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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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召喚科のその後



放課後、うちの子達と待ち合わせてお屋敷へ帰宅。

シエルが嬉しそうに服飾科での話してくれた。

「新しいデザインとか色々思いついたの…!」

そう言って、スケッチを描いてるシエルは本当に楽しそうで。

学園に来たかいがあったと実感できたのは励みになった。

いいことも少しくらいないとやってらんないよ…。



帰宅したユウキがみんなから話を聞き出して、”姉ちゃんはまたやらかしたのか”と言われた。

カッとなってやった。後悔はしてない! そう言ったら呆れてた。 

逆にピナさんは…

「お嬢様にそんな態度を… 直接的なダメージは無いでしょうが社会的には終わりましたね! 流石ですお嬢様!」

舐められたらダメって言われてたしこれで良かったのかな? (うん! ピナさんは褒めてくれたし)


ただなぁ…明日も授業の予定がある召喚科はどうなるのやら。

魔道具科は明日は予定がないから、私は午前中で学園は終わる。

「アスカ、明日の午後は予定あるー?」

「ううん。授業もないからね。ティアねえ様達も?」

「うん! だから、制服デートしよー?」

「ねえ様! ズルいわ」

「早いもの勝ちっていったじゃんー」

「…みんなで一緒にいこう?いいよね、お姉ちゃん」

「私はそれでもいいけど…ティアねえ様はいいの?」

「仕方ないなぁ。私は大人だからね!」

ティアねえ様が大人どうかはよくわからないけど、揉めないでくれるのなら私はありがたい。


ユウキはレウィとスピネルをつれて冒険者科で狩った素材を売ったり、必要な物を買いに行ったりするから別行動。

シエルは作りたいものがあるからと、お留守番。

お付きメイドのラフルさんが残ってくれるから大丈夫かな。

「ティーもお留守番してる!」

「一緒でもいいのよ?アスカと離れたくないでしょう?」

「ママはママだから! デートの邪魔はしないの!」

私は寂しいのだけど…。 (会話は出来るし。シエル一人にするの可哀相なの)

確かにそうだね、ありがと。 (ん!)


ピナさんとフラウさんが同行するから初めからデートになったのかは怪しいところだ。

保護者同伴みたいなものだし。

リア達は不満そうだけど…


ティアねえ様が学園で仲良くなった子に良いところを教えてもらったから、行き先は任せてほしいと張り切ってる。そういう事ならお願いしよう。

学園街のお店も何も知らない私は、申し訳ないけどエスコートとか出来ないし…。



夕食はメイドさんが用意してくれていたから、それを頂いた。


私はティーに持たせてあげるデザートを作る。

「ママ、何作るの?」

「せっかくだから、ティーの大好きなものを持たせてあげようかと思ってね」

「プリン!?」

「正解!」

「おー! プリン〜プリン〜♪」

小躍りしてて可愛い。


ティーとニ人でキッチンへ来て準備していたはずなのだけど、気がついたらピナさん達が手伝ってくれてた。

洗い物とかしてくれるから助かる。

多めに仕込んだからみんなの分もあると伝えたらすごく喜んでくれた。

冷やしておいて、明日持っていこうね。 (はーい!)




翌日、学園の校門前広場で別れるときに”今日はデートだからね!”と三人に念を押された。

そんなに何度も言わなくてもわかってるから…。

プリンをマジックバッグに入れて、ルンルンなティーと手を繋いだピナさん達とも別れて、召喚科の教室へ向かう。


教室内には昨日はいなかった上級生達も集まっててかなりの人数。

みんな昨日の事は耳にしているようで、どうなるのかと話してるのが聞こえる。

申し訳ない気持ちが無いわけではないけど、召喚獣の為にもあんな教師には退場してほしい。



「みんな揃ってるわね? 話は聞いてると思うけど説明するから席についてもらえる?」

教室へ来たのは、まさかの学園長。

これからの事を説明してくれると。

「新しい教師の手配はしてあるから安心していいわ。ただ、急なことでしばらくは自習になってしまうからそれは許してね」

既に手配できてるのが凄すぎると思うんだけど…。


「学園長先生!」

「はい?」

「自習の間はアスカ様に教えて頂いてもいいですか?」

私!?ちょ…え?何を言い出すのモルチアナ!

