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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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叱られても嬉しいと思える理由



お屋敷へ帰宅後、どこへ行っていたのかとピナさんに問い詰められて…四人仲良く叱られたのは仕方ないんだろうなぁ。

食事したりのんびりしてきただけとはいえ、誤解を招く行動をしたのは間違いないし。

別に学生が行ったらだめって訳ではないのは異世界らしいなぁ。…で済ませていいのか?

まぁいいか…殆ど学生しか居ない学園街にあるくらいだし。


ただ、私達が王族で、継承権一位の私が行くのは流石に…って。

婚約者がいる訳でもないから、まだいいらしいけど。

こちらの貞操観念がよくわからない…。

「陛下にそっくりですよ全くもう!」

アキナさんに似てると言われるのは嬉しいけど、こんな事で言われるのはダメだよね…。


でも…こうやって叱ってくれる人がいるのはなんだか嬉しいと思った。

両親は傍に居ないことが殆どだったし、一番叱られた師匠は、すぐ手が出るような理不尽なもので、ファリスはあくまでも魔王の側近としてだったから。




夕飯までにはまだ少し時間があったから、お屋敷の広い庭にチョコ達を喚んだ。

「ますたぁ〜!」

「みんなどうしたの?そんなくっついてきて…」

キャンディはいつもだけど、チョコ達まで甘えてくっついてくるから…。


「私達は嬉しいのよ〜召喚獣の為にますたぁが本気で怒ってくれたことが!」 

「大切な家族だもん当たり前だよ」

「私達は、ますたぁが主で本当に幸せよ〜」

チョコ、クッキー、ラムネからも同じ感情が伝わってきて胸が一杯になる。

「私も皆が私の召喚獣でいてくれて幸せだよ…」

こんな風に感情のある子達と心を通わせないなんて本当に勿体ないと思う。

想いは伝わるし返してもくれるんだから。


キャンディから詳しく話を聞けたことで、鷲型召喚獣の子が魔召界で元気にしてる事も、教師が召喚獣を一切呼べなくなった理由も判明した。

「誰に呼ばれるか分からない状態なら多少の希望もあるから応じるけど、はっきり無能と分かってる相手に喚ばれたって誰も応じないわよ〜」

なるほどなぁ。


一人で何人も召喚獣を維持するには相応の魔力が必要になる。

だから基本、契約するのは一人に一人。稀に二人契約することはあっても同時に喚び出そうとしたら自身の魔力総量を超えてしまう。 (ママは魔力が多いから?)

うん。全員出してても問題ないし。 (普通なら…)

二人目を喚ぼうとした時点で魔力が足りなくなって強制的に送還されちゃうでしょうね。 (さすママ!)


嬉しい報告は、私が話をした召喚科の子達の、召喚獣との関わり方が良い方へ変わってきてるってことだろう。

「小さな子達が嬉しそうに話してくれたわ〜。ますたぁに会えたこともね」

「そっか。少しは改善されたのなら良かったよ」

「ええ〜。また、ますたぁの評判は爆上がりよ〜」

「じゃあさ?みんなにお願いがあるのだけどいい?」

「ますたぁのお願いなら無碍になんてしないわ〜何でも言って〜」

チョコ達も同じように快諾してくれてるからティーの事を相談してみる。 (ドキドキ…)


「…ますたぁのためにねぇ〜健気じゃない〜」

「うん、だから叶えてあげたいんだけど…」

「ティー本人はどんな子が良いとか希望はあるの〜?」

「乗せてくれると嬉しいの! でも一番は仲良くなれる子が良い! ママ達みたいに…」

「さすが、ますたぁの子ね。よくわかってるわ〜。少し時間をもらえるかしら〜」

「ティー待てるよ!」

キャンディが言うには、ティーが喚ぶのも争奪戦になりそうって。さすがうちの子!

相性の良さそうな子を探してくれるらしい。ありがたいよ…。

大切なティーの相棒になる子だし。


ラムネはこのままこちらに残るから、準備ができ次第教えてくれる。 (わーい!)

良かったね。会えるのを楽しみに待とう。 (うんっ!)



明日は朝から魔道具科の授業があるから、一度こちらの魔道具作成用の筆型魔道具を詳しく見てみよう。

部屋へ戻り、筆を解析する。

「ママ、どんな感じ?」

「んー、やっぱり魔力効率が悪いし、”刻む”ではなく”書く”だから、失敗した時の書き直しは楽だけど、効果はかなり薄いね」

「それでもママは課題でアレを作ったの?」

「魔刻刀で刻んでたらアレより五割以上の威力アップは出来てるよ。筆先に魔力で刃物を作るイメージで無理矢理”刻んだ”からね」

「無茶するの!」

「ある物で作るにしても、最善は尽くしたいじゃない」

魔刻刀を使わなかっただけ、我慢したんだよ…?


「この筆も、せめて魔力効率だけでも上げてしまいたい…」

「ママのだしいいんじゃない?」

「かな…私しか使わないし」

「それでどれくらい変わるの?」

「普段この筆を使ってる人で、三割増しってとこかな」

無駄な術式を消して、効率重視で刻む。余裕もできたから隠蔽もできるな…。


「お姉様、いるの…?」

「シエル?入っていいよー」

どうしたんだろう。 (色々作ってたから!)

なるほど。


「お姉様、これ…」

シエルが渡してくれたのは制服に合いそうな髪飾り。

スチームパンクを理解してるかのようなぴったりなデザイン。

「ありがとうシエル、可愛いね?」

「これに、お姉様が何か魔道具つけれる…?」

「そうだな…」

小さなシルクハット型の帽子に歯車やリボンがついてるから…。

「この歯車を回す…とか?」

「できるの…!?」

「うん。歯車の中心に小さな魔石を嵌めれば」

「すごいの…!」


一つ作って見せたらシエルも気に入ってくれたからみんなの分を量産。

本当にただ、くるくると回るだけなのだけど、シエルのデザインが可愛いから映える。

髪を巻き込まないように安全対策はした。

「こっちもできる…?」

「ユウキの眼帯か…大丈夫よ」

「スピネルさんのも…」

「あ、そうなの!?」

あのカップルはどこへ向かってるんだ!? (中二の境地)

帰ってくるのかそれ…。 まぁ、二人が好きでやってる事なら良いけどね。 (ママは諦めの境地)

誰がうまいこと言えと。


眼帯にも、回転する歯車と、こちらも髪を巻き込まない細工をして渡す。

「ありがとうなの…喜んでもらえるの…」

「レウィのは?」

「服を着れなくて、首輪とスカーフしかないから悩んでるの…」

そっか、召喚獣扱いなんだっけ。


「マジックバッグはつけてるよね?」

「うん、あっ…」

「そっちにつけてあげたら?」

「うんっ!」

これでみんなお揃いになるな。

楽しそうにしてるシエルを見てると、本当に来てよかったと思えて…つい撫ぜてしまう。

不思議そうに見上げてきたけど、すぐに笑顔を見せてくれた。


その後もしばらくシエルと、あーでもないこーでもないと、改造をしていたら”夕食ですと何度もお呼びしてるのに!”と、また叱られてしまった。

集中してるとつい…。 (楽しそうだったの)

シエルとのこういう時間は大切にしたいからね。








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