくもないし、凍らせて放置するか。 (後で人を呼ぶの!)

だね。証拠映像と一緒に突き出してやる。

例の魔封じを解除していた魔道具だけは回収しておく。










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