「私もー!」

「俺も!」

昨日一緒に授業を受けてた子達が同調してて、大変な事に。

「勿論構わないわ。アスカちゃんもいいかしら?」

「…はい」

断れる雰囲気ではないし…。

流石に上級生までは混ざっては来なかったけど、噂を聞いてるからか興味はありそうな人も。


当然反発もあって新入生から教わるようなことはないって声も聞こえる。

それはそうだろう。私もわざわざそういう人とまで関わりたくはない。


今日はこのまま解散となったけど私は学園長に呼ばれて別室でお話があるそう。

私も話しておかなきゃいけないことがあるし、ちょうど良い。



学園長室で向かい合い座る。

「気になってるでしょうから、先に問題の教師のことを話しておくわね」

確かにどうなったか気になるな。


例の召喚科の教師は、召喚獣を呼べなくなっていると。

まぁこれは当然だよね。召喚獣の方から一方的に契約破棄したようなものだし。

挙げ句、新たな召喚に誰も応じなくなったらしい。 (ざまぁ!)

こっちはラムネ達がなんかしたな…。 (ほめてあげないと!)

そうだね、後で聞いてみるか。


教師が生徒の前で失った尊厳は戻らないどころか噂はすごい速さで学園中を駆け回ってるようで…。

ある事ない事、尾ひれがついてるのはお約束なんだろうな…。 (ママも噂されてる)

…そうなるだろうね。 (竜を従えた白銀の姫)

退学していいかな!? (リア達がなくよ?お休みの日とかの為にデートのプラン練ってるのに)

約束したしなぁ…。

今日も行くのに?とか言ったら怒られるんだろうけど。 (当然)


教師の直接的な処罰っていうのは、学園がというより国で行うって聞いて、なんで!?と思ったけど…

「他国の王族へ直接攻撃したのよ?証言も生徒達から取れてるわ」

なるほど…。

「見学していただけの生徒達にも向けて攻撃したらしいじゃない?何考えてるのかしら…教師のくせに!」

実際には当たらなかったとはいえ、生徒への攻撃により、親である貴族各家から訴えられて大変な事になってると。

イキリ散らかす為に利用していた後ろ盾とやらの公爵家も、それを見て切り捨てたらしい。


私は元教師からの賠償金と、生徒を守ったからって、親の貴族たちから報奨金が貰えるんだとか…。 (またお金が増える…)

…みんなに何かプレゼントするか。


「まさか初日で一人退場させてくれるとは思わなかったわ…手を回していたのに間に合わなかったし」 

そう言いながら笑う学園長。私は何を期待されていたのか。

学園長室でお茶を頂きながら聞いた、事の顛末はこんなところ。

色々と仕事が早いのは事前に準備してたからで間違ってなかった…。



私からも魔道具科の教師姉妹について話があると伝えて…

「すみません、遮音の魔法かけますね」

「そこまでの事ね?わかったわ」


公爵家にある、魔道具店デザイアに関する不正の証拠が地下の秘密の部屋に集められてる事を伝えた。

「……嘘でしょ? 疑ってはいたけど、一切証拠なんて出てこなくて…それをいきなり見つけた!?」

「はい、私の子が…。ただ、持ち出すことはできないんです」

「持ち出せたとしても、不正に入手したら証拠として成り立たないわ。捏造だと言われたらお終いよ」

確かに…。


「かといって踏み込んでも、そこへたどり着くまでに処分されたら意味はないし…」

「手引するような人が必要だと言うことですか?」

「ええ…何人か潜り込ませてはいるけど、今はまだ難しいわね」

「そうですか…」

「それにしても、なんでそんな証拠を処分せずに持ってるのかしら」

それは私も気になった。 (デザイアを脅迫するためー)

てことは魔道具店も、教師姉妹も被害者? (そこまでは…)

まぁそっか…。現にデザイアは大儲けしてて、潤ってるんでしょうし。 (うん。大富豪)


学園長にも、証拠を残してる理由を説明したら納得してた。

「裏切ったら巻き込んで共倒れ…もしくはすべての責任を押し付ける気ね…何処までも悪どいわ…」

頭を抱える学園長は、今は何も出来ないから手を出さないようにと私に念を押した。

私も無理に関わりたくはないから有り難い。



ティアねえ様達を待たせちゃったかな。 (校門で待ってるよー)

ありがとティー。 (ティーはおーじにプリン渡したらピナさんと帰るの)

わかったよ。 あれ、ピナさんとフラウさんはついて来るって言ってなかった? 

気を利かせてくれたのかな…。 (リア達がさっき必死に抵抗してたから…)

そっか…。よくあのピナさんを説得したな。









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