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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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お菓子と召喚獣



召喚科の授業は教師が使い物にならなくなった事で終わった。

副教師がなんとか取繕おうとしてたけど、生徒達が聞く耳を持たない。

教師に攻撃されたんだし、当然と言えば当然か。あの副教師も止めもせずにニヤニヤしてたし。

誰も話を聞かないから、諦めた副教師は白目を剥いた教師を引きずって去っていった。


グラウンドに残された私達はどうしたら!? 

そう思っていたら、私はお礼を言われたり、ラムネの事を聞かれたりと忙しくなった。

中でも一番話しかけてきたのは例の縦巻きカール…名前はモルチアナと名乗ってくれた。

伯爵家のご令嬢で、公爵令嬢の取り巻きをしていたけど、顔に怪我をしたのに誰一人心配もしてくれなかったから、取り巻きをやめたらしい。

しかも、どうやら足をかけたのは取り巻きの誰かだと…。後ろから押されたから間違いないそう。

「私が怪我をすれば、その責任をアスカ様に押し付けられると考えていたようで…」

どおりで派手なコケ方したわけだ。 わかってたら避けずに助けたのに…。悪い事したな。 (付き飛ばそうとはしたし) 

そういえばそうだったね。まぁ、今更そんな事どうでもいいや。


取り巻きをそんな簡単にやめれるものなのか、私にはわからないけど、モルチアナが新たなターゲットにならないよう気をつけてあげなきゃいけないな。 (手間が増えた!)

根が悪い子ではなさそうだし、それくらいいいよ。

ただ、やたらベタベタしてくるのはやめてほしい。今も腕を組まれてるのは何なのだろう。 (…ママはまたかぁ)

なにが!?


「アスカ様、聞いておられますか?」

「ごめんなさい、どうしました?」

「ですから、召喚獣とのコミュニケーションの話ですわ」

「えっと、召喚獣には意思や感情といった心があるというのはさっき話したと思いますが、仲良くなると魔力だけじゃなく心も繋がると言うのでしょうか…そうすると、かなり細かく感情を伝えてくれますよ」

「仲良くなるにはどうしたら…」

「私は大切な家族だと思って接してます。名前をつけてあげて…そうですね、皆それぞれ食べ物の好みもありますから、まずはそれを聞いてみたりするといいかもしれませんね」

「えっ…召喚獣って食事するの!?」

「初めて聞いた!」

周りで私達の話を聞いていた子達も、それぞれ反応してくれる。

食事をしないキャンディみたいな子は特殊だしなぁ…。



何人かはすでに召喚獣を喚べるらしく、見せてくれた。

召喚獣をまだ持ってない子は羨ましがってる。

私が授業の妨害しちゃったから喚べなかったんだよね…ごめん。 (あの説明で喚ぶのはリスクが…)

そうなんだよね…。しっかりと安全対策とか準備をしないといけない。その上で喚びたい相手を明確にイメージすればそれに応じてくれる。 (じゃないと魔王を喚んで校舎を破壊される事になるのだー!)

…そうね? 



生徒の召喚獣は小さなリスみたいな子や、猫っぽいのとか、小動物みたいな子ばかりで可愛かった。 (みんなママに懐く…)

そうなんだよね、当たり前に寄ってきて撫ぜさせてくれたりするから、主の子達のがびっくりしてた。

「私なんて触らせてももらえないのに、なんで…」

これ、まさか…キャンディが言ってた魔召界での噂か! (ママは魔召界でも人気)

実際にこれだけみんなに懐かれると実感してしまうよ…。


「オレのは、トカゲなんだが…大丈夫かな」

「平気ですよ、おいで…」

手を出してあげたら登ってきてくれた。うん、かわいい。

「女子なのにトカゲ平気なんだな。家で妹に見せたら泣かれたから…」

「それぞれ好みはありますから、それは仕方ないですよ」

「私はへーきかな!」

「私はちょっと苦手かも…」

コレばかりは意見が割れても仕方ないと思う。私も虫は無理だし…。

幸い召喚獣には虫系統はいないはずだからいいけどね。 (アラクネとかは?)

いないね。テイマーが魔獣使役してたのを見たくらい。 (へー!)

あれは絶対、美人な上半身目当てだったけどね…。 (さいてー)

確かに私が見たのは美人だったから。 (ママもそっち系?)

なんの話よ…。 (魔獣しか愛せない! 的な…)

もしそうならキャンディとそうなってるでしょう。 (確かに!)

まったく…



みんな召喚科を選んでるくらいだから、当然召喚獣に関して興味津々みたいで、色々と質問されたから解る範囲で答えたりした。

「あ、お菓子食べますか?召喚獣の子も食べる子がいるかもしれませんし」

折角作って持ってきている、ラングドシャとカップケーキも誰かにあげなきゃ持ち腐れになる。

召喚獣の子たちが食べてくれたら嬉しい。 (生徒より!?)

え…うん。だって可愛いし。



まずストレージに驚かれ、次はお菓子に…

「これ、どこで買ったのか教えてくださる!?初めて食べたけどこんなに美味しいもの初めてです…」

「ごめんなさい、私と妹達の手作りなので…今出してる分がなくなったらお終いです」

一瞬止まった生徒達は、取り合いになりそうだったけど、モルチアナが止めてくれて、公平に分けるみたい。

なんだろあれ、ジャンケンみたいなのかな? (ぽい?)

