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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第六章

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ドラツー 出発



「お嬢様、そろそろお目覚めの時間です」

「んぅ……ふへっ!?」

びっくりしたぁ…変な声出た。

探索を切ってたとはいえ、部屋にメイドさん達が入ってきたことに気がつかなかった…。

自分の一部とも言えるドラツー内なのに。 気を抜きすぎてたか?


「おはようございますお嬢様」 

「おはようございます…」

「そろそろお召変えに慣れていただきますからね」

「はい…」

これは顔合わせしてからずっと言われてた。学園へ行ったら身の回りの事や、着替えさえ自分ではやらないようにって…。ギリギリまで抵抗したけど、流石にもう無理か。


みんなも起こされて、それぞれメイドさんによって着替えさせられていく。

寝ぼけたリアがフラフラしてるけど大丈夫かな…。


「皆さん嫁入り前なのですから、同衾は如何なものかと思いますよ?」

ピナさんにお小言を言われるけど、それは私じゃなくてみんなに言ってほしいなーなんて思うわけで。

結局リアも、ティアねえ様も夜はこっちに来たんだよね…。せっかく大きな部屋を用意したのに。


「そんなところまで陛下に似なくてもよろしいですのに…」

いやいやいや…。 (まぁ、はたからみたらハーレムだし?)

私、手をだしたりしてない! (世間一般ではママの状態は間違いなくハーレム)

うぅ…。


ティーと話してる間に、着替えも髪の手入れも化粧もバッチリされて、私達はどこへ行くのか…。 (ドラツーのリビング)

その通りなんだけどね!

慣れなきゃいけないと思いつつも、お嬢様扱いは中々に難易度が高い。


ルナシアさん達の部屋へはドラゴン姉妹を担当するフラウさんが行ってくれて、寝ぼけたフィアとニレもフラフラとリビングへやってきた。さすが姉妹…リアにそっくりだわ。

「危ないわよ。二人ともちゃんと起きなさい」

「ふわぁ… あれ…ここどこ?」

「ママのドラツーだった!」

「そうだった!」

覚醒した途端テンションマックスで走り回るのね。子供ってすごい…。


朝食もすでに用意されてて、美味しく頂いた。

ピナさんが冷蔵庫の魔道具を大変気に入ってくれたから、色々と入れておいた。

中に入れてある食材は、誰でも自由に使える。ジュースとかもみんな自由にのんでるし。

それで朝食を作ってくれたみたい。

コンロやオーブンも使い方を教えたらあっという間に理解してたから、メイドさんってすごい。



朝食後、リア達はまたフィアと遊び場へ出かけるらしいから、お昼までには戻るように言っておいた。

ドラツーに残ったのは私と未亜、シエル。 

ユウキとスピネルは…部屋かな?

あとはメイドさん達だけど、動き回ってるなぁ。お掃除はしなくてもいいって言ったんだけど…。

まぁいいか。今のうちに私はお菓子の下準備でもしておこう。


ラングドシャは卵白しか使わないから、分けて…卵黄はカップケーキにでもしようかな。

「お姉ちゃん、何してるの?」

「未亜も手伝ってくれる?お菓子作りの下準備しておこうかと思ってね」

「わかったよ! でもいいの?リアちゃん達いないけど…」

「仕上げは手伝ってもらうよ」

「そういう事なら」

「お姉様、うちも…」

「シエルもお願いね」

二人にはまず卵を割って、卵白と卵黄に分けてもらった。


私はアクシリアス王国でもらったベリー系のフルーツで、カップケーキ用のジャムを作る。 (わくわく!)

みんなのもあるから、今は遊んでていいよ。 (はーい!)


「分けたよー。ラングドシャって、どっちを使うの?」

「卵白だね。残った卵黄はもったいないからカップケーキにするよ」

「へぇークッキーじゃないんだ!」

「ラングドシャがあるからね」

二人には卵白と同じ分量になるよう、バター、薄力粉、砂糖を量ってもらった。


私はその間にカップケーキの材料を量り、卵黄と、ミルク、砂糖、バターを魔力ドーム内で混ぜ合わせて、別で混ぜた薄力粉とベーキングパウダーの入ったボールへ移して混ぜる。

