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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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暴走する妄想



寝てしまった師匠を団長室へ運ぼうとしてたら、時間の空いたメリアさんが、私を探してわざわざ食堂まで顔を出してくれた。

師匠を部屋に運こんだら、メリアさんの部屋にお邪魔するからと言ったのだけど、ついてくるってきかなくて…。なんか申し訳ない。

魔剣士団の人達が敬礼したまま固まってたのも申し訳無かった。食堂って気を抜けるみんなの憩いの場だから…。

「メリアさん、おそらく師匠の部屋ぐちゃぐちゃですよ?」

「構いません。もう二人きりには…」

あ、前の事があったから? (朝帰り?)

その言い方だと何かあったみたいじゃない。 (……)


「あれっ…部屋が散らかってない!?」

師匠を抱えて運び込んだ団長部屋は、散らかした後に私が前に片付けた状態に戻そうと頑張ったのか、思っていたよりもずっとキレイだった。

「…アリッサも寂しがってましたから…嫌われたのかもしれないとお酒も控えてたりしてたので」

「そうだったんですか…」

ごめんなさい師匠…。

ベッドへ寝かすも案の定、離してくれなくて。

「アスカ様、早く行きますよ。報告してくださるのでしょう?」

「は、はい。そうでした」 (さすが皇帝陛下…)

なにが? (べつにー)



何とか師匠の腕を解いて寝かせた後、メリアさんの私室へ移動。


精霊が、作付け範囲に目印を付けてくれる事や、他国も精霊が再生を始めてるって話も伝えた。

願わくば、どの国も精霊と上手く共生してほしいと伝えた。

「そうですね、他国への書状にその旨、伝えておきます。勇者様のお名前をお借りますけど宜しいですか?」

「勿論です。ありがとうございます」

私にはこれくらいしか出来ないけど…


「アスカ様も飲まれますか?」

報告も終わったからか、部屋の隅にある棚からメリアさんが出してきたのは豪華な瓶…

「お酒は飲みませんよ?飲んだところで酔いませんし」

「そうなのですか?残念です…」

アルコールって状態異常扱いになるから効かないんだよね。 (酔わせて、いただきまーす! はママには出来ない!)

なにそれ…。

私とティーには紅茶を淹れてくれたから頂く。 (ママのラングドシャと合うー)

まだ残ってたのね。 (少しずつ食べてる!)

そう。また何か作るよー。 (わーい!)



メリアさんもお疲れなのか飲みながら色々と愚痴を聞かされた。

先代様ご夫婦が引退したのを幸いに、すべてメリアさんに任せてのんびりいちゃいちゃしてて腹立つとか…。

師匠がここ最近使い物にならなかったとか…。 (これはママのせい)

あの師匠がねぇ…。想像できないや。

そして、酔って甘えてくるメリアさんも初めて見る。

「私も寂しかったのですよー?現地妻を放置するなんて…酷いです」

その肩書、絶対に皇帝陛下が名乗ってはだめだと思うのだけどなぁ。

私の太ももを枕にして寝てしまったメリアさんを何となく撫ぜる。

「心配かけてしまったのは申し訳ありませんでした…」


「メリアちゃーん! あら…あらあらあら!」

厄介な方に見られてしまった気がするなぁ。 (皇太后様おなーりー)

ノックもなしに部屋へ飛び込んでくるからびっくりしたよ…。相変わらずよく分からない方だわ。

「お邪魔しております」

「いつでも来ていいって言ったじゃない。それより…これは事後?」

なんの話よ…ティーも居るのに! (子供の目の前でそんな…)

やめなさいって。 (ふふっ…) 


酔って寝ているだけだと説明しても話が通じない。

「その様子だとメリアちゃんが受けかしら。私もついにお祖母ちゃんね!」

もうこの人ヤダ…。 (ティーに弟か妹が!?)

はぁもう…。


ユウキはどうなったか気になるのに! (修羅場ー)

マジで…? (…には、ならなかったの)

どっちだよ! (スピネルとシャーラが意気投合しちゃって、シャーラが二人目の嫁になった)

まさかの展開…。 (ユウキだけ頭抱えてる)

そっちもヤレヤレだな。でもまぁ、平和的に解決したのなら良かったのかも。


と言うかハーレムはユウキじゃん! (姉弟揃ってハーレムとか…)

私はちがっ… (違わないよ?今もほら…)

酔って寝てるだけよね!? (そう思ってない人がいるし)

あの方はもう…ね?話が通じないんだもん。


今はもうあの方の中では子供が生まれたとこまで話が進んでるようで、子供部屋はどこにしようかとか言ってるんだよ? (妄想が暴走してる)

「子供達が住みやすい国にしなくてはダメね。これからは教育もしっかりとしていかないと」

多分、そろそろ子供が小学生くらいになってるなあれは…。 (妄想も子供もひとり歩きしだした)

上手いこと言うとる場合か! (ママからツッコミもらえたのでオッケー!)



「…アスカ、ここか…?」

「師匠!? 大丈夫ですか…?まだ酔ってるのに動くと危ないですよ!」

そんなフラフラでここまで来たの?髪もボサボサでなにしてるのよ…。

「…メリア…私のアスカを持ち帰りやがって…」

持ち帰られたわけではないです!

フラフラの足取りのまま、隣に来た師匠はメリアさんと反対側から私の太ももを枕にしてきて、完全に身動きがとれなくなった。

「あらあら…今度は女の子かしら」

一人目は男の子で妄想してたのか。 (ちょっともう怖いの…)

うん…。



暫くしてから、ユウキがスピネルとシャーラを連れて話をしに来てくれた。

ノックの音を聞くか聞かないかで、素早く扉を開けて招き入れた皇太后様は、本当に何者なの!? (妄想中なのに…)


「姉ちゃんもかよ!」

「”も”って何!?二人は酔って寝てるだけ!! 一緒にしないで!」

部屋に入るなり何言ってくれてんの!?


「この国のトップ二人を手懐けてるお姉ちゃん凄すぎる…」

「ちょっとシャーラ!?  それより、そっちはどうなったの?話してくれる?」

「あぁ…えっと…」

「私が第一嫁」

「ボクが第二嫁」

「そうなりました…」

ぐったりしてるユウキは抵抗虚しくといった感じか。

シャーラもユウキがいても話し方が落ち着いたのはスピネルのおかげかな?


最初は怒ってたスピネルだったけど、下位とはいえ同じ闇精霊と契約していて、闇精霊をよく理解してるシャーラを気に入ったらしい。封印されてたりしたから、理解者には甘いのかな。 (チョロい…)

言い方…。

シャーラも闇精霊のスピネルが一番なのは当たり前だからと、第二嫁で文句も無いそうで。

弟のハーレム宣言をどう受け止めたらよいのやら…。

「ちゃんと大切にしなさいよ…」

「わかってる。こうなったら腹くくるよ」



師匠とメリアさんには別の枕を用意して…


ー (すっごい無駄な転移!)


だって、シャーラが母さん達に挨拶しに行きたいって言うから。あのままだと動けないじゃない。

皇太后様に挨拶は…できなさそうだなぁ。 (孫二人とお出かけしてるみたい)

妄想力半端ないな!


師匠とメリアさんにはそれぞれ置き手紙だけしてと…。


ドラゴライナ王国へ転移ー!


ーーーーーー

ーーーー

ーー


「夜にとんだから、二人ともいるよ。話しておいで」

「ありがと、姉ちゃん」

「いいよ。これくらい」

私達はのんびりしようか。 (はーい!)












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