何かのモノマネでもして勝ち負けを決めてる感じだけど…。 (あ…)

うん? (食べちゃってる…)

あっ…。 主達が目を離してるスキに召喚獣の子達が分け合って食べてしまってるな…。 (頭いい)

うん、すごく利口だよ。考えて行動してくれるからね。 (だからママはお願いするの?)

そう。そのほうが柔軟に対応してくれる。 ほら、命令されてた鷲の子がいい例だよ。 (あぁ!)

変な命令をされちゃうと、それを実行しようとして、自分の危険も顧みずに無茶するからね…。 (可哀相…)

そうだね…。だから鷲の子も被害者なんだよ。



召喚獣の子達が分け合って食べてる事に気がついた生徒達は崩れ落ちててちょっと面白かった。

「なんで私達より上手に分け合ってるのよ…」

「これが、この子達に心…感情や知性もある証拠ですね」

「うん、納得した…だって、あんな上手く自分達で分けてるんだもん。うちの子はベリー好きなのかな…」

「なぁ、これって、取り合いしようとして止められた俺達より頭いいって事じゃないか…?」

「うわぁ…それ知りたくなかったかも! でも、心があるって…そう考えたら前より可愛く思えてきた!」

そう言って、自分の召喚獣を抱きしめる女の子。猫っぽい召喚獣も、まんざらでは無いみたい。


「確かに…話しかけて返事をしてくれるようになったら最高じゃないか?」

「うん。私、一人っ子だから嬉しいかも」

「なんかやる気出てきたな!」

「そうだね、私この子と仲良くなりたい!」

これはいい流れかな?キャンディの言ってた、質の悪い召喚者が少しでも減ってくれれば私は嬉しいよ。

そうなれば不幸な召喚獣も減るはずだから…。



トラブルはあったけど、召喚科の子達とは少しは仲良くなれたかもしれない。

お昼は未亜達と約束があるから、一度戻った教室で別れたけど、次の授業が少し楽しみかも。 (授業あるの?)

あっ… なんてこった…。教師いないじゃん! (ママが教えてたけど…)

……確かに。午前中の召喚科の授業の間中、グラウンドで話ししたり、お菓子食べたりしてたな…。





お昼は学園の食堂へ行き、未亜達と食事。

例のステーキもあったけど、違うメニューもあって助かった。 (ティーも食べてる!)

何もらったの? (重ねたハムと野菜のハーモニー)

ここもそんなネーミングセンスだっけ!? (真似しただけ!)

そっか、びっくりした…。あのネーミングがここのデフォだったらどうしようかと思ったよ。 (ママは?)

私はクロワッサンサンドみたいなのを食べてるよ。 (美味しそう)

美味しいよー。生野菜サンドだけど食べやすい。 (肉は…)

ない! (えー…せめてハムかベーコン)

これはこれで美味しいのに。


「お姉ちゃん、授業大丈夫だった…?なんか変な噂を聞いたんだけど…」

「教師が生徒にケンカふっかけて、返り討ちにあって漏らしたとか聞いたわよ?」

「私は、教師が恐怖で漏らしながら土下座したって聞いたけど!」

なんかちょっと韻ふんだな?


「うちは、白銀の姫はお菓子も作れるって聞いたの…」

噂がえらい事になってない? (あながち?)

……。

みんなに何があったかを説明して、嘘の情報は訂正…

「大体噂通りね…」

「うん。お姉ちゃんは初日からやらかし過ぎだよ!」

「いいじゃん、私だってうどんを雑魚とか言われたらキレるよー」

だよね!? (久しぶりにガチギレのママを見たの…)

ごめんって…。ずっと一緒にいたラムネをあんな風に言われたら、許せなかったの! (ママは悪くない!)

ありがと…。


「レウィちゃんは大丈夫かな…」

「大丈夫よ、シエル。レウィも強いし、ユウキもついてるから。ね?」

「うん…」

シエルもエルフの耳を隠すよう偽装してるから、レウィの気持ちを多少なりともわかるのかもなぁ…。ごめんね…。

撫ぜてあげたら安心したのか笑顔を向けてくれて、少しホッとする。

「大丈夫よ、アスカ。私もねえ様も、未亜もいるのよ?」

「そうだね、頼りにしてるよ」

「任せて!」

こういう時、リアは敏感に反応してくれるなぁ。ありがたいよ。


「お姉ちゃんは午後の授業あるの?」

「魔道具だね、みんなは?」

「私達も服飾科の授業だよ。シエルちゃんお楽しみの!」

「うん…楽しみなの…」

「楽しんでおいで。折角学園に来たんだから」

「はいなの…!」



昼食後、ファミリンをユウキに繋いで無事の確認。

”姉ちゃんは心配し過ぎ。レウィもいるんだよ?”

「わかってるけど、二人にはお昼に会えなかったからね」

”わう!”

「レウィも元気そうね」

”うん。学園の用意するクエストなんて、片手間だから大丈夫だって”

「油断して、足元を掬われないようにね」

”わかったよ。姉ちゃんもやらかさないでよ?”

「………」

”…帰ったらみんなに話聞くからな!”

ヤブヘビだった…。  









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