後はこれをカップへ入れて、ジャムをのせたら焼くだけだから、今はこのままストレージへ。


「未亜、量り終わったら、バターを魔法を使って練れる程度に柔らかくしてみて」

「魔法で!?」

「うん、どうしたらいいか考えてやってみるといいよ。失敗してもいいから」

「わかった。シエルちゃんと相談してもいい?」

「もちろん」

二人で悩んでる姿は見ていて微笑ましい。

私は今のうちに卵白を泡立ててメレンゲを作っておく。当然魔力ドーム内で。


未亜達は最初、熱をかけすぎて完全にバターが溶けてしまい失敗。

落ち込んでたけど、他の事に使えるから大丈夫だと言って聞かせて、二回目。

二人で火魔法と風魔法を使い、程よい温風を出していい感じに。

「上手くできたねー二人ともすごいよ!」

「やった…!」

「未亜姉様、おめでとう」

「シエルちゃんと二人での成果だよ! 私こそありがとうだよ!」

「じゃあ、今度はそれに砂糖を練り込んでいってね」

「そうだった!」

「シエルは未亜がある程度混ぜたら、この卵白を少しずつ入れてあげてね」

「わかったの…」

未亜はお菓子を作ったことがあるから、ちゃんとメレンゲを潰さないようさっくりと混ぜてくれる。


「仕上げにコレ!」

「バニラエッセンス?」

「あたりー」

「それなに…?」

「甘い香りがするんだよ」

手に一滴出してあげた。


「すごい…甘い香りが広がるの!」

「ほんの少し入れるだけなんだけど、香りがつくからね」

バニラエッセンスを入れてさっくりと混ぜたラングドシャの生地は、しぼり袋にいれて、ストレージへ。


「後はみんなでやろう」

「はーい!」

「お菓子作りも楽しいかもなの…」

「そう?じゃあまたやろうね」

「はいなの!」

シエルも最近はよく台所を手伝ってくれるから助かる。服以外にも特技ができる日も近いかも…。



私は一度外へ出てチョコ達を召喚。

「キャンディ、決まった?」

「ええ…ラムネになったわ」

”グォォ…“

”クゥ…“

そんな悲しそうな声出さないで…。

どうやって代表を決めたのかは最後まで教えてくれなかった。


何度聞いても、

「ますたぁは知らないほうがいいわ〜」

とか言ってはぐらかされるから、余計気になるのだけど…。

チョコ達もその事に関しては思考を閉ざしてるのか伝えてくれないし。


みんな怪我もないからいいけど…何をしてたのやら。 (怪獣大戦争!)

確かにこの子達が本気で暴れたらそうなるけども…。 (世界が…私の生まれ故郷が…)

だからそれ、誰目線よ? (滅びゆく世界のヒロイン)

なんか映画にありそうだな…。 (あっ、映画!)

見たい映画あったの? (夏にね、いつもリア達と見てるアニメが映画やるの! CMでやってた!)

へぇーじゃあそれにいこうか。 (いいの!?)

約束したじゃない。 (わーい! リアも喜ぶのー!)

帰った時に調べてみるから教えてね。 (あい!)




お昼はメイドさんが作ってくれた料理をフィアのツリーハウスで食べて、ルナシアさん、フィア、ニレとはここでお別れ。また会いに来る約束をした。

次、会うまでに魔力ドームをもっと上手くなっておくって約束してくれた。

ホントかわいい!


長老様には私だけで挨拶に行き、またいつでも遊びに来ていいって言ってもらった。

そして今日も空にはスモークが…。雲が増えすぎて雨が増えたりしないよね? (消すドラゴンがいるからへーき)

それを聞いて安心したよ…。 (消さないと、空のキャンバスが埋まっちゃう)

あ、理由はそっち?

確かに絵もかいてて…もう芸術みたいになってきてるもんな。




ドラツーに戻るとみんな揃ってたから、ついにグリシア王国へ向けて出発する。 (おー!)

「じゃあティー、また操縦よろしくね」

「らじゃーせんちょー!」

敬礼したティーはコクピットへ走っていった。


ドラツーは直ぐに飛行を開始。

久しぶりにティーの船内放送もかかった。

「ただいまからドラツーはグリシア王国へ向けて出発します! お嬢様方はのんびりお寛ぎくださいませー」

お嬢様て…ティーも王族なんだからね? (え?)

当然でしょう。私の子として戸籍に登録されてるのだから。 (ふぉぉー! すっげー!)

わかってなかったの? (だって…ティーは魔法だし)

私の大切な子だからそんなの関係ない! ティーはティーだからね。 (うん! ふふー♪) 



「ねえ様、なんだか甘い香りがしない…?」

「それ、私も思った!」

「あぁ、姉ちゃん達がなにか作ってたからな」

「ユウキ見てたの?」

「少し覗いたら忙しそうだったからさ」

やっぱり二人で部屋にこもってたのか…。 (やましい!)

知らない知らない。私は何も知らない! (ママは慌て過ぎ?)

………。


「アスカ、何作ってたのよ?お菓子?」

「ほら、学園へ持っていくお菓子の下準備してただけだよ。リアとティアねえ様にも手伝ってもらうからね」

「当然よ!」

「任せてー。出来たら、うどんにもあげていい?」

「うん、ドラツー内なら出してあげてていよ」

「ほんと!?ありがとう」

「シエルもぼたんをだしてあげていいからね」

「うん。ありがとうなの…」


一時帰宅した時に会いに行ったお狐様に、”異世界だと珍しい姿ならあまりおおっぴらにせぬほうがよいかもしれんな“って言われたから、リコに確認したのだけど、どうやらこちらには居ないみたいで…。

姿が見えない人ならいいけど、見えた場合、うどんとぼたんに危険がないとも限らないから、グリシア王国では出さない事にしたんだよね…。


トラブルに突っ込みに行く様なものなのに、お狐様の大切な子を危険に晒したくないとシエルとティアねえ様も心配してたし。

だからせめてドラツー内くらいは自由にさせてあげたい。


因みに、教えてもらえない戦いを勝ち抜いたラムネが小さくなって私の首に襟巻きのように巻き付いてる。

後でお風呂に水を張ってあげたら泳ぐかな? え、そう?

そばにいたいって伝わってきたから、このまま居てもらおう。



カップケーキは、紙製のカップに生地を流し込んで、ドラゴン姉妹にベリージャムをのせてもらってオーブン魔道具へ。

ラングドシャも、クッキングシートをひいた鉄板へドラゴン姉妹が平たく絞り、こちらもオーブン魔道具へ。

待ってる間にラングドシャに挟むためのチョコレートを一度溶かして、薄く伸ばして冷蔵庫魔道具へ。


ドラツー内には甘い香りがいっぱいで、みんながソワソワしてる。

完成したらリコも呼んであげないとな。ツキへも届けてもらおう。

ツキも呼べばこれるのかな?リコに聞いてみるか…。







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