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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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危機回避



自室でティーとのんびりしてたのだけど

「なんか上が騒がしくない?」

「ドタバタとうるさいの」

まさか、ユウキ達が認めてもらえなくて!?


慌てて二階へ上がり、両親の部屋へ飛び込むと…

「母さんストップ!」

「止めないで! また夕夜は!」

あ…、理解したわ。どうせ父さんがユウキのハーレムを羨ましいとか言ったんだろうな…。 (懲りないねぇ)


「言うくらい良いじゃねぇか。本気でナツハ以外の相手を探すつもりはないぜ?」

「…それなら、まぁ、いいかな?でもそういう事を言われるのもやだよ!」

「わかったわかった…」

珍しく父さんが母さんを止めた!?


いきなりブチギレた母さんに、挨拶しに来ただけのシャーラは怯えてる。

「ごめんね、うちの親が」

「う、うん…びっくりしただけ」

職業柄、あまり動じない筈のシャーラも、流石に恋人の親への挨拶って重大なイベントで緊張してたところへ、いきなり恋人の母親がキレだしたら戸惑うのも無理はない。


母さん達は当人達に不満がないのならと、シャーラも受け入れてくれたそう。

ただ、シャーラは文字通り住んでる世界が違うし、仕事もあるから常に一緒にはいられない。


話し合った結果、シャーラ専用に転移魔道具を作ることになった。

ユウキに持たせてるタイプのを少しイジっただけの物だから、波長を刻んだシャーラしか転移できない代わりに、消費魔力は少ない。

当然帰りも転移した地点へ戻るだけ。

大きく違うのは、ユウキの波長も刻んであるから、”場所をイメージして転移”ではなく”ユウキの傍”へ転移してくる。

プライバシー対策として、転移してくる時にユウキが察知できる。

後は”ちょっと待って”機能をつけておいた。

学校にいたり、お風呂入ってたりしたら大惨事だし…。

つまりは、ユウキが許可しなければ転移してこられない。


これにはシャーラが少し不満そうだったけど、ユウキが説得してた。

無意味に拒否したりはしないからと。

以前プレゼントしたチョーカーに追加で術式を刻んであげた。


「ありがとうお姉ちゃん…この恩は必ず返すから」

「気にしなくていいよ。シャーラには私のがたくさん恩はあるんだから。それに、もう家族なんだし」

「うん…なんか嬉しいよ。家族かぁ…」

まさかこんな形でかつての仲間が家族になるとは思いもしなかった。

当時は嫌われてるとまで思ってたし…。


一先ず今日は送り届ける。

寝てる間に置き手紙だけで来ちゃった師匠達にも挨拶しないと。



ーーーーーー

ーーーー

ーー



転移で戻ってきたら、すでに目を覚ましてた師匠とメリアさんが皇太后様に絡まれてた。

まだやってたの!? 

「メリアちゃんの子は男の子だから、アリッサちゃんの子を守ってあげないと! 女の子なんだから」

「お母様、気が早すぎます! と言うか、そもそもまだ何も…」

「そうです! 私はむしろ攻めだったと言うか…アスカの様子を見る限りそれらしい様子は何も…」

「アリッサ! それは思い出させないでって言いましたよ!」

「しかし…今はそれどころではないだろう?」

なにこれ…。


「姉ちゃん手を出してたのかよ…いや、出されてたのか?」

「違うから! 酔いつぶれて寝てた姿を見て勘違いされて…」

「あぁ…皇太后様って早とちりが凄まじいから。言動に気をつけないとダメだよ」

シャーラは簡単に言うけど、どう気をつけろと!? (アレは無理だよ!)

だよね?そもそも話を聞いてくれないのに。


「ユウキ…私も早く」

「それは待つって約束したよね?」

「むー」

スピネルまで感化されてふくれてるよ…。



結局、皇太后様はわかってくれたのか、誤解したままなのか、わからないまま皆が疲れ果てた。

「こんなに話が通じないことある?」

「だから言ったでしょ…」

ユウキも理解してくれて嬉しいよ。


「アスカ様、こうなったらもう事実にしてしまいましょう!」

「そうだな…それが一番いい。私も今は酔いが覚めているから大丈夫だ」

「待って…何を…?」


「ママ、借りるよー!」

「何を!?」

「転移ー!」

「「あぁっ!!」」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



「ナイス、ティー。あれはガチで姉ちゃんが危なかったな」

「ママはティーが守るの!」

私のストレージから転移魔道具を出してとんだのか…。 (あの二人は本気と書いてマジだった!)

鬼気迫る顔して躙りよって来てたもんね。思い出しても寒気がするよ…。

二人は何をする気だったのやら…。ありがとう、助かったよティー。 (あい! 危機回避ー!)



学園街のお屋敷に戻ってきたのは夜中だった。

母さん達に話をしに行ったのをリセットさせない為だから仕方ないね。 (ちゃんと考えたー)

ありがとねティー。 (デキる子ですから!)

本当にそのとおりだから、感謝しかない。


自分達の部屋へ戻るユウキとスピネルと入れ違いに、駆け込んで来たのは未亜達だった。

「うわっと…みんな慌ててどうしたのさ」

「ユウキ君、お姉ちゃんは!?」

「戻ってるよ」

「ありがとう!」

ユウキとスピネルだけ戻ってくるなんて事あるはずないのに、みんなは何を焦ってるのやら。


「アスカ、大丈夫?無事かしら!?」

どういうことよ。危険な場所へ行ってた訳でもないのに。 (ある意味危なかったけど)

「お姉ちゃん達を見送った後に思い出して…」

「なにを?」

「ほら、アスカの師匠とかだよー。襲われなかった?」

「ちっとも顔をださなかったからって、怒った師匠に訓練場へ連れて行かれそうになったくらいだよ」

「私達が聞いてるのはそういう事じゃないのだけど…その様子なら大丈夫そうね」

夜中に私の部屋で騒いでたからピナさんに見つかり、みんな仲良くしかられて…。


「お嬢様方は早くお休みください。いくら学校がお休みとはいえ、お身体に障りますよ」

「私は大丈夫だから、みんなも早く休みなよ」

渋々、本当に渋々…といった様子で部屋を出ていくみんなはピナさんに急かされて追い出されるように私の部屋を出ていった。


それにしても…師匠とメリアさんに、ちゃんと挨拶もしないで帰ってきちゃったなぁ。 (そんな悠長な…)

二人ともなんか怖かったからね、次に行く時が不安だ…。 (警戒は大事!)

師匠達相手にそんな風に考えたくないんだけどなぁ。











今月で連載を始めて一年経ってました。

細々と上げているお話をいつも読みに来て下さっている読者様に最大級の感謝を!

これからも読みに来ていただけると嬉しいです。


「まだまだママもティーも活躍するから、見に来てほしいのー!」

「ティー何してるのよ?」

「ごあいさつー?リアもするの!」

「えっ?急にそんなこと言われても困るわ」

「じゃーいいの」

「しないとは言ってな…」

「またねー!」

「ちょっ…